AWS re:Invent 2013 ラスベガス現地レポート(11/13)

ラスベガスで開催されているアマゾン ウェブ サービスのグローバルカンファレンス「AWS re: Invent 2014」。Day1 基調講演には Andy Jassy(Sr. Vice President, Amazon Web Services, Inc.)が登壇し、Amazon Aurora、AWS Key Management Serivce 等数々の AWS クラウドの新製品発表を交えた講演を行いました。

ゲストスピーカーには、アメリカメジャーリーグベースボールのインターネットインタラクティブ事業を行う MLBAM をはじめ、Philips、Johnson & Johnson、Intuit が登壇。それぞれ俊敏性、変革をテーマにした事例、All-in やハイブリッド利用といったケースにおける事例をお話いただきました。

こちらでは、AWS re:Invent 2014 Day1 基調講演の模様を現地からレポートいたします。

AWS re:Invent 2014、1 日目の基調講演では、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のシニアバイスプレジデントである Andy Jassy が登壇。Andy は「New Normal」をテーマに数多くの新サービスのリリースを交えつつ、これまでお客様からのフィードバックのあった様々な要望に応える発表を行いました。

今回で 3 回目となる re:invent は、世界 63 ヶ国より、13,500 名が参加、ライブ中継には 15,000 名が参加し、273 のセッションを 4 日にわたり提供する規模となりました。また re:invent は、他のテクノロジーカンファレンスとは異なり、“Education”と“Learning”という「学びの場」であることが強調され、今回のカンファレンスで得た知識をぜひ自社ビジネスに役立てていただきたいと伝え、Andy は講演を始めました。

基調講演はまず、ここまでの AWS の成長について以下を中心に伝えられました。

  • サービスとしての成長
    まず、AWS クラウドは現在 100 万以上のお客様がアクティブカスタマーとして利用しており、Amazon S3のストレージ利用規模で見ると 137 % の伸長(*1)、Amazon EC2 も年間 99 % の成長(*1)をしています。
    (*1: 2013 年の第3四半期と2014年第3四半期時を比較。Amazon の利用を除く)
  • パートナーエコシステムの成長
    世界中に数千のシステムインテグレーターが AWS クラウドを利用したベストプラクティスを持っており、Pinterest、DropBox、AirBnB、Sportify、シェル、NTT DoCoMo、Netflix、Johnson & Johnson、Pfizer、Adobe、Samsung、Vodafone をはじめとしたスタートアップ、エンタプライズ企業のお客様に加え、、800 の政府機関と 3,400 以上の文教機関など様々なセグメントで使われています。
  • 事業規模の成長
    また、ガートナー社の 「IaaS マジッククアドラント」をもとにしたデータによると、AWS クラウドのキャパシティがその他 14 社全てのリソースを合わせたキャパシティと比べても 5 倍以上で、その成長率は、40 % と他社と比べても突出しており、急速に事業成長を遂げています。

AWS は現在、世界中に 11 のリージョン、28 のアベイラビリィティゾーンのロケ―ションを提供するだけでなく、多様なプラットフォームサービスを提供し、AWS 事体もアーキテクト、トレーニングおよび認定、プロフェショナルサービス、AWS サポートへの投資を続けています。

こうした絶え間ないサービスへの投資により、AWS 自体が「New Normal」となりつつあると紹介。一方で、それぞれのサービスの改善を続けていく取り組みとして、AWS クラウドのイノベーションのペースは 2013 年に 280、2014 年は 11 月 10 日時点で 442(年内に500近くを予定)にまで拡大しており、今やゲームやモバイルのデファクトスタンダードとなっているだけでなく、テクノロジーの採用がエンタープライズのあり方をも変えていると Andy は語りました。

ここで、MLBAM、Philipsがゲストスピーカーとして招かれ、「俊敏性と変革」をテーマに講演を行いました。

MLBAM はアメリカメジャーリーグベースボールのインターネットインタラクティブ事業を行う MLBAM が AWS クラウドを活用して、試合中の選手の移動距離、速度等のデータ分析を行い、情報をリアルタイムに行うサービスを提供。続いての Philips は AWSのクラウドプラットフォームを使い、1 億 9,000 万の患者のヘルスケア記録データから医師のために医療改善へと繋がる情報提供サービスを提供していることが紹介されました。

Andy は実に多様な業種のお客様が AWS のクラウドプラットフォームを利用している一方で、「データベース」に関するフィードバックが多く寄せられていたといいます。

そして、ここから求められる「New Normal Database」への要望について、 3 年にわたり考えられた末に生まれた新たな MySQL 互換のリレーショナルデータベースサービス、「Amazon Aurora」が発表されました。

Amazon Aurora を紹介するために登壇した同製品の General Manager である Arurung によれば、Amazon Aurora は MySQL 互換であり、通常の MySQL の5 倍のパフォーマンスを持つ低価格の新しいデータベースであるだけでなく、耐障害設計、多重化、拡張スケーラブル、セキュリティが担保されているため、リカバリーの際の速度低下やデータの消失がないとのこと。さらに r3.large を利用した場合の価格も $ 0.29 /時間(r3.large利用)と非常に低価格で提供されます。

