アサヒ緑健、奉行シリーズの稼働環境を 2 か月でオンプレミスから AWS に移行し、サーバーコストを削減

“一人でも多くの方の健康づくりの役に立ちたい”の思いをこめて、1997 年に福岡県で創業したアサヒ緑健。以来、『つくるのは、元気』をミッションに掲げ、青汁を中心とした健康食品を販売してきました。設立から 25 年間で青汁商品の販売実績は累計 25 億杯以上を記録し、2006 年から 2022 年まで 17 年連続で青汁売上高 No.1（※2022 年 8 月 東京商工リサーチ調べ）を維持しています。

経営の基盤となる財務会計システムは、奉行シリーズの『勘定奉行 i10』を採用し、データセンター事業者のオンプレミス環境で運用してきましたが、サーバーのハードウェア更新を迎えるのを機に、クラウド化を検討しました。

「オンプレミス環境を再構築する想定でコストを見積ってみたところ、予想以上に高額になることがわかりました。そこで、今後のハードウェアの更新コストや運用コストを鑑みて、クラウドへの移行を決めました」と語るのは、第 2 営業グループ デジタルマーケティング課 分析チーム リーダーの外山知志氏です。

いったんは、オンプレミス環境で運用していた他の業務系システムもまとめてクラウドに移行することを検討しましたが、回線契約などの都合もあり、まずはインターネット回線のみで利用できる勘定奉行 i10 を先行してクラウド化することを決定しました。

「これまで、業務委託している会計士や関連会社の経理担当などが社外から勘定奉行を利用する際には、VPN で社内ネットワークにアクセスしており、セキュリティ面で課題がありました。それを回避するためにも、インターネット回線で利用するクラウド環境に勘定奉行を移行することは理にかなっていました」（外山氏）

アサヒ緑健は 2019 年春頃から勘定奉行のクラウド移行の検討を本格化し、社内で利用実績のあった AWS を選定しました。

同社が AWS を初めて採用したのは 2016 年頃のことで、EC サイトの画像・動画保存用にストレージサービスの Amazon S3 を利用したのがきっかけです。その後、2019 年に EC サイトをオンプレミス環境から AWS に移行して、新たな施策に柔軟に対応できる環境を構築しました。

「これまで AWS を利用してきて実感しているのは、セキュリティの高さとコストメリットです。そのため勘定奉行の移行に際しても AWS ありきで考え、どのベンダーの提案を採用するか検討を行いました」（外山氏）

2021 年 9 月より導入パートナーの選定に着手し、AWS から紹介を受けた TOKAI コミュニケーションズに決定。奉行シリーズを AWS 上に構築するサービス『奉行 for AWS』を利用して移行することにしました。『奉行 for AWS』は、AWS 構築案件の実績を豊富に持ち、AWS アドバンストティアサービスパートナーとして培ってきた TOKAI コミュニケーションズの技術力を活かしたサービスです。オンプレミスの奉行シリーズをそのまま移行するため、クラウド環境に移行してもこれまで通りの操作で利用できます。また TOKAI コミュニケーションズが要件定義から構築後の運用までをワンストップで支援し、ユーザー企業側は最小限の監視サービスと運用ツールを提供する『スモールプラン』からフルマネージドの『おまかせプラン』まで、運用面でも柔軟に選択することができます。

「AWS からの推薦もありましたが、TOKAI コミュニケーションズの選定の決め手になったのは、営業担当者の誠実な人柄と、同社の AWS 専任チームによる親身な提案です。押しの強い営業提案でなく、アサヒ緑健の意見を尊重し、一歩引いたスタンスで接してくれました。導入後のサポートについても、フルメニューそのままではなく、当社が対応する範囲と TOKAI コミュニケーションズに任せる範囲が柔軟に選択できるメニューを提案していただき、サービスラインアップの豊富さを評価しました」（外山氏）

AWS への移行プロジェクトは 2021 年11 月末にスタートし、2022 年 2 月初旬にカットオーバーしました。開発期間は実質 2 か月という短期導入になります。稼働直後には、一部の動作にトラブルが発生したものの、速やかにリカバリーして安定稼働に移行しました。

第 1 営業グループ 業務サポート課 通販管理チーム リーダーの居石純一氏は TOKAI コミュニケーションズの貢献について、次のように評価します。「導入時は AWS アカウントの発行から、AWS 環境の構築、奉行環境の構築、データ移行（リハーサル、本番）まですべて任せることができ、当社側に大きな負担はありませんでした。稼働直後に発生したトラブルでも毎朝早い時間帯からシステムの動作チェックを行うなどして、原因究明に努めていただきました」

アサヒ緑健では、勘定奉行の AWS 移行によってオンプレミス環境から脱却し、併せて関連会社などの拠点から接続するためのデスクトップ仮想化用のサーバーも廃止することができました。社内ネットワークへの接続からインターネット接続への変更により、会計士や関連会社の経理担当が社内ネットワークにアクセスする必要もなくなり、セキュリティ面の不安も解消されました。

サーバーのコスト面では、従量課金型のオンデマンドインスタンスを時間単位で使用することによって費用を抑えることが可能になりました。

「経理会計業務の特性上、勘定奉行を利用する時間帯は平日の朝から夜までに限られます。そのため、現在は平日の夜間の 22 時から朝 6 時までの 8 時間と、休日の全時間帯はサーバーを停止しています。これにより利用料金を低く抑えられ、クラウドのメリットを実感しています」（居石氏）

本社および関連会社の経理会計担当者や外部の会計士などの勘定奉行ユーザーからは、AWS への移行後も操作方法が変わらず使えることが好評です。

「ユーザーにとっては変わらないことが何よりも一番で、その点においても現場から感謝の声が届いています」（外山氏）

勘定奉行のクラウド移行を終えた今、今後の検討課題として残されているのは、今回は移行を見送ったオンプレミス環境の業務システムの AWS への移行と、既存のネットワーク回線の再構築、バックアップ回線の構築、の 3 点です。これらについても AWS とネットワークの両方に知見を持つ TOKAI コミュニケーションズの支援に期待を寄せています。

その他の AWS のサービス利用についても、将来的には BI ツールの Amazon QuickSight などを利用して青汁商品の売上分析を行い、データに基づくマーケティングを実施する青写真を描いています。

「青汁商品の販売拡大に向けて、AWS の分析系サービスにも興味がありますので、引き続きさまざまな情報をいただきながら、実現に向けて取り組んでいきたいと思います」（外山氏）EC サイトから基幹システムまで、積極的なクラウド移行を進めているアサヒ緑健は、今後も IT の機動力を活かして多くの青汁商品をお客様に届けていきます。