グローバルビジネス拡大に向けては、現地でのビジネスニーズに対応しながら最新のテクノロジーを瞬時に取り込み、
お客様に最高のサービスを提供するため走り続ける必要があります。
私たちがサービス開発に集中するためには、機動性と柔軟性を備えた AWS しか選択肢はありませんでした。
 
青野 慶久 氏 サイボウズ株式会社 代表取締役社長

『サイボウズ Office』をはじめとした企業向けグループウェアやアプリケーションなどの開発・販売を手がけるサイボウズ株式会社。近年は多くの製品を日本国内の自社基盤で運用するクラウドサービスとして提供しています。米国向けの業務改善プラットフォーム『Kintone.com』も国内基盤から提供していましたが、2019 年 9 月より AWS 上で構築した環境からの提供に移行。US で必要となるビジネスニーズに対応し、より高いパフォーマンスを実現しました。


“チームワークあふれる社会を創る”を理念に、世界で一番使われるグループウェアメーカーを目指すサイボウズ。2011 年にはグループウェア製品の『サイボウズ Office』『サイボウズ Garoon』などのクラウド版を提供開始するとともに、業務改善プラットフォーム『kintone』をクラウドサービスとしてリリースしました。現在はクラウド事業の売上高が約 70% を占め、契約社数も 3 万 6,000 社* を超えています。

2007 年からは海外進出を開始し、 US では現地法人を通して 2014 年より『Kintone.com』の名称で事業展開をしています。この運用基盤は国内向けサービスと同様、日本のデータセンターを利用してきました。しかし、現地での事業の今後の拡大を見据えるとインフラがボトルネックとなる懸念がありました。「例えば政府系機関や医療系企業などからは厳格なセキュリティ・コンプライアンス要件を求められます。グローバル標準の認証やセキュリティ機能等が充実している US のインフラで運用することが望ましいと考えました。また、課金に対するニーズも日本と海外とで異なります。海外ビジネスを加速するためには現地のビジネスニーズに柔軟に対応しながら、最新のテクノロジーを瞬時にシステムに取り込み、お客様に優れたサービスを提供していかなければなりません。開発力と機動力を高めるにも、クラウドサービスの利用にシフトすることが不可欠と判断しました」と語るのは代表取締役社長の青野慶久氏です。

『Kintone.com』の IT インフラ選定は 2017 年 7 月~ 12 月にかけて検討を行い、US で実績のある複数のクラウドサービスの中から PoC を実施し AWS に決定しました。

選定のポイントとして、執行役員 開発本部長の佐藤鉄平氏は次の 3 つを挙げます。

「1 つめは、マネージドサービスが充実していることです。チャレンジャーとして USでビジネスを推進するためにはスピードが重要です。その点、AWS のマネージドサービスは開発や運用管理の生産性を飛躍的に高めることができます。2 つめは、AWS Identity and Access Management (AWSIAM) をはじめとしたコンプライアンスやセキュリティ機能です。企業向けプラットフォームである『Kintone.com』にとって、AWS が世界的な認証規格に準拠している実績は、非常に心強いものでした。3 つめは、AWS のサポート体制です。選定段階から AWS の担当者やソリューションアーキテクトの対応がきめ細かく的確で、今後開発を進めていくうえで頼りになると期待しました。さらにエコシステムの充実や最新情報入手の容易性なども加味して AWS を選定しました」

プロジェクトではスクラム開発を採用し、インフラチームとアプリケーションチームが一体となって取り組んでいます。Infrastructure as Code のメリットを活かし、DevOps を意識した開発の実践は同社にとって初めての試みでしたが、意思疎通が早くなることで開発が飛躍的にスピードアップしたといいます。

『Kintone.com』のインフラは DB にAmazon Aurora、検索エンジンに Amazon Elasticsearch Service (Amazon ES)、アプリケーションの基盤には Amazon Elastic Kubernetes Service (Amazon EKS) と、マネージドサービスを中心に構成しています。Amazon Aurora は性能面と保守性の高さ、Amazon ES はスケーラビリティーの高さ、Amazon EKS は構築運用コストの低さを評価しています。特に Amazon EKS は、同社全体のインフラ基盤に Kubernetes を使ったコンテナを展開していくことを見据えたうえでの採用で、ノウハウの蓄積につながりました。開発期間中の AWS の支援体制について佐藤氏は「マニュアルに載っていない実用的なアドバイスも多くいただき、開発者も的確な回答をもらうことができ満足しています」と評価しています。

AWS 移行による効果としては、US の顧客のセキュリティニーズを満たしつつ高いパフォーマンスを実現したこと、停止時間の削減やスピーディーなサービス改善が実現したことなどが挙げられます。また、クラウドネイティブなアーキテクチャに移行したことで、開発のアジリティが向上しました。

「AWS CloudFormation の活用などで、新たな機能開発を思い立ってから本番環境に反映するまでの時間が、従来の半月程度かかっていたものが 1 週間に短縮され、生産性が高まりました」(佐藤氏)

AWS 導入事例:サイボウズ株式会社 -  構成図


 

インフラ移行と並行して、現地のビジネスニーズに対応すべく販売管理システムもグローバル版に刷新しています。これら成長戦略の実現に向けた環境を整えた同社は、今後 US 事業において 3 年間で 3 倍の売上を目指すといいます。

「業務改善プラットフォームは大企業から中小企業まで幅広く使えるソリューションですが、US の市場はまだ発展途上にあります。今回、AWS ベースの『 Kintone.com』のリリースで足回りが整いましたので、市場を盛り上げて多くのお客様を獲得していきます」(青野氏)

その中で同社は SaaS や AWS のサービスからデータを活用してアプリケーションを接続する Amazon EventBridge により、マーケティング領域でのエコシステムも構築していこうとしています。青野氏は「Amazon EventBridge により、『Kintone.com』の各種 API を AWS 経由で他のアプリケーションに連携できるようになることで他の SaaS ベンダーとの連携がしやすくなり、US 市場でサイボウズのプレゼンスが高まることを期待しています」と話します。

US 向け『Kintone.com』のサービス提供基盤を AWS に移行したサイボウズが次の機会と考えているのが、他の地域への横展開です。特に『kintone』のビジネスが好調な中国、台湾、タイ、インドネシアなどのアジア地域への展開は大きなポテンシャルを感じており、その際も AWS の中国、シンガポールなどのアジアのリージョンの活用が選択肢となるといいます。

チームワークあふれる社会を創るために、働き方改革の推進やパートナーシップの強化に取り組むサイボウズ。海外市場への進出においても、その理念は変わることはなく、グループ一体でクラウド化を進めていく考えです。

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青野 慶久 氏

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佐藤 鉄平 氏

* 2019 年 12 月現在


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AWS への移行に関する詳細は、クラウド移行の詳細ページをご参照ください。