最後にこの日からプレビュー版を利用可能であることが伝えられると、会場から歓声と拍手が沸き起こりました。

さらに、Andy はまた別のお客様からのフィードバックの話として、特にエンタープライズのシステムを考えた場合、通常の開発プロセスである開発、ビルドとテスト、デプロイ、モニターと分析のライフサイクルをどのように短縮できるかについての要望を紹介。開発のための新たなサービス群として、以下の新サービスを紹介しました。

  • AWS CodeDeployソフトウェア開発のダウンタイムを最小化。ローリングアップデート、デプロイのヘルストラッキングなどの機能を提供
  • Amazon CodePipelineソフトウェア開発プロセスにおける、開発およびビルドとテストプロセスを機能提供。(2015年初旬より提供開始予定)
  • AWS Code Commitコードリポジトリをステージング・テスト・本番環境の近いところに置くことが可能に。Eclipse、Puppet、Jenkins、Chef、Visual Studio等のツールとも連携。

数年前、エンタープライズ企業のお客様にとって、セキュリティとコンプライアンスがクラウドを利用する際の課題でしたが、現在はこれらの問題を乗り越え、お客様が AWS の利用を開始しています。また、AWS 自身もセキュリティ、コンプライアンスに関わる数多くの認証を取得してきましたが、顧客からは「より見やすくセキュアに管理をしたい」、「煩雑になる AWSキーのローテーション管理を容易にしたい」という要望があったといいます。

こうしたお客様の要望に応えるため、ここで「キー管理」、「リソース可視化」、「デプロイ管理」の3つの視点から、以下の新サービスを発表しました。

  • AWS Key Management Service キー管理サービス。ワンクリックエンクリプション、キーの集中管理、キーローテーションの自動化、変更履歴の管理におけるAWS CloudTrailとの連携が可能。(この日から利用可能に)
  • AWS Config リソース可視化サービス。AWSリソースの可視化を実現。監査や設定変更におけるトラブルシュートが可能に。
  • AWS Service Catalogデプロイ管理サービス。管理者が利用可能なサービスのポートフォリオを決めて、例えば部署ごとにデプロイするものを制限することで、開発で利用するコードやコストの観点で決められたコンプライアンス対応を可能。

続いて Andy は、エンタープライズ企業における AWS への移行用途について紹介。AWS クラウドが現在では、開発テスト環境としての利用はもちろん、ウェブサイト・コンテンツ配信、データ分析、モバイル、SAP のような基幹システムなどほとんどのケースで利用されており、多くの企業のケースで、データセンターをまるごと AWS に移行して利用することができるという考えを紹介。実際に CIA が AWS を利用するくらいであれば、セキュアであろうと考えるお客様もいるという話に触れました。

ここでデータセンターをすべてクラウドへ移行する「All-in」タイプの事例紹介ということで、Intuit がゲストスピーカーとして登場。同社の税務申告のアプリケーションはその申告時期に応じてピーク性も高いが、機密性の高いデータの管理に AWS Cloudtrail をはじめ、キー管理のサービス、VPC ピアリング等を利用し、現在 Intuit では AWS 上で稼働しているアプリケーションは 33 にのぼり、さらに 26 のサービスをAWS を活用して提供しているとのこと。その効果はオンプレミスと比較して約 6 倍のコスト削減効果があるとお話いただきました。

再び Andy がステージに戻ると、AWS はオンプレミスとの連携を実現するためのサービスも提供しており、AWS Storage Gateway や AWS Cloudtrail、Identity And Management や System Center との統合も ハイブリッドを可能とするサービスとして提供されていると紹介。

そして、AWS を利用してハイブリッドを実現しているお客様として、Johnson & Johnson がゲストスピーカーとして登壇。同社ではコスト削減を考える上で、サーバーの縮小、IT の自動化、アプリケーションの仮想化、価格の透明性といった課題に対して、データセンターとクラウドの連携は現実的な回答であると考えているとお話いただきました。

また、同社では現在、約 120 のアプリケーションを Amazon VPC 内にて稼働させているが、今後数年以内に現在の 3 倍以上のアプリケーションを AWS へ移行予定である点、さらに今後の取り組みとしてクラウドでのビッグデータ分析、数年以内に 24,000 のデスクトップを Amazon Workspacesへの移行を AWS の協力のもと実施していく予定であるとお話いただきました。

Andy は AWS の様々なお客様が On Journey(旅の途中)であり、AWS は 2 つの視点でお客様およびパートナーとのパートナリングをしているといいます。

1つは「カスタマーフォーカス」。AWS は長期的な顧客との連携を最も重視しており、その一つの例として、AWS Trusted Advisor の機能が 2,613,585 のコスト削減に関わるリコメンドを顧客に対して提供し、3 億 5,000 万ドルのお客様のクラウド利用コスト削減を実現している事例を紹介。

そして2つ目はこのセッションを通じて紹介されてきたような「Pioneering」(re:invent)であると話し、再び今回の re:Invent での学びをお客様のビジネスに役立てていただけることを願いつつ、Day1 の基調講演を締めくくりました。


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