2011年に創業した株式会社スマートエデュケーションでは、幼児向け教育コンテンツを開発・提供する事業を行っており、現在はスマートデバイス向けにサービス展開をしています。
今月でアプリの累計ダウンロード数が550万に達し、MAUに関しては80万程で推移しています。

コンテンツ内容としては、絵本・音楽コンテンツを創業時から提供していて、今年から主に海外向けgoccoブランド(ごっこ遊びやクリエイション系のコン テンツ)を立ち上げたり、こどもモードという子供向けホームアプリという新たなジャンルに関してチャレンジしているところです。

幼児向け教育という、新しい分野で不確定要素が多いのと、すべてが新規事業ですので、インフ ラに関しては「スピード」や「柔軟さ」が求められます。しかし、当初から潤沢なリソースを投入してサービスを立ち上げるというわけにもいかず、スモールス タートに適した環境を選択することがとても重要でした。

また、我々の提供するコンテンツは言語に依存する部分が少ないので、ワールドワイドにコンテンツを配信するということも最初から視野にあり、海外へのコンテンツ配信も考慮しなければいけないという課題も抱えていました。


事実、最初のプロダクトがリリースの直後にApp Storeのトップで大々的にfeatureされる事態に遭遇し、急激な負荷への対策が必要となりました。これに対処するスケーラブルなインフラへの移行 を検討した結果、AWSのサービスを組み合わせて利用する判断をしました。

移行期間は2週間ほどで検証などをして、すぐにサービスで使用することになりました。それまでAWSの利用実績はなかったものの、参照できる情報も 多数ありましたので、スムーズに実運用に移ることができました。主にスマートデバイス向けのアプリを提供していますが、サーバーサイドに関しては Linux, Ruby (Padrino), MySQL等を使って開発しているため、AWSがもつアセットとの相性の良さもありました。

 

 

「スマートエデュケーション様 システム構成図」

まずは基本的な構成で環境を組み上げて、サービス側ではなく、管理側のシステム向けの環境として利用したり検証したりすることから始めることができ ましたので、作業コスト・運用コストを低くおさえることができ、エンジニアの数が少ない体制でも対応することができました。また、データ保全の面でも、ク ラウドのメリットを感じています。具体的には、Amazon RDSによる自動的なバックアップ機能や、万一データを削除してしまってもデータを戻すことができるという点などがあげられます。初期はエンジニア1名で すべてを運用する体制でしたが、データ保全の面でも安心して運用を行うことができていました。

幼児向けサービスの特性かもしれませんが、土日は特にアクセスが集中するという傾向がみられます。こうした一時的な負荷にもすぐに対応可能なインフ ラとして、Amazon S3とAmazon CloudFrontを組み合わせることで、世界中のユーザーにスピーディーに、ダウンロード型のコンテンツ提供が可能になっています。

コストについて、オンプレミスでの実績がないので、比較はできておりませんが、少ないエンジニアリソースでの運用と、初期コストなどを考慮するとオンプレミスの選択肢は考えられませんでした。

スタートアップでは、事業を展開するスピードや、変化に対する柔軟性を求められるケースが多いと思います。その上、色々なリソースが制限された状況 で、いかに事業に専念することができるかというのが一つの重要な課題にはなるかと思いますが、そういった課題に対して、AWSクラウドは最適な選択肢だと 思います。

 

 

株式会社スマートエデュケーション CTO  谷川 裕之様