HOYA株式会社は、高度な光学技術を軸に、「情報・通信」と「ライフケア」の2つの事業領域において、ヘルスケア、メディカル、エレクトロニクス、映像分野の4セグメントでグローバルに事業を展開する総合光学メーカーです。

当社財務部では、早くからクラウドが持つ価値に着目し、約3年前からグローバルに展開する 約100 の連結子会社の財務・連結会計を中心とする基幹業務を支えるSAP システムをプライベートクラウド環境にて構築し利用してきました。プライベートクラウドを利用することでクラウドが持つ様々なメリットを享受することがで きました。

その一方で、プライベートクラウド環境の場合、ハードウェア環境の制約があるため、会社を取り巻く環境や社会の変化に対して、さらなるシステムの伸 縮性や高性能な環境が必要になった場合、瞬時にコスト効率よく対応することは難しいことが分かってきました。さらに事業継続の観点から、 DR サイトの必要性を検討した際も、コストや緊急性の面から、プライベートクラウド環境での構築は現実的ではありませんでした。

こうした経緯から、クラウド本来の価値をより活用でき、導入、運用コストの最適化を目指すべくパブリッククラウドの利用を検討することとなりました。

数多くのクラウドベンダーの中から選定する際は、複数の観点、角度から比較し、「クラウドが 持つバリューをちゃんと提供できているかどうか」を基準に判断しました。実際の検討項目は、必要なシステムスペック、オンデマンドセルフサービス、伸縮 性、監査情報の有無、サービス、セキュリティ、事業継続及び災害対策、コストといった幅広い範囲に及びました。具体的には、次のような項目について確認を 行いました。

  • SLA が明確に定義されているか?
  • 情報セキュリティ外部監査を受けているか?
  • 外部利用者に対し会計・IT監査に必要な監査情報(SSAE16等)を開示できるか?
  • 複数のアベイラビリティゾーンがあるか?また、そのゾーン間でバックアップデータの同期がおこなわれているか?
  • 複数リージョンをもち、予測不能な大規模災害に対応できるか?

なにか1つの切り口を重視することではなく、良いものを選択、組み合わせることができるか?という事を重視して検討した結果、こうした要件をすべてクリアしたのが AWS でした。

いわゆる基幹系の業務をクラウド化した訳ですが、このMicrosoft SQL Serverを使って稼働していたSAP環境がAWSに完全移行し、DR環境を構築するまで、約2か月で行うことができました。具体的な作業時間としては以下の通りです。

  • AWS のサービス選択、構成決定:約 0.5 ヶ月
  • SAP 環境構築、バックアップ、監視、インターフェース環境構築、そしてシンガポールリージョンでの DR 環境構築:約 1 ヶ月
  • アプリケーション検証:1ヶ月未満
  • リハーサル:48時間以内(本番6システムを同時移行)
  • 本番移行:48時間以内(本番6システムを同時移行)
    (※同時進行の作業を含む)

この移行プロジェクトを円滑に進めるために、当社のパートナーである株式会社クニエのSAP on AWS の移行・運用サービスを利用しました。またAWS サポートの「ビジネス」プランを利用しました。これにより、プロジェクト期間中に問題が発生した際に、迅速にご対応いただけたため、スケジュールの遅延を 無事回避し、移行を完了することができました。

 

 

 

「HOYA 株式会社様 システム構成図」

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今回のAWSの採用により、ビジネス要件に合わせて、ITインフラを柔軟かつ迅速に調達できることが実証されたので、今後 M&A などによる影響でリソース調達など発生した場合でも今回同様に迅速な対応が可能になると考えています。

コスト面についても大きなメリットがありました。初期投資で比較すると、AWS への移行は、利用していたプライベートクラウドへの移行と比較すると、約 50 % ~ 60 % コスト削減ができています。さらに、当社のパートナーである株式会社クニエの従量課金保守サポート、CAPEX (資本的支出)をOPEX (運用維持費)化するコンセプトで体系化された従量課金保守サポートを利用したことで、実際のCAPEX 削減効果は約80~90%となりました3年間のコスト比較を行った結果でも、当初利用していたプライベートクラウド環境と比べると費用を削減できることが 分かっています。

コスト面では大きなメリットがあると分かりましたが、当社が使用している SAP には様々なデータが格納されているため、セキュリティに対しては慎重に検討を行いました。よく「クラウドはセキュリティに問題がある」という都市伝説のよ うな話を聞きますが、AWS は調べれば調べるほどセキュアな環境であるということが分かり、安心して利用することができています。

当社財務部では、クラウドファーストの考えは変わることはありません。今後も機能追加や増強等があればクラウドを利用していく予定です。

クラウドについては、よく耳にする都市伝説に惑わされず、自身の目と耳で確認する事が重要だと考えています。
システムをクラウド化するといったケースにおいて、目的はクラウドにすることではないはずです。「自社、自身が何を目指すのか?」を慎重に見極めた上で目的を明確にすることが必要です。その結果としてクラウド化を選択するというプロセスが望ましいと感じています。

AWS は常に新しいサービスがでてくるので情報収集を怠らない事も重要でしょう。そのためにも信頼できるパートナー(ベンダー)を見つける事も重要だということが分かりました。ご不安なことや疑問などがございましたらお気軽にお声をかけて頂ければ幸いです。

 

 

- HOYA株式会社 財務部 ITグループ 守谷 祥広 様、金光 和純 様