DNS の仕組み、および部分的または断続的な DNS 障害をトラブルシューティングする方法を教えてください。

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DNS の仕組みと、部分的または断続的な DNS 障害をトラブルシューティングする方法を教えてください。

解決策

DNS の概要

DNS は、覚えやすい名前 (www.example.com など) を 192.0.2.1 などの数値の IP アドレスに変換することで、ユーザーをインターネットアプリケーションにルーティングします。このプロセスを「DNS 解決」と呼びます。 権威ネームサーバーは、ドメイン名を 1 つまたは複数の IP アドレスに解決し、その IP アドレスを DNS リゾルバーのチェーンを介してクライアント (例えば、Web サイトの閲覧を要求しているユーザーのコンピュータ) に渡します。次に、クライアントはその IP アドレスを使用して、Web サイトがホストされているサーバーに接続します。DNS が正しく機能していないと、DNS サーバーはドメイン名を解決できません。この場合、DNS サーバーは、Web サイトがホストされているサーバーの IP アドレスをクライアントに提供できません。つまり、これらのウェブサイトにはインターネットからアクセスできません。

詳細については、「DNS とは」を参照してください。

部分的、一時的、または断続的な DNS 障害シナリオ

場合によっては、クライアントに DNS 障害が短期間または断続的に発生します。DNS の部分的な障害を引き起こす可能性がある一般的なシナリオは次のとおりです。

シナリオ 1: レジストラのネームサーバーの設定が正しくない

レジストラで 1 つ以上のネームサーバーの設定が誤っていることがあります。「whois」検索は、ドメインのレジストラに設定されているネームサーバーを提供します。この場合、DNS 解決中に、登録されたネームサーバーが応答しなかったり予期しない情報で応答したりすると、ローカルリゾルバーから SERVFAIL メッセージが返されます。ただし、場合によっては、ローカルリゾルバーが別のネームサーバーで要求を試行し、結果を返すことがあります。

さらに、ローカルリゾルバーが間違ったネームサーバーを TTL 時間中にキャッシュし、誤って設定されたネームサーバーに次のクエリを送信する可能性があります。

シナリオ 2: ホストゾーンでネームサーバーが変更された

部分的な DNS 障害が発生するもう 1 つの理由は、ドメインの NS レコードがホストゾーンで誤って設定されている場合です。この場合、既存のネームサーバーが更新されたか、NS レコードの値にネームサーバーがいくつか追加された状態です。

この場合、リゾルバーが間違ったネームサーバーを使用してドメインを解決しようとすると、一部のクライアントで部分的な DNS 障害が発生する可能性があります。

シナリオ 3: クライアントの DNS リゾルバーがドメインを解決できない

Linux の resolv.conf のように、クライアントがリゾルバー設定ファイルにカスタムリゾルバーまたは誤ったリゾルバーを設定することがあります。このようなケースで、Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) 内の Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスからドメインを解決している場合、EC2 インスタンスは resolv.conf で定義されたネームサーバーを使用します。

シナリオ 4: Amazon が提供する DNS サーバーが DNS クエリをスロットリングする

Amazon が提供する DNS サーバーは、Elastic Network Interface ごとに 1 秒あたり 1024 パケットの制限を適用します。Amazon が提供する DNS サーバーは、この制限を超えるトラフィックをすべて拒否します。DNS スロットリングが原因で、DNS が断続的にタイムアウトします。インスタンスでキャッシュを有効にするか、アプリケーションの DNS 再試行タイマーを増やすことで、この問題を解決できます。

シナリオ 5: ドメイン URL はインターネットから解決されるが、EC2 インスタンスからは解決されない

次の操作を実行した場合、ドメインの DNS クエリは常にプライベートホストゾーンから解決されます。

ドメインのクエリされたレコードがプライベートホストゾーンに存在しない場合、DNS クエリは失敗してパブリックドメインに転送されません。DNS レコードはパブリックドメインゾーンにあるため、インターネットから解決されます。

