Amazon Web Services ブログ
東急ハンズメッセのピークにお客様の信頼を取り戻した高コスト効率の Amazon DynamoDB
私は街歩き愛好家です。 新しい街を歩き、裏通りや細い路地を探索し、それらをユニークで特別なものにしているものを見つけることが楽しみです。東京を訪問中、渋谷を歩いている時に驚くようなホビーショップを見つけました。8 階建のビルには、ありとあらゆるホビーのための工具、部品、組み立てキットがありました。(日本にいる私の同僚が書いた) 以下の記事から読み取れるように、このお店「東急ハンズ」は AWS カスタマーです!
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Jeff
東急ハンズは、革新的な POS (Point of Sales) システムと EC サイトにより、お客様の体験をより良いものにしています。同社の新しいソリューションについて、同社 CTO の長谷川秀樹様はこう語ります。
小売業である当社は、常にコストを重視しており、DynamoDB の簡単にスケールする機能のおかげで運用のコスト効率が大幅に改善されました。高速で高い可用性、しかもスケーラブルなデータベースを、月当たりわずか数百ドルで使えるようになり、高価なハードウェアやデータベース運用担当者にお金を使う必要はなくなりました。
背景
東急ハンズは、日本で最も人気のある大規模小売店チェーンの 1 つです。雑貨や日本の文具、創作意欲を起こさせる DIY 用品や家庭用品をワンストップで購入できるお店を、日本、シンガポールに 40 店舗、展開しています。更に売り場として EC サイトを運用しており、お客様は PC やモバイル端末を使って 24 時間 365 日買い物ができます。東急ハンズは、同社の急速な成長ペースとビジネス機会創出ペースを維持するために、高速で柔軟、しかもスケーラブルな IT システムを完全に Amazon Web Services (AWS) 上で構築して運用しています。
AWS を使う以前は、東急ハンズの IT システムはオンプレミスのデータセンターに配置されており、データセンターを運用しスケールさせるのは非常に大変でした。東急ハンズは AWS に全てのシステムを移行すること (all-in) を決め、アプリケーションをオンプレミスのデータセンターからクラウドに移行しました。インフラストラクチャ管理を AWS に移管することで、東急ハンズはお客様へより良い価値を提供することに集中できるようになりました。長谷川様曰く、「私は AWS が好きです。なぜなら、時間とリソースをインフラストラクチャの管理ではなく、お客様のための改善に費やすことができるからです。AWS が提供している幅広いフルマネージドサービスを活用することで、私たちは IT システム全体を容易に構築できます。Amazon DynamoDB はそんなサービスの 1 つであり、ミッションクリティカルなアプリケーションのコアとして使っています。」
課題
お客様の満足度を重視する東急ハンズにおいて、最も重要なアプリケーションは EC サイトシステムと、POS とマーチャンダイジングのシステムです。EC サイトシステムには、EC サイトを常に利用できるようにするために必要な全てのビジネスロジックが組み込まれています。EC サイトシステム用に最適なデータベースを選択することは、サイト改善の俊敏さを実現するために必要なスケーラビリティ、柔軟性、カスタマイズ可能性を達成するために重要です。東急ハンズの POS とマーチャンダイジングのシステムには、お客様に接するアプリケーションがあり、物理店舗のレジや EC サイトでの購入時に、お客様の注文を処理します。POS とマーチャンダイジングのシステムには、さまざまなアプリケーションがありますが、その中には、商品の在庫やお客様の購買履歴を追跡するアプリケーションもあります。東急ハンズは、ソフトウェア開発チームがバックエンドのメンテナンスタスクを繰り返すことに時間を費やすのではなく、POS とマーチャンダイジングのシステムを改善して、顧客満足度を高めることに集中することを望んでいました。以前のアーキテクチャでは、開発者は POS とマーチャンダイジングのシステムをサポートするために、バックエンドのデータストアシステムの運用保守に膨大な時間を費やしていました。
