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LINEを活用した行政サービスデジタル化の推進

AWSはLINE Fukuoka株式会社様による「LINE SMART CITY GovTechプログラム」への支援を通じて、行政サービスのデジタル化を推進していきます。
LINE SMART CITY GovTechプログラムは、福岡市LINE公式アカウントの機能開発の知見を活かして開発した、全国の自治体が汎用的に活用できるLINE公式アカウントの機能のソースコードを無償提供するという取り組みです。このソースコードはAWS環境での導入を想定して開発されており、自治体様はAWS環境でそのまま利用することができます。
加えて、AWSパブリックセクターでは、自治体様および開発会社(SIer)様がクラウド導入において検討が必要となる自治体特有のセキュリティ面の整理や、AWSサービスについての最適な利用方法に関わる技術サポートについて、お問い合わせ窓口をご用意いたしました。
益々注目が高まる行政サービスのデジタル化と国民の利便性の向上に寄与できる取り組みとして、AWSのパブリックセクターで培ったノウハウと経験を提供していきます。

❖行政のデジタル・トランスフォーメーションを促進

「LINE SMART CITY GovTechプログラム」では、自治体が住民接点のサービスを向上していくうえでニーズのある4つの機能を、自治体のLINE公式アカウントへ追加する機能が提供されます。

1)セグメント配信 市民の属性に合わせた情報発信
2)申請/アンケート 市民からの申請や情報提供を受け付ける機能
3)FAQチャットボット
4)統計情報の管理、権限設定

セグメント配信、申請・レポート、チャットボット等は、自治体様が導入意欲を持たれていましたが、予算の兼ね合い、モバイルアプリの浸透、開発実装できるベンダが地域に居ない等々の理由により導入が先送りする現状がありました。「LINE SMART CITY GovTechプログラム」は8600万以上のユーザ数(MAU)を持つLINEを活用することでLINE公式アカウントを通して住民への展開を加速することが可能です。提供するソースコードはAWS上へ改変することなく導入可能であり、全国のAWSのパートナー企業(APNパートナ)や開発企業と共に導入のご支援を行います。

❖ サーバーレスのサービスで構成

LINE Fukuoka株式会社様のプレスリリースにあります通り、ソースコードはAWS上で開発されており、「セキュリティと柔軟性を兼ね備えたスピーディーなシステム構築において強みを持つアマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)を用いることで、必要となる環境構築を迅速に構築いただけるように開発しております。」と言及いただいております。
アーキテクチャはAWS Serverless Application Model を活用したサービス構成で組まれており、クラウドの特性を活かした柔軟で持続性を考慮したスケーラブルで運用面の負担を軽減するアーキテクチャを採用いただいています。サーバレスのメリットとして以下を挙げていただいています。
・環境構築の容易さ
・運⽤コストが限りなく少ない
・トラフィックの急増に耐えるスケーラビリティ
・セキュリティに対する信頼性
・幅広いエンジニアが対応できる技術

❖ 自治体が求めるクラウド安全性とは

なぜ自治体様にとってもクラウドが必要か、セキュリティ面でご安心できるのか、下記に記載します。

  • なぜクラウド?自治体においても迅速性が重要課題に:新型コロナ禍での社会経済活動を支援するため、自治体においてもかつてない程迅速性が求められています。従来のように一年かけて検討することも重要ですが限られた時間で思考錯誤を繰り返しながらまずは新しいサービスをローンチし改善を繰り返していくことが重要と認識され始めています。例えば東京都の感染症サイトはCode for Japanが受託し開発したソースコードをGitHubで公開しました。結果同様の課題を持つ自治体が地域コミュニティやGovTech企業と共に各地域毎の感染症サイトをクラウド上へ展開しました。自治体共通の課題をクラウドを活用して迅速に課題解決した素晴らしい事例です。「LINE SMART CITY GovTechプログラム」についてもAWS上へ展開していくことで企画開発期間を短縮し迅速にLINEを活用した住民サービスを開始することが可能と言えます。また、クラウドを活用することで最新技術を活用したデータ分析、AI・機械学習の利活用による付加価値が見込まれます。

 

  • AWSのセキュリティ面:AWSでは責任共有モデルによりクラウド利⽤者とクラウド事業者の役割分担が明確に定義されています。利⽤者はデータの所有権と統制を保持しており、例えば適切なアクセス制御、暗号化を活用した統制の実装によりAWSを含む第三者によるアクセスからの保護を実現できます。自治体のクラウド選定にあたっては、「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群」、「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を満たすクラウドサービスを選定することが安全性を高めるために求められます。AWSは以下のような自治体が遵守すべき事項に対応しており安心してご利用頂くことが可能です。
    ・情報資産を管理するデータセンターの物理的所在地を日本国内とすること
    ・クラウドサービス事業者のカスタマーアグリーメントの準拠法を日本法に変更し、同契約に関するあらゆる紛争に関する第一審裁判所を東京地方裁判所に変更可能であること
    ・情報資産の所有がクラウドサービス事業者に移管されるものではないこと。したがって、自治体が要求する任意の時点で情報資産を他の環境に移管させることができること。
    ・クラウドサービス事業者は、ISO/IEC27017 の認証を受けていること。
    ・クラウドサービス事業者は、ISO/IEC27018 の認証を受けていること。
    ・クラウドサービス事業者は、AICPA SOC2及びSOC3の監査フレームワークに対応し、所要の措置を適切に実施するとともに、第三者監査人の監査を受け、確実に実施されている旨の証明の提出ができること。

 

  • クラウドとLGWANとの接続:地方自治体においては従来の3層ネットワーク分離の施策により、内部情報業務がインターネットに接していないLGWAN環境の端末で行われる状況があり、クラウドとのデータ連携が容易ではないという課題があります。総務省は、5月22日、自治体情報セキュリティ対策の見直しに係るとりまとめ公表しました。内部情報業務を行う主端末をインターネットに接する構成も容認される方向性ではありますが、既に整備された環境を変更するには時間を要す可能性があります。AWSのAPNパ―トナのLGWAN-ASPサービスを利用いただくことでLGWAN-ASP事業者を経由してAWS上のサービスへ接続することが可能です。「LINE SMART CITY GovTechプログラム」の機能はインターネットセグメントであるためLGWANを利用する必要性は無いと考えておりますが、LGWANのニーズがある場合は以下窓口までお問合せください。

AWSは、自治体が行政のデジタル・トランスフォーメーションを実現するための営業・技術支援窓口を用意しています。「LINE SMART CITY GovTechプログラム」に係るAWSの導入検討においてAWSへの問い合わせがあれば、是非下記窓口へお問い合わせをください。

問い合わせ窓口: lg-smartcity@amazon.co.jp

このブログは、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社 パブリックセクター ソリューションアーキテクト 豊原 啓治が執筆しました。