ラスベガスで開催されているアマゾン ウェブ サービスのグローバルカンファレンス「AWS re: Invent」。Andy Jassy(Sr. Vice President, Amazon Web Services), Werener Vogels(CTO, Amazon)をはじめ、エンタープライズ企業である AWSのお客様による講演も行われるカンファレンス、そして日本からのre:Inventツアーの模様を現地からレポートいたします。

「AWS re:Invent 出張報告会におけるセッション資料公開中!

「AWS re:Invent」に参加したアマゾンの中のアーキテクトによる「re:Invent出張報告会」でのセッション資料をご覧いただけます。


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Werner Vogels による基調講演は、前日のAndyの基調講演での3つの新製品の発表を含め、2013年の新機能やサービスに関する発表が 11月 14日時点で 243 に達したことを振り返りながら 、そのような速いスピードでのイノベーションが”Two Pizza team”(2枚のピザで賄える少数体制)により行われていること、また、顧客の要望に基いてロードマップを構築していく特徴的な AWS の開発プロセスの紹介などからスタートしました。

その後、顧客の要望に基いて実装された Amazon RDS の新機能のいくつかを紹介した上で、この日最初のWerner からの新機能発表となった Amazon RDS の PostgreSQL 対応が発表されると、会場から大きな歓声が。多くの方にとって待望のリリースであることがうかがえました。

そのイノベーションをさらに飛躍させるのに欠かせないオープンソースコミュニティに話が及ぶと、その代表例となる Netflix 社へバトンタッチ。開発・オープンソース化したツールやフレームワークの紹介から、Netflix 社主催の優れたオープンソースプロジェクトを選出するコンテストの入賞者発表が行われました。

Werner は次に Amazon CEO である Jeff Bezos の「イノベーションによって変わることのないものに自らのイノベーションを注げ」という言葉を引用し、それが AWS の根幹にあることを伝えた上で、何時の世も変わらずにイノベーションが必要な項目として「パフォーマンス」,「セキュリティ」,「信頼性」,「コスト」, 「スケーラビリティー」が挙げられ、それぞれに対する AWS の取り組みが以下のように紹介され、関連する直近の機能拡充や顧客事例なども示されました。

パフォーマンス :
性能が高いことはもちろん、一貫した性能を提供することがあらゆるアプリケーションで重要であることから、それに関する AWS の取り組みとして、Amazon DynamoDB や Amazon EBS PIOPS など一貫性のある IO 性能を提供する仕組みなど、をこれまでに新たに提供し続けている点を紹介。また、それを活かした事例として、Parse社で Amazon EBS PIOPS を用いることで負荷集中時の遅延のスパイクが解消された事例を実測値とともに紹介。

ここで、さらなる高い IO 性能が必要とされる領域に向けて、この日 2つ目の新発表となる、全サイズで SSD を搭載したAmazon EC2 のI2 インスタンス が近日リリースされると発表されました。この I2 インスタンスでは、例えば i2.8xlarge の場合、秒間35万読み込み32万書き込みを実現できると紹介されました。

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セキュリティ :
「Fine Grained Access Control」をキーワードに、IAM や Amazon DynamoDB などできめ細やかなアクセス制御を可能にした直近のアップデートや、新発表として Identity Federation をより広範に可能とする IAM の SAML2.0 対応 、Amazon Redshift の鍵管理に Amazon CloudHSM を用いることを可能にした直近のアップデートなどが紹介されました。

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信頼性 :
Amazon で培った経験に基いて構築された Multi-AZ の仕組みを、可用性向上のために是非とも利用して欲しいというメッセージで始まったこの節では、さらに東京リージョンとシンガポールリージョンを例に挙げ ながら、複数 リージョンを用いた災害復旧のアーキテクチャのパターンが解説されました。

ここで、その実現をより手軽にするためともいえる、Amazon RDS のリージョンを超えたリードレプリカ、Amazon Redshift スナップショットのリージョン間コピーなどの新機能発表が行われました。

コスト :
AWS では用途に応じてコストを最適化するオプションが複数用意されている点を紹介。
そして、先日発表された各種計算に特化した Amazon EC2 のG2 インスタンスに加え、「C3 インスタンスタイプ」という新インスタンスシリーズの発表が行われました。

