世界中で遊べるマルチプレイゲームのインフラに Amazon GameLift を採用
高度なマッチメイキングにより、優れたゲーム体験を創出

2022

スマートフォン向けパズル RPG『パズル&ドラゴンズ(以下「パズドラ」)』などでおなじみのガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社(以下「ガンホー」)。同社は、パズドラのリリース当初からゲームのインフラとしてアマゾン ウェブ サービス(AWS)を利用しています。2020 年 6 月にリリースしたオンライン対戦アクションゲーム『Ninjala(ニンジャラ)』では、マルチプレイに対応したゲームサーバー開発向けフルマネージドサービスである Amazon GameLift を採用。世界中のプレイヤーが対象となる本タイトルの高度なマッチメイキング要件を満たしながら、導入・運用コストを削減しています。

AWS 導入事例  | ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
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サーバーサイドやマッチングシステム部分は AWS にお任せできるようになりました。そのため、私たちはお客様により優れたゲーム体験を提供することに注力できるようになっています。自分たちでサーバーを用意する方法と比べると、構築コストは半分ほどで済んでいます。また、運用コストについても毎月 4 人月は削減できています

菊池 貴則 氏
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
CTO

オンライン対戦ゲームに不可欠なマッチメイクの仕組みを検討

2012 年にリリースした『パズドラ』の大ヒットにより、ゲーム業界に新たな潮流を生み出したガンホー。同社が展開するゲームの多くはインターネットを介して基本無料で遊べて、追加サービスに課金する、「フリー・トゥ・プレイ」と呼ばれるタイプです。この場合、ユーザー数やアクセス数などの予測が難しく、柔軟に拡張や縮退できるインフラがポイントになります。
「『パズドラ』は開発当初からインフラに AWS を採用しています。オンプレミスのサーバーと比較した場合、柔軟に拡張できるだけでなく、トータルコストの効率が良いと判断したからです」と語るのは、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社 CTO の菊池貴則氏です。

インフラ活用においても業界に先んじていたガンホーは、2018 年ごろからマルチ対戦のマッチングシステムや、そのためのゲームサーバーを高度化する必要性を感じていました。自社で共通のマッチングのシステムを構築するのか、それとも外部のサービスを利用するのかを検討を重ねた結果、タイトルごとにマッチングの要件などが異なることから、マッチングシステム自体はタイトルの特性にあわせたものを採用していく方針としました。

当時、開発を進めていたマルチ対戦アクションゲーム『Ninjala』についてもマッチングシステムの選定が課題となりました。『Ninjala』は、 スポーツチャンバラから着想を得た対戦ゲームで、3D グラフィックで描かれたアバターを操作して、最大 8 人のバトルロイヤルやチーム戦を楽しむことができます。ゲームの満足度を高めるには、爽快なアクションに加え、マッチメイクが重要なカギとなります。

ところが、『Ninjala』のユーザーテストの結果を受け、アーキテクチャの見直しが行われ、その対象はマッチングシステムまで及びました。そこで、さまざまな検討を重ねた結果、Amazon GameLift を導入することを決定しました。その理由について「ゲームエンジンとして使用している Unreal Engine 向けの SDK が準備されており、しっかりと更新もされているため、ゲームの通信部分にかかる開発の工数を大きく削減できると判断しました」と菊池氏は語ります。

Amazon GameLift の開発チームともにサービスに磨きをかける

『Ninjala』に Amazon GameLift を導入するための最適化は約半年かけて調整が行われました。当時、Amazon GameLift は比較的新しいサービスであったため、菊池氏はAmazon GameLift の開発チームと緊密なコミュニケーションをとり、ゲーム業界の最新トレンドを盛り込んだサービスの更新をリクエストしました。

「『Ninjala』は短時間で対戦が終わって、すぐにマッチングを繰り返すゲームです。同じように頻繁なマッチングを行う FPS(ファーストパーソン・シューティング、操作キャラクターの視点で武器などを操作し、探索する)ゲームが流行しはじめた時期でもあったので、より大規模なリクエストに耐えられるよう、Amazon GameLift の開発チームにマッチメイキング部分の強化をお願いしました」と菊池氏は当時を振り返ります。

ガンホーでは AWS をコンピューティング環境やシステムのインフラとしてだけではなく、 24 時間 365 日のテクノロジーサポートを提供する AWS エンタープライズサポートを利用しています。『Ninjala』の開発においてもこれを活用し、AWS のサポートメンバーとともに 2020 年 6 月の世界同時リリースを迎えました。『Ninjala』は配信開始からわずか 16 時間で 100 万ダウンロードを達成しました。

『Ninjala』ではプレイ時の画面描画の目標を 60fps としており、通信によるレイテンシーを低くするため、ユーザーにとって最適な場所にあるサーバーに自動接続するようにしています。そのため、リリース時のサービス提供国ではレイテンシーに関する問題は生じなかったといいます。
菊池氏は、「リリース当日は少し慌ただしかったですが、 AWS のみなさんに万全のサポート体制を整えていただいたことは本当に感謝しています。問題が起きてもすぐに対処し、またユーザー側からは見えないさまざまな指標も監視しながら対応されていましたので、非常に助かりました」と AWS のサポートを評価しました。

『Ninjala』の成功経験を活かし新タイトルにも Amazon GameLift を採用

『Ninjala』のリリース後 3 か月ほどの間に、Amazon GameLift はさまざまな調整が施され、より快適なマッチメイクとユーザー体験が向上を実現しました。2021 年 10 月には、世界累計 800 万ダウンロードを達成しています。
Amazon GameLift の導入効果について菊池氏は次のように語ります。
「サーバーサイドやマッチングシステム部分は AWS にお任せできるようになりました。そのため、私たちはお客様により優れたゲーム体験を提供することに注力できるようになっています。自分たちでサーバーを用意する方法と比べると、構築コストは半分ほどで済んでいます。また、運用コストについても毎月 4 人月は削減できています」(菊池氏)。

こうした成功体験を踏まえて、その後のガンホーの新タイトルにも Amazon GameLift を採用予定です。2021年 10 月に発表した『DEATHVERSE -LET IT DIE-』 はその 1 つです。このゲームは企画段階から Amazon GameLift の使用を念頭に置いて開発が進められました。「『Ninjala』でのノウハウを活かすことで、スムーズに導入することができました」(菊池氏)

今後について菊池氏は、Amazon Aurora Serverless v2 に注目しているといいます。これは、スケーリング能力に優れたデータベースサービスで、需要に応じたすばやい拡張・縮退をサポートします。アクセスの急増が予測できないオンラインゲームでは、ピーク時にあわせて用意するインフラのコストが大きな課題になっています。これを解消するサービスとして注目しているとのことです。

AWS に対しては、今後も実際のゲーム企画やユーザーの遊びの変化など、トレンドを先読みしたサービスの機能拡張を期待しているとし、次のように話します。
「AWS と仕事をしていると、Amazon のカルチャーである、カスタマーファーストの精神がしっかりと伝わってきます。こちらの発言や考えをいろいろと覚えてくれて、それを考慮したサービス提供していただいていると実感しています。今後も今まで通りお付き合いいただけるとありがたいです」

菊池 貴則 氏


カスタマープロフィール:

ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社

  • 設立:1998 年 7 月 1 日
  • 資本金:53 億 3,800 万円
  • 従業員数: 1,335 名(連結)
  • 事業内容:スマートフォンゲーム、コンソールゲーム、PCオンラインゲームの企画・開発・運営

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 開発・運用コストの削減
  • サービスレベルの維持
  • 複数タイトルへの活用

ご利用中の主なサービス

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