Linux ベースのオペレーティングシステムでの DNS 障害をトラブルシューティングする

dig コマンドを使用して、ホストの /etc/resolv.conf ファイルに設定されているクライアント DNS サーバーを検索します。

$ dig www.amazon.com

; <<>> DiG 9.8.2rc1-RedHat-9.8.2-0.37.rc1.49.amzn1 <<>> www.amazon.com
;; global options: +cmd
;; Got answer:
;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, status: NOERROR, id: 13150
;; flags: qr rd ra; QUERY: 1, ANSWER: 1, AUTHORITY: 0, ADDITIONAL: 0

;; QUESTION SECTION:
;www.amazon.com.    IN    A

;; ANSWER SECTION:
www.amazon.com.        41    IN    A    54.239.17.6

;; Query time: 1 msec
;; SERVER: 10.108.0.2#53(10.108.0.2)
;; WHEN: Fri Oct 21 21:43:11 2016
;; MSG SIZE rcvd: 48

上記の例の回答セクションには、54.239.17.6 が HTTP サーバー www.amazon.com の IP アドレスであることが示されています。

+trace 変数を追加すると、次の例に示すように dig コマンドで DNS レコードを再帰的に検索することもできます。

$ dig +trace www.amazon.com

; <<>> DiG 9.8.2rc1-RedHat-9.8.2-0.37.rc1.49.amzn1 <<>> +trace www.amazon.com
;; global options: +cmd
.        518400    IN    NS    J.ROOT-SERVERS.NET.
.        518400    IN    NS    K.ROOT-SERVERS.NET.
.        518400    IN    NS    L.ROOT-SERVERS.NET.
…
;; Received 508 bytes from 10.108.0.2#53(10.108.0.2) in 31 ms

com.        172800    IN    NS    a.gtld-servers.net.
com.        172800    IN    NS    b.gtld-servers.net.
com.        172800    IN    NS    c.gtld-servers.net.
…
;; Received 492 bytes from 193.0.14.129#53(193.0.14.129) in 93 ms
amazon.com.        172800    IN    NS    pdns1.ultradns.net.
amazon.com.        172800    IN    NS    pdns6.ultradns.co.uk.
…
;; Received 289 bytes from 192.33.14.30#53(192.33.14.30) in 201 ms
www.amazon.com.    900    IN    NS    ns-1019.awsdns-63.net.
www.amazon.com.    900    IN    NS    ns-1568.awsdns-04.co.uk.
www.amazon.com.    900    IN    NS    ns-277.awsdns-34.com.
…
;; Received 170 bytes from 204.74.108.1#53(204.74.108.1) in 87 ms

www.amazon.com.    60     IN    A    54.239.26.128
www.amazon.com.    1800   IN    NS   ns-1019.awsdns-63.net.
www.amazon.com.    1800   IN    NS   ns-1178.awsdns-19.org.
…
;; Received 186 bytes from 205.251.195.251#53(205.251.195.251) in 7 ms

次の例に示すように、ネームサーバーのみを返すクエリを実行することもできます。

$ dig -t NS www.amazon.com

; <<>> DiG 9.8.2rc1-RedHat-9.8.2-0.37.rc1.49.amzn1 <<>> -t NS www.amazon.com
;; global options: +cmd
;; Got answer:
;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, status: NOERROR, id: 48631
;; flags: qr rd ra; QUERY: 1, ANSWER: 4, AUTHORITY: 0, ADDITIONAL: 0

;; QUESTION SECTION:
;www.amazon.com.        IN    NS

;; ANSWER SECTION:
www.amazon.com.        490    IN    NS    ns-1019.awsdns-63.net.
www.amazon.com.        490    IN    NS    ns-1178.awsdns-19.org.
www.amazon.com.        490    IN    NS    ns-1568.awsdns-04.co.uk.
www.amazon.com.        490    IN    NS    ns-277.awsdns-34.com.

