JAWS DAYS 2021 対談 : oVice が実現するオンラインイベントの双方向体験とは ?

2021-03-02
インタビュー

榎本航介 氏 (JAWS DAYS 2021 -re:Connect- 実行委員 広報担当)
ジョン・セーヒョン 氏 (oVice株式会社 CEO)

JAWS-UG (AWS Users Group-Japan) が主催する、国内最大級のコミュイニティイベント JAWS DAYS。今年は 3 月 20 日にオンラインに最適化されたイベントとして開催されます。そこで今回は JAWS DAYS 2021 のポイントと、イベント期間中の参加者間のコミュニケーションツールとして選定された「oVice (オヴィス)」の魅力などについて紐解いていきます。今回は実行委員広報担当の榎本航介氏と、oVice の開発者であり CEO でもあるジョン・セーヒョン氏が実際に oVice 上で対談を行いました。


oVice 開発秘話と JAWS DAYS 2021 採用の理由とは ?

榎本氏
ジョンさん、今日はよろしくお願いいたします。今日、ジョンさんにお声がけしたのは、ジョンさんが開発された「oVice (オヴィス)」が、JAWS DAYS 2021 のコミュニケーションツールとして採用されたことについてお話ししたかったからです。

ジョン氏
わかりました。こちらこそよろしくお願いいたします。

榎本氏
今回の JAWS DAYS 2021 では、リアルイベントでも行っていた各セッションをオンラインでお届けするだけでなく、参加者が利用できるコミュニケーションスペースを提供することになりました。そのツールとして oVice を採用することにしたのですが、そもそもジョンさんはなぜ oVice を開発されようと思ったのですか ?

ジョン氏
直接のきっかけは、昨年の 2 月、アフリカのチュニジアに出張で滞在中にロックダウンに合ったことです。日本に帰るまでの間、テレワークを強いられることになり、oVice の開発を思い立ちました。

榎本氏
既存のツールでもテレワークは可能ですよね。どうしてあえてご自分でコミュニケーションツールを開発しようと思われたのですか ?

ジョン氏
一言でいうと既存のツールでは満足できなかったからです。確かに会議や打ち合わせに使うだけなら、Web 会議やチャットツールでも可能です。でもオフィスでのコミュニケーションってそれだけじゃありませんよね。いま多くの人が利用しているツールだと、同僚の席の近くを通ったときに話しかけたり、休憩中に同僚同士が集まって雑談したりするような使い方には不向きです。有名なツールをいくつも試してみたのですが、どうもしっくりこなかったので、自分で開発してみることにしました。

榎本氏
いまジョンさんがおっしゃった、人が偶然すれ違って話したり、雑談したりしやすいというのは、実は私たちが oVice を選んだ決め手のひとつなんです。例年、大きな会場を借りて行って開催してきた JAWS DAYS のざわざわした雰囲気や来場者の熱気みたいなものをオンラインでも再現するにはどうしたらいいか、実行委員がツール選定を重ねるなかで、出会ったのが oVice でした。

ジョン氏
oVice を使われた印象はいかがでしたか ?

榎本氏
インストール不要でウェブブラウザだけで使えますし、音質もよくて使いやすい印象でしたね。実行委員の間では、子どものころに夢中になったロールプレーイングゲームのような可愛らしいインターフェイスが好評です。AWS を使ってサービスを構築されているというのも JAWS DAYS にはピッタリだということで、採用を決めました。

ジョン氏
oVice の開発にあたって、とくにこだわったのは、リアルな空間の性質をバーチャル上で再現すること。リアルな空間では、遠くの人の声は聞こえず、近くの人の声はハッキリ聞こえますよね。もしこれをサービスに実装できたら、不意に出会った人と偶然言葉を交わすような、偶発的なコミュニケーションを誘発するトリガーになるのではないかと考えました。そもそも遠くの声を拾う必要がなければ帯域の節約にもなりますし、サーバー代の削減にもなります。それが oVice 開発のモチベーションだったんです。

JAWS DAYS -re:Connect- でご利用いただける oVice 画面。自由に移動できるオンラインコミュニケーションスペースの中で、セッションスピーカーへの質問や、参加者とのコミュニケーションもできる。 (開発中イメージのため当日は変更となる場合があります)

榎本氏
技術的に工夫されていることがあれば聞かせていただけますか ?

ジョン氏
AWS の使い方は Amazon EC2 と Auto Scaling、 Amazon RDS を利用したごく一般的な構成なのですが、通信に関してはハイブリッド P2P 技術を採用しました。oVice にログインすると、個々のデバイスはネットワークを介して AWS 上のサーバーに接続され、音声や映像はピアツーピア、もしくは中間サーバーを経由してやり取りされます。参加人数に合わせて、通信効率を調整できるので、たとえ参加者の通信環境があまりよくなくてもパフォーマンスを出せるというメリットがあるんです。

榎本氏
なるほど。不特定多数の方に利用していただくわけですから、どのような環境でも使えることが重要ですよね。ジョンさんのお話しから、oVice が人間らしい自然なコミュニケーションを目的に設計されたツールだということがよくわかりました。実行委員が感じた使いやすさの背景がわかってよかったです。


オンラインイベントが生み出せるメリットとは

榎本氏
実は、JAWS DAYS 2021 の企画を始めた昨年まで、まだリアルとオンラインによるハイブリッド開催の可能性を模索していたのですが、年明け早々にオンライン開催に舵を切って準備を進めることになりました。

