akippaは、「個人が所有する空きスペース」や「未契約で空いている月極の駐車場」を、1 日単位で予約が出来る駐車場として活用出来るサービスで、誰でも簡単にご利用いただけます。専門分野は今までほぼ例が無く、「シェアリングエコノミー」とするのが一番近いと考えています。2014 年 4 月にローンチしてから約 1 年ですが、「ユーザーは駐車場を予約して使える」「オーナーは空いているスペースを初期費用無しで貸出せる」新しい視点でのアプローチが認知され始め、Infinity Ventures Summit 2014 Kyoto での Launchpad 優勝を機にユーザー数、オーナー数、保有車室数、マスコミや各メディアへの露出度など全てが著しく急増しています。

本格的にサービスをリリースするにあたり、当初 VPS をテストや開発環境で利用していましたが拡張性や柔軟性、機能面での限界を感じていました。今後の自社のビジネス成長を見据えてクラウド利用の検討を開始しました。

検討にあたっては、前提条件として以下のような点を考慮いたしました。

  • オンプレミスで無いこと
  • バックアップ、復旧が容易
  • 急な増強や拡張に対応できること

さらに重要視した点として、スタートアップに多くの実績があるかどうか、エンジニアチームのニーズ(開発に集中できるか等)を満たせるかどうかという点がありました。前提条件と実績面を調べたところ、海外、国内の有名スタートアップ企業で数えきれない実績があり、前提条件と実績の両面をクリアできるクラウドは AWS しかありませんでした。

エンジニアチームのニーズをヒアリングしたところ、「必要な時に、必要な分だけ、必要な機能を、最速で」といったシンプルなものでしたので、実際に先ずは AWS を検証することを優先しました。

エンジニアチームで AWS の検証を開始してみると WEB からのコンソール画面、API、SDK などでインフラを柔軟にコントロールできるだけでなく、さまざまなサービスや機能を組み合わせることによって、大幅に効率改善できることがわかり、AWS を採用を正式に決定いたしました。

AWS はサービス設計段階から導入を始め、2015 年 10 月現在で 1 年 5 ヶ月ほど利用しています。VPS からのサーバー環境移行にほとんど工数が掛からず、動作テストを含め 1 営業日(約 8 時間)で完了することができました。

現状、Elastic Load Balancing 配下で 2 ~ 3 台の Amazon EC2 インスタンスと、Amazon RDS でリードレプリカを稼働させていますが、AWS はドキュメントが充実しているため、「過度に専門的な知識が必要ない」と言うところが大きなポイントだと思います。当社のようなスピードを要求されるスタートアップでは、AWS が提供するこうした点がとても助かっています。

また、今では運用の自動化が進み、管理コストが大幅に削減できたことに加え、自社のサービスに集中できる時間を増やすことができたため、新しい機能の開発や、サービスの安定稼働に向けた品質の改善に取り組んでいます。

本番開始時から AWS を利用を開始していますが、常に新しい機能や高性能インスタンスが追加されるため、常に新しい改善を体験できています。

運用面では、Amazon EC2、Elastic Load Balancing、Amazon ElastiCache の柔軟性、Amazon RDS や Amazon S3 の高い安定性により「環境に起因する」と思われる障害発生の不安がなく、「トラブルの心配が無い=攻めの一手を考えられる」ということを実現できています。

また、AWS には様々なスタートアップ支援プログラムがあり、Ventures Summit 2014 Kyoto で優勝した際には、「本当に叶う Amazon ウィッシュリスト」に加えて AWS Activate というプログラムの支援をいただきました。その中でもソリューションアーキテクトによる技術サポートが印象的でした。この技術サポートのおかげで、有名メディアやテレビ局などに紹介された際にも事前にレビューをいただくことができた結果、通常の数十倍ものアクセスが数時間以上続いたような場面でも、落ちることがなく安定したサービス提供することができました。

さらに、積極的にコスト削減の提案もしていただけるため、最近では Amazon EC2 サーバーではなくマネージドサービスのみを使うアーキテクチャも取り入れるようになってきました。

コスト面でも、オンプレミスを選択した場合、スタートアップが自社で物理サーバーを持つ際に求められる多額な初期投資、物理的な管理、運用、減価償却、財務上の資産管理などから解放され、自社のサービスに集中できる環境を実現できていると思います。

現在では、AWS サポートのビジネスプランも利用させていただいていますが、ケース作成からクローズまで速やかに対応して頂けるのと、AWS 環境に於いてよく使われるユースケースや、ベストプラクティスなどアドバイスも頂けるため大変助かっています。

AWS および Amazon のご担当の方はただのベンダーとお客さんという関係ではなく、1 つの同じチームという印象です。何かあればすぐに相談にのって頂き親身になって私どものビジネスや技術を支援していただけることに感謝しています。

今後は Amazon Elasticsearch Service など新しいサービスを利用してログの可視化や、既存環境のデプロイから運用まですべて自動化に対応していく予定です。また、単純にインスタンスを増やすだけではなく、AWS のマネージドサービスを利用して、Amazon EC2 サーバーを使わないサーバーレスアーキテクチャなど、クラウドネイティブの機能を生かして、自社のビジネス成長に合わせて柔軟に拡張していこうと思います。

AWS はスモールスタートが容易に出来るので、企業の規模問わず簡単に始められます。また個人でも使用できるコスト感ですし、サービスによっては無償枠があるので、必要な機能のみを簡単に試すなど、エンジニアが自身のスキルアップに触ってみるといったことも容易にできます。

万が一、要件に見合わない場合でも使わなければ料金も発生しないのでリスクはほとんど無いと思います。本番リリース後もビジネスの状況によって、柔軟にインフラをコントロールすることができるクラウドは AWS だけといっても過言では無いと思います。

先ずは、「触ってみること」をお勧めします。

 

- akippa株式会社 akippa事業部制作チーム