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スケーラビリティー :
驚異的なスピードで成長したサービスの例として WeTransfer と Airbnb がゲスト登壇。Airbnb の例では、2011年のサービスイン時から現在までに 15万人が実際に同サービスを通じてホストの家に宿泊するに至ったこと、その間に 0 から 10億レコードに至ったデータベースや、50 TBの写真データ、それを配信するウェブインフラを、たった5人のチームで運用してこられたのは AWS があったからと、印象的な話が行われました。

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Werner による基調講演の最後には、センサーデータのリアルタイムな解析やフィードバックなどのようなお客様の要望と、これまで提供してきた AWS のビッグデータ関連サービスとのギャップを埋める新サービスとして、この日最後の新製品発表となる 「Amazon Kinesis」 が紹介されました。

Werner はこのサービスにより、大量のストリームデータを受けとり、 それを複数 AZ に複製して信頼性を確保しながら実際の解析を行うワーカーノードにフィードすることで、高い信頼性とスケーラビリティを両立したリアルタイムデータスト リーム解析を可能となると説明。 実際に AWS の Technical Advisor である Khawaja 氏の手で、Twitter フィードストリームを受け取りながら話題となっているキーワードをリアルタイムに抽出したり、Amazon Redshift に入力して解析するといったデモが行われ、数々の新製品発表が相次いだ基調講演は幕を閉じました。


基調講演が終わると、前日に引き続き、多数のブレイクアウトセッションに加え、ジャパンブレイクアウトセッションが開催され、ジャパンセッションでは、Andy Jassy Q&Aセッションを含む、以下のようなセッションが行われました。

  • From One to Many: Evolving VPC design
  • Andy Jassy’s session
  • Top 10 AWS Identity and Access Management (IAM) Best Practices
  • Cloud Architectures with AWS Direct Connect
  • ニューサービスサマリー

「From One to Many: Evolving VPC design」では、エンタープライズソリューションアーキテクトである Robert Alexander がAmazon VPC の成長シナリオにしたがって、考えるべき点、注意点、ネットワーク構成要素の他、実際のデプロイ時のコマンド等も紹介。

サブネットが1つだけあるようなシステムからはじまり、実際には可用性の向上のためにアベイラビリティ―ゾーンを複数使ったり、ビジネス上の要望で、サブ ネットを複数もつ Amazon VPC がよく使われる点。さらには、Amazon VPC 自体を複数持つシステムへ変化するといった典型的な例が紹介されるセッションとなりました。

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次のセッションでは、前日の基調講演でも登壇した Andy Jassy がジャパンブレークアウトセッションに登場。日本での新しいリージョンや AWS DirectConnect のアクセスポイントの追加計画、AWS Marketplaceを活用した日本での販売、プライベートクラウド環境から AWS クラウドへのマイグレーション方法、新サービス開発戦略、AWS の上場予定、サービスリリースにあたってのクオリティ担保、Amazon WorkSpacesの立ち位置、日本市場についての考察といった、日本のお客様からの数々の疑問に応える機会が提供されました。

「New Service Summary」では、アマゾン データ サービス ジャパン株式会社の事業開発本部 本部長である川本 雄人が re:Invent で発表された新サービス・機能拡張をまとめ、日本語で分かりやすく紹介。今回新たに登場した新サービス Amazon Workspaces, Amazon AppStream, Amazon Kinesis, AWS CloudTrail を中心にそのサービスの概要をはじめ、次のようなユースケースが示されました。

  • Amazon WorkSpaces - ユースケースは外注やシフト勤務等利用者の増減がある、モバイルワーカーでセキュリティを確保したい、学校のクラスルーム利用等を想定。
  • Amazon AppStream - ユースケースはモバイルゲームやモバイルアプリケーション等。
  • Amazon Kinesis - ストリーミングデータのリアルタイム処理を可能とするフルマネージサービス。
  • Amazon CloudTrail - ユースケースはユーザー利用状況の監視、セキュリティ管理、コンプライアンス強化など。
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