ジョン氏
oVice も 8 月にオープン β 版リリースしてから、さまざまなイベントでご利用いただきました。

榎本氏
ジョンさんもご存じだと思いますが、全国に支部がある JAW-UG でも、去年 1 年間でかなりの数のオンラインイベントを行いました。しかし当初はリアルイベントが実施できないから、仕方なくオンラインイベントをやるという後ろ向きなイメージがあったのは否めません。しかしすぐにオンライン開催にしたからこそのメリットにも気付きました。これまで会場まで足を運ぶことが難しかった方々にも、参加していただけることがわかったからです。

ジョン氏
確かにオンラインのほうが参加のハードルは下がりますよね。

榎本氏
そうなんです。それなら JAWS-UG にとって最大のイベントである今年の JAWS DAYS は過去最大の参加者を集めるイベントにしようと。リアルイベントでは会場の制限があって例年の来場者数は 2000 名程度なのですが、今回は 1 万人の参加枠を用意しています。私たちにとって少し高めの目標ですが、せっかくなら大きなチャレンジにしたほうが楽しいじゃないですか。それで 1 万人という大きな目標を掲げているんです。

ジョン氏
すでに 1000 名規模の企業ユーザーが、テレワークやイベント会場などとして oVice を利用しています。用途によってフロアをわけることもできますし、理論的にも全体で 1 万人程度の受け入れは許容範囲。数千人が一度に来場するようなことがあっても十分対処できると思います。AWS Auto Scaling もちゃんと設定していますからね。

榎本氏
それを聞いて安心しました。今回の JAWS DAYS 2021 は、初めて参加する方がコミュニティと交流しやすい環境を作りたいという思い、そして直接会う機会が減ってしまった JAWS-UG メンバー同士の心を再び結びつけたいという思いも込めたイベントです。何度も参加してくださっている方はもちろん、初めて参加する方にとっても、コミュニティとのつながりを実感してもらえるようにしたいからこそ、イベントのサブタイトルに「-re:Connect-」と付けました。ですから、参加者のコミュニケーションを取り持つ oVice さんには、実行委員一同とても期待を寄せているんです。

ジョン氏
私たちとしても多くの方が参加する著名なユーザーイベントに関われて光栄です。会場内でどんな出会いやつながりが生まれ、どんな使われ方をしてもらえるか、私自身、いまからとても楽しみにしています。


開発者が太鼓判。「人混みが苦手な方も安心して参加できます」

榎本氏
ところでジョンさんは、JAWS DAYS のようなコミュニティイベントに、ひとりのエンジニアとして参加されたご経験はありますか ?

ジョン氏
実は人混みが苦手なのであまり参加したことがないんです。

榎本氏
なかにはそういう方もいらっしゃいますよね。

ジョン氏
はい。でも今回はオンライン開催です。会場内をどこでも自由に行き来できるので、人が集まっている場所に近づいてみて、面白そうなら話題に加わればいいですし、ちょっと違うなと思えばすぐに立ち去ってしまえばいい。リアルだとちょっと気まずいかもしれませんが、バーチャル会場ですから相手に不自然さを与えることなく振る舞えます。今回の JAWS DAYS 2021 は、私のように人混みが苦手な方でも気楽に楽しんでもらえるはずです。

榎本氏
もちろん、みなさんの会話を聞いているだけでも楽しめますからね。今回の JAWS DAYSでは、登壇者に講演後、直接質問できる「Ask The Speaker」を実施するなど、初めての試みやオンラインイベントならではの企画をたくさん準備しています。みなさん思い思いのやり方で楽しんでいただければうれしいですね。

ジョン氏
テレワークで oVice を利用してくださっているユーザーのなかには、コミュニケーションスペース内で人文字をつくって楽しんだり、ジョギングコースをつくってアバターを走らせながら会話を楽しんでいる人たちがいたりします。もはやユーザーの発想と行動力は完全に私たちの想像を超えてしまいました  (笑) 。JAWS DAYS ならではの面白い楽しみ方が生まれてくれたら、開発者としてこれほどうれしいことはありません。

榎本氏
みなさんに楽しんでもらえるよう実行委員が力を合わせて成功に導きたいと思っています。ジョンさん、本日はお忙しいなか、お話しを聞かせていただきありがとうございました。

ジョン氏
こちらこそありがとうございました。 一緒にいいイベントにしていきたいですね。

榎本氏
はい。私たちも oVice のみなさんの活躍に期待しています。関係者が力を合わせて、ぜひ JAWS DAYS 2021 を成功させましょう !


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プロフィール

榎本 航介 氏
JAWS DAYS 2021 -re:Connect- 実行委員 広報担当

日本IBM や SES でインフラエンジニア、その後スタートアップでスクラムマスターやカスタマーサクセスを経験後、現在は株式会社LIXIL の新規事業開発部門でプロダクトオーナーを担当。X-Tech JAWS および JAWS-UG 千葉支部の運営に参画する傍ら、JAWS SONIC & MIDNIGHT JAWS 2020 では広報・マーケティングを担当し、 JAWS DAYS 2021 でも引き続き広報・マーケティングを担当する。プライベートでは生後半年の黒猫 (こまち) の下僕。

ジョン・セーヒョン 氏
oVice株式会社 CEO

1991 年生まれ、オーストラリアで高校卒業後、韓国に帰国し、貿易仲介事業を起こす。東日本大震災をきっかけに日本の大学に進学し、IT 企業の企画インターンを経て、大学在学中、大阪で起業し、越境関連 IT 事業を行う。複数のベンチャーキャピタルから資金調達を行い、2017 年、東証一部上場企業に会社を売却。2019 年からは AI・ブロックチェーン・RPA など、先端の IT 技術のコンサルティングを行っており、2020 年に、新たな技術を創造するための NIMARU TECHNOLOGY(現 oVice )を設立。コロナによってアフリカのチュニジアで足止めされたことをきっかけに oVice の開発を始める。

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