;; Query time: 0 msec
;; SERVER: 10.108.0.2#53(10.108.0.2)
;; WHEN: Fri Oct 21 21:48:20 2016
;; MSG SIZE rcvd: 170

上記の例では、www.amazon.com には次の 4 つの権威ネームサーバーがあります。

  • ns-1019.awsdns-63.net
  • ns-1178.awsdns-19.org
  • ns-1568.awsdns-04.co.uk
  • ns-277.awsdns-34.com

これらの 4 つのサーバーはいずれも、www.amazon.com のホスト名に関する質問について、権威ある回答を提供します。dig コマンドを使用して、特定のネームサーバーを直接ターゲットにします。特定のドメインのすべての権威ネームサーバーが正しく応答するかどうかを確認します。

以下は、権威ネームサーバー (ns-1019.awsdns-63.net) の 1 つに対して www.amazon.com に関するクエリを実行した場合の出力例です。サーバーからの応答は、www.amazon.com が 54.239.25.192 で利用できることを示しています。

$ dig www.amazon.com @ns-1019.awsdns-63.net.
; <<>> DiG 9.8.2rc1-RedHat-9.8.2-0.37.rc1.49.amzn1 <<>> www.amazon.com @ns-1019.awsdns-63.net.
;; global options: +cmd
;; Got answer:
;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, status: NOERROR, id: 31712
;; flags: qr aa rd; QUERY: 1, ANSWER: 1, AUTHORITY: 4, ADDITIONAL: 0
;; WARNING: recursion requested but not available

;; QUESTION SECTION:
;www.amazon.com.    IN    A

;; ANSWER SECTION:
www.amazon.com.        60    IN    A    54.239.25.192

;; AUTHORITY SECTION:
www.amazon.com.        1800    IN    NS    ns-1019.awsdns-63.net.
www.amazon.com.        1800    IN    NS    ns-1178.awsdns-19.org.
www.amazon.com.        1800    IN    NS    ns-1568.awsdns-04.co.uk.
…

;; Query time: 7 msec
;; SERVER: 205.251.195.251#53(205.251.195.251)
;; WHEN: Fri Oct 21 21:50:00 2016
;; MSG SIZE rcvd: 186

次の行は、ns-576.awsdns-08.net が amazon.com の権威ネームサーバーであることを示しています。

;; flags: qr aa rd; QUERY: 1, ANSWER: 1, AUTHORITY: 4, ADDITIONAL: 0

aa フラグが表示されているということは、ネームサーバー ns-1019.awsdns-63.net がリソースレコード www.amazon.com に対して権威のある回答を提供したことを示します。

Windows ベースのオペレーティングシステムでの DNS 障害をトラブルシューティングする

次の例に示すように、nslookup ユーティリティを使用して、ホスト名に関連付けられている IP アドレスを返します。

C:\>nslookup www.amazon.com
Server:     ip-10-20-0-2.ec2.internal
Address:    10.20.0.2

Non-authoritative answer:
Name:       www.amazon.com
Address:    54.239.25.192

nslookup ユーティリティを使用してホスト名の権威ネームサーバーを特定するには、-type=NS フラグを使用します。

C:\>nslookup -type=NS www.amazon.com
Server:     ip-10-20-0-2.ec2.internal
Address:    10.20.0.2

Non-authoritative answer:
www.amazon.com    nameserver = ns-277.awsdns-34.com
www.amazon.com    nameserver = ns-1019.awsdns-63.net
www.amazon.com    nameserver = ns-1178.awsdns-19.org
…

www.amazon.com の ns-277.awsdns-34.com が www.amazon.com への要求に正しく応答するかどうかを確認するには、次の構文を使用します。

C:\>nslookup www.amazon.com ns-277.awsdns-34.com
Server:     UnKnown
Address:    205.251.193.21

Name:       www.amazon.com
Address:    54.239.25.200

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