運用が大変だった例として、米国の Black Friday に似た年次のスーパーセール「ハンズメッセ」で、EC サイトのトラフィックスパイクに対処できるようにするためにシステムをスケールさせようとした苦い経験があります。ハンズメッセでは、平時の物理店舗と EC サイトの数倍のトラフィックが発生します。以前のオンプレミス環境では、ハンズメッセ期間中のトラフィックスパイクに対処するためにデータベースをスケールアップすることは、時間がかかるだけでなく、困難さを伴うタスクでした。トラフィックスパイクに対処するために必要なハードウェアを追加、設定、および運用するタスクには、多くの時間がかかりました。セール中にノード障害が発生し、結果としてシステム停止となったことも多々ありました。ハードウェア障害が発生しないときでも、データベースのパフォーマンスが劣化してことがありました。結果としてお客様の満足度は低くなり、2012 年と 2013 年のシーズンは、売り上げが減少しました。スタートアップ企業でこのような業務中断が発生すると、お客様の信頼を失ってしまいます。オンプレミスデータベース管理での苦い経験から、東急ハンズは、可用性とスケーラビリティを最大限に備えたフルマネージド型のデータベースの検討を開始しました。
東急ハンズの開発チームです。
後列 – 長谷川秀樹様、小澤利治様、菅原善光様、齋藤穂様、井上泰治様。
前列 – 三善清五様、臼井友亮様、大沢麻奈美様。
DynamoDB による高コスト効率で心配のない運用
「DynamoDB との出会いは、AWS re:Invent でした。プレゼンテーションを聞き、ソリューションアーキテクトと話すことで、DynamoDB の機能を学び、高可用性とスケーラビリティを備えており、運用の心配が無い、ということで興味を持ちました。Amazon.com の重要なアプリケーションや、AWS の各種サービスも DynamoDB を使っていると知り、DynamoDB を使ってみることに決めました」と、Amazon DynamoDB を使い始めた経緯を長谷川様は語ります。
その数か月後、東急ハンズは Amazon DynamoDB を使うように EC サイトシステムを再設計しました。2014 年に、東急ハンズは新 EC サイトシステムを年次のハンズメッセのセールでテストしました。複数のアベイラビリティーゾーンを使うアーキテクチャである Amazon DynamoDB はテーブルの高可用性を実現し、ノード障害によるシステムのダウンタイムを心配する必要はなくなりました。トラフィックスパイクにも、セールの直前に DynamoDB のスループットをスケールアップするだけで容易に対処できました。前年と異なり、キャパシティー上限が原因でデータベースリクエストが拒否されるような事態も発生しませんでした。セールが終わると、コストを節約するためにスループットを元に戻しました。さらにコストを削減するために、スループットのリザーブドキャパシティーの購入を検討しています。
Amazon DynamoDB による容易なアプリケーション開発
Amazon DynamoDB を、Amazon S3, Amazon SQS, Amazon SNS といった AWS の他のサービスと組み合わせて使うことで、新しい POS とマーチャンダイジングのシステムを構築できました。「私たちのチームのほとんどのメンバーが、もともとは店舗の販売員でした。お客様のことを詳しく知っていますので、その知識を使って素晴らしいアプリケーションをインフラストラクチャについて心配せずに構築したかったのです。AWS を使うことで、それが実現できました。」
東急ハンズのアーキテクチャ図です。
まとめ
東急ハンズは AWS と Amazon DynamoDB を使うことで次の 3 つの重要な利点が本当であることを実際に学びました。
- 高コスト効率な運用
- 手がかからず心配の無い運用
- 高可用性アプリケーションの容易な開発
皆様のビジネスを、フルマネージド型の AWS NoSQL サービスを使って高コスト効率でスケーラブルにする方法については、DynamoDB の「ご利用開始にあたって」ページと「開発者用リソース」ページを参照してください。そして、 AWS Lambda が提供するサーバーレスプログラミングの機能を使用して、DynamoDB ストリームとトリガーを活用する方法も、「よくある質問」ページでご確認ください。
– AWS ジャパンソリューションアーキテクト