AWS 学生対抗ロボコンが再び開催。新しい競技のポイントは ?
Author : 竹崎 雄紀
昨年、AWS としては初となる学生向けコンテスト「AWS Robot Delivery Challenge」を開催しました。全国 118 の高校〜大学院の学生チームが参加し、アプリケーションを使って、ロボットミニチュアの街の中ロボットを動かすことで、所定の住宅へ荷物をいかに早く配達できるかを競いました。AWS からはロボットアプリケーションと AWS Educate 環境を参加した学生の皆様に提供しましたが、参加された学生の多くはロボット制御やアプリケーション開発の経験のない方が大半でしたが、みなさん奮闘しながらも果敢にチャレンジをしてくださいました。
学生生活の間、一人でできたことでも、友達と一緒にできたことでも、まっすぐに楽しんで得られた体験はとても素晴らしいものだと思い、ふと自分の遠い学生時代を思い出してしまいました。
AWS Robot Delivery Challenge は、現在学生の皆様で、将来開発エンジニアになりたい、興味があるという方へ向けて、楽しみながらテクノロジーに触れる機会を AWS ジャパンとして提供することを目的に実施しています。
今ロボティクスと言われる分野は産業ロボットの進化が主なテーマである一方で、ペットロボットが話題になったりもしていますね。それを制御する上でアプリケーションが欠かせません。そして、私たちが取り扱うクラウドもアクセスや処理の増減に柔軟に対応できる環境を実現できることから、アプリケーションを世に出す際の選択肢の一つとして、多くの企業が採用しています。
こうした点から学生の方々やこれからエンジニアになろうと考えている方々が、テクノロジーを目に見える形で楽しみ、学んでいただける機会が、この AWS Robot Delivery Challenge です。
今年も AWS Robot Delivery Challenge の開催が決定しました。そこで、この記事では昨年と異なる点を中心に、競技のポイントをご紹介します。
今年は初心者部門を新設
さて、今年はアプリケーション開発やロボット制御の経験が全くない方でも、AWS が提供するアプリケーションを使って気軽にご参加いただける「初心者部門」を新たに新設しました。アプリケーションのカスタマイズを行わず、参加チームがみな同じアプリケーションで競うことになるので、いかに自動運転機能を有効に使うか、どのルートで走るかがポイントになります。
また、昨年同様アプリケーションのカスタマイズによりロボットの走行性能を改善して競う「カスタマイズ部門」も用意されています。
いずれの部門でも競技に参加するには、最初に AWS RoboMaker*¹ というサービスにロボットを動かすためのアプリケーションを実装して、シミュレーションコースを走らせられるようにする必要があります。
「アプリケーションを作ったことがない」「AWS RoboMaker を使ったことがない」という方のために、AWS からサンプルアプリケーションが配布され、AWS RoboMaker に実装してシミュレーションを開始する方法を解説するオンラインセミナーを提供するので、それをご覧いただきながら始めることができます。また、このコンテストのお申し込みの際に、AWS 環境を無料でご利用いただけるよう、AWS Educate が 一人 100 ドル分の無料環境を提供します。
決勝ラウンドはトーナメント戦
シミュレーション予選は、参加チームそれぞれで本戦と同じコースデザインのシミュレーションマップ上でロボットを走らせます。シミュレーションマップは本戦と同じコースレイアウトですが、到達すべきゴールは1箇所のみとなります。
シミュレーション予選のタイムアタックは専用の画面から何度でもエントリーでき、自動的に計測タイムが記録されていきますので、ぜひ戦略を考えながらチャレンジしてみてください。同タイムのチームがいる場合は、先着のチームが勝ちとなり、上位 5 チームが決勝ラウンド進出となります。予選のエントリーは 4 月 2 日 (金) までです。
シミュレーション予選を経て、決勝ラウンドは 4 月 27 日 (火) に実施されます。
決勝ラウンドでは、実機のロボットをリモートでアプリケーションを使って動かし、実際のコース上で動かします。競技はトーナメント方式で、2 チームが同時にコースでロボットを動かし、より多くのチェックポイントを通過したチームが勝ち抜きとなる、陣取り合戦のような競技となるのが、昨年との大きな違いです。
なお、昨年はシミュレーションマップ、決勝ラウンドのコースで静止した違法駐車車両、障害物がありましたが、今年はコース上で前後に動く車両が障害物として用意されています。これらをうまくよけながら進む必要があります。
決勝ラウンド開催の前日 4 月 26 日 (月) には、決勝進出チームの皆さま向けに、アプリケーションが実機のロボットで動作するかどうかのチェックを行う練習走行会を、決勝ラウンド前日の 4 月 26 日 (月) に行います。
練習走行会当日は、AWS 目黒オフィスの Meeting Center Tokyo と学生の皆様をリモートでつなぎ、各チームのアプリケーションを使った実機ロボットの動作確認を AWS の運営メンバーがサポートします。(初心者部門では、共通のアプリケーションを利用しますので、そちらを使って AWS の運営メンバーのサポートの元、動作確認を行います。)
ロボットには搬送用のトレイが設置されていて、トレイに乗せられた荷物を複数ある所定の住宅 (チェックポイント) まで運びます。いかに障害物となる動く車両を避けつつ、相手チームよりも多くの所定の住宅に到達できるかで勝負が決まります。そして、トーナメントを勝ち抜いたチームが優勝となります !
