信州大学は、8学部と大学院の英知を結集し、自然と人間社会が美しいハーモニーを奏でる地球社会へ「教育・研究」を発信します。

信州大学では、2012年に学内で運用していた LMS(Learning Management System )の Moodle の保守管理の外注化を検討していました。しかしながら、そのインフラは従来の学内データセンターと同等の信頼性、セキュリティを担保する必要があり、こうした要望に応えられるインフラの選定が急務となっていました。

本件の外注先となるアヴァシス株式会社で、クラウドをはじめとする様々なインフラを調査したところ、AWS クラウドに関しては、RASIS (Reliability Availability Serviceability Integrity Security)の全ての要素において,大学内のデータセンター内での運用よりも高い という結論に至りました。

特に、下記の 3 点については、BCP/DR、ハイアベイラビリティを実現するために必要なサービス(コンポーネント)を柔軟な組み合わせかつ低コストで利用できるかという観点で、髙い評価を得ました。

  1. Amazon EC2+Elastic Load Balancingによるサーバの冗長構成が容易
  2. 複数のアベイラビリティゾーン(Multi-AZ)が選択できることによる、システム全体の冗長性確保
  3. Amazon RDS(MySQL)によるデータベース運用からの開放

これらの理由から、AWS 上に環境を移行し、LMS 運用の外注化を進めることになりました。

Amazon EC2 を利用することで、既存 LMS 環境の移行はスムーズに行えた他、Multi-AZ 構成を採用する事で、これまでの学内システムではできなかったデータセンターレベルでの冗長構成をも実現することが出来ました。また、Amazon EC2 に Elastic Load Balancing や Amazon RDS を組み合わせることで、従来以上に拡張性があり、運用負荷も低減された環境を構築できたことで、クラウドへの移行後も安定した運用を実現できています。

移行作業そのものは、AWS の選定から LMS の稼働に至るまで 6 か月で完了し、2013 年 4 月より稼働開始しています。

今回はオンプレミスのシステムをパブリッククラウドに初めて移行するということで、AWS の基本的な機能で実現することによりスムーズに移行できた反面、まだまだ AWS のサービスを十分使いこなしていない部分もあるように感じています。今後、システムの稼働状況や AWS の様々な事例を理解し、アーキテクチャーを検証し適用することによって、より効率的なシステム構築・運用が可能になると考えております。

今後、本 LMS に限らず、大学の様々なサービスをクラウド化することを予定しています.

 

- 国立大学法人 信州大学 総合情報センター 総合情報センター長 不破 泰 様