昨年の入賞チームから参加のポイントを聞いてみました
昨年は 118 チームの参加があり、その中から晴れて優勝、準優勝、3 位になったチームのみなさんから今年参加する学生の方へ向けて、競技のポイントについて聞いてみました。特にカスタマイズ部門に参加される方はぜひ参考にしてみてください。
千葉工業大学 池邉龍宏さん、渡部蒼也さん、高橋秀太さんチーム (昨年優勝)
大会側から手順書を提供されるので、手順通りにやると、とりあえず上手く動かせることができます。しかし、そのままでは大会において上位に進むことはできません。様々なパラメータや行動計画を自分たちで考え、調整する必要があります。
何度もシミュレーター上で反復練習をこなして、大会本番を想定したパラメータや行動計画を考えるのが良いと思います。
少しでもルール等でわからないことがあったら、運営様に聞くと丁寧に教えていただけます。
関西大学 酒部佑介さん、虻川翔哉さん、福田剛さん、小田康平さんチーム (昨年準優勝)
一度 yaml ファイルのパラメータを変更してみて、それによって得られた結果を精査してみて下さい。すると以下のようなデータ等が得られると思います。
- 障害物の避けやすさ
- どれくらいの範囲を障害物とみなすのか
- ナビゲーションの精度
これらをフィードバックにかけると、ロボットの特性が見えるので、その特性をうまく使ってみて下さい。
インターネット上の文献の数はまだまだ少ない ROS ですが、上記のポイントを試して正確に、かつ素早く動くロボットアプリケーションの構築を頑張って下さい ! 応援しています !
豊田工業高等専門学校 播磨 朋紀さん (昨年 3 位)
ROS 内でのシミュレーションは非常に正確ですが、実機では予期せぬトラブルことが多いようです。昨年の大会では本選でロボットが動かず、敗退されるチームが多かったと思います。実機でのテスト走行を行いながらプログラムの改善をすることはできないので、実機で確実に動くことを意識しながらアプリケーションを作成すると良いと思います。
プログラミングスキルがなくてもアイデアで戦うことができます。まだまだコロナ禍で外出ができない中、自宅での趣味・学習に参加してみてはいかがでしょうか。一人での参加では不利になる場合もあるので、友人を誘って参加されるのをお勧めします。
友人と参加がおすすめ ! AWS 環境の無料範囲が広がります
参加は、高校、高専、大学、専門学校、大学院に通う学生の方なら、個人、学校単位を問いません。チームは最大 4 名までの参加となります。チームメンバーが多いほど AWS Educate から提供される無料で使える利用環境が増え、トライ&エラーが繰り返しやすくなるのでオススメです。
今回は、全チーム顧問となる教員の登録が参加の際にお知らせいただく必要があるので、ぜひ学校の先生にご相談ください。
お申し込みの際は、AWS Robot Delivery Challenge 申し込みフォームでの申し込み後、申し込み完了までの流れをご案内するメールがすぐに送られます。お申し込み確認メールでは 100 ドル分の利用環境を使える AWS Educate の申し込み方法、シミュレーション結果の提出方法などをお知らせしていますので、必ずご確認ください。
遠方の学生の方も、全てリモートで参加できるコンテストとなります。初心者の方ももちろん腕に自信がある皆様も、友人や部活、サークルの仲間と奮ってご参加ください !
詳しいスケジュールやルールは申し込みページにまとまっていますので、まずはご覧ください。
申し込み受付は 3 月 17 日 (水) までです。
学生の皆様のご参加を心から楽しみにしています !
*¹ Amazon RoboMaker : IDE (統合開発環境)、シミュレーションサービス、フリート管理機能に加え、Amazon や AWS のさまざまなサービスとシームレスに統合がされた、ロボット工学ソリューションを提供するサービスです
筆者紹介
竹崎 雄紀
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
Sr. Developer Acquisition Manager
2012 年 アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 (当時 アマゾン データ サービス ジャパン株式会社) 入社。デジタルマーケティング全般を担当する世界初のポジションとして日本でのデジタルマーケティング導入をリードするつもりが、イベントにも大幅に関わり、AWS Summit Tokyo や地方イベントでの演出・協力のほか、AWS マネジメントコンソールの日本語化、AWS ブランド広告企画、他の国の新たなデジタルマーケティング担当者サポートなどマルチタスクを極める貴重な体験をする。2019 年 11 月よりデベロッパーの皆様により AWS を身近なものに感じていただきたいという思いから、 builders.flash を立ち上げ編集長に。AWS 猫会所属。美味しい顔が得意だが、きゅうりとレバーが大の苦手。
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