iRobot の導入事例

2016 年

iRobot は、グローバルな消費者向けロボットのトップ企業であり、人々が家の内外の両方でより多くの事柄を行えるようにするためのロボットを設計し、製造しています。iRobot は、2002 年の Roomba 掃除機の公開により、家庭向け掃除機ロボットのカテゴリを作り出しました。現在、iRobot はグローバルなエンタープライズとなり、これまでに 2000 万台以上のロボットを世界中で販売してきました。これには Roomba と、モップ掛け用の Braava ファミリーが含まれており、清掃、マッピング、ナビゲーションにおける専有技術と高度なコンセプトを特徴としています。iRobot のエンジニアは、スマートホームを可能にする、ロボットとデータのエコシステムを生み出しています。

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AWS のサーバーレスアーキテクチャと、その内部における AWS のサービスの使いやすさにより、開発者はビジネス価値の創出に時間を使うことができます」と話しています」

Ben Kehoe
iRobot、クラウドロボティクスリサーチサイエンティスト

課題

初回の Amazon Prime Day は iRobot にとって大成功の日でした。2015 年 7 月のその日、同社は Roomba ロボット掃除機を 1 万 4,000 台販売しました。この 1 日の販売台数は、iRobot がイノベーションと価値について顧客の間で築き上げた評価を明確に示しています。同時に、そのわずか数か月後の 9 月に、同社が初のインターネット接続型の Roomba 掃除機を発売する際の課題も明らかになりました。

iRobot のクラウドロボティクスリサーチサイエンティストである Ben Kehoe 氏は、「Roomba 掃除機は Prime Day やクリスマスプレゼントで人気がある商品で、お客様はできるだけすぐに使ってみたいと考えます。このため、特に Prime Day のような大規模なセールが行われた後の数日間は、多くのお客様が新たに購入した Roomba 掃除機を使用します」と話しています。

2015 年 7 月は、多くの顧客が新たに購入した Roomba を使用することにより、同社の日常的な運用に直接影響が出ることがありませんでした。ところが、9 月に入ると、多くの顧客が新たに購入したネットワーク接続型の Roomba 掃除機を試そうとした結果、iRobot HOME アプリケーション (インターネット接続型のロボットの設定と制御に使用されるモバイルアプリケーション) で大量のトラフィックが発生しました。iRobot は、これまで主にハードウェアベンダーとして事業を運営してきましたが、この時、顧客向けの高可用性クラウドアプリケーションと IoT バックエンドプラットフォームを運用する能力に賭けて、基幹業務を転換しようとしていました。

この賭けは良い結果になりました。iRobot によると、現在、インターネット接続型の Roomba 掃除機は 60 か国以上で使われており、インターネット接続型ロボットの合計販売台数は 2017 年末までに 200 万台を上回ると予測されています。

iRobot の進化は続きます。同社は、インターネット接続型の Roomba 掃除機を提供することで、掃除機がけという骨の折れる家事から人を解放してきました。同社は今、これらのロボットによっていつか、IoT 業界がスマートホームテクノロジーの真の未来像を実現することを妨げている問題を解決できる、と信じています。その未来像とは、何をすべきかを理解し、それに対応する家です。

最優先事項:顧客中心
ただし、iRobot はこれまでどおり、同社の核心となる価値提案に注力し続けています。それは、つらい家事から顧客を解放し、より大切なことに時間を使うことができるようにする最先端のロボットです。顧客中心は、iRobot がインターネット接続型の Roomba 掃除機の提供を開始した理由です。Kehoe 氏は、「お客様は、家で増え続けるさまざまな製品やテクノロジーを簡単に操作する方法を求めています。クラウドとの接続により、お客様の利便性と制御性は向上し、いつでも、どこでもスマートフォンを使って Roomba を管理できるようになりました」と話しています。

iRobot は、2013 年にこの新しい製品の基盤となるプラットフォームを計画した際、そのプラットフォームをパブリッククラウドに構築することを決定しました。その後、同社は、2015 年 9 月に最初のクラウド接続型 Roomba を発売するために、ターンキーソリューションを提供するベンダーと連携しました。ところが、インターネット接続型の Roomba 掃除機ファミリーが拡張され始め、またたく間に数倍の顧客やサービスが接続するようになると、iRobot は短時間でスケールでき、直接制御できるソリューションが必要であることに気付きました。

Kehoe 氏は、「最初のインターネット接続型製品の発売後、当時使用していたターンキーソリューションでは、必要な規模と拡張性を実現できないことがはっきりしてきました」と話しています。

アマゾン ウェブ サービスが選ばれた理由

iRobot はそのミッションクリティカルなプラットフォームをアマゾン ウェブ サービス (AWS) クラウドに移行することにしました。Kehoe 氏は、「AWS クラウドには、スケーラビリティ、世界的な可用性、幅広いサービスという必要不可欠な要素が備わっています。「当社が特に注目したのは、AWS で利用できる強力なツールと統合機能によりサーバーレスアーキテクチャを使用できるようになり、スケールについて悩む必要がなくなるという点です」と話しています。

Wi-Fi 接続型の新しい Roomba 掃除機に接続するウェブアプリケーションを運用するために、iRobot は AWS のサービスを約 25 種類使用しています。iRobot プラットフォームの中心にあるのが、AWS Lambda と AWS IoT プラットフォームです。AWS IoT はロボットと iRobot クラウドプラットフォームの間の接続レイヤーとなり、数十億台のデバイスと AWS やその他のエンドポイントの間で数兆件のメッセージを処理できるようになります。AWS Lambda ではイベントに応答してコードを実行し、iRobot クラウドアプリケーションを処理するサーバーレスバックエンドに対して、関数ベースのコンピューティングサービスを提供します。このソリューションでは、ロボットからリアルタイムのデータストリームを取り込む Amazon Kinesis と、規模にかかわらず API をパブリッシュして保護できる Amazon API Gateway も使用されています。

iRobot では、AWS IoT と AWS Lambda をベースとするサーバーレスアーキテクチャを使用することで、クラウドプラットフォームのコストを低く抑え、サブスクリプションサービスを不要にし、10 人未満の人員でソリューションを管理しています。Kehoe 氏は、「AWS のサーバーレスアーキテクチャを運用することで、運用ではなくコードとお客様に注力できます。AWS のサーバーレスアーキテクチャと、その内部における AWS のサービスの使いやすさにより、開発者はビジネス価値の創出に時間を使うことができます」と話しています。

利点

Gartner, Inc. 社の予測によると、2020 年までに世界中で 204 億個の "モノ" がインターネットに接続して使用されるようになります。つまり、インターネットに接続された冷蔵庫、照明、HVAC システム、セキュリティアラームを利用する家の数が増え続けるということです。ところが、iRobot は、データの重要なカテゴリ、つまりデバイスが使用されている家に関する最新のマッピング情報がなければ、このインターネット接続に関する価値はすべて実現できないと主張しています。

Kehoe 氏は、「家とその中にあるスマートデバイスが私たちの日常のニーズに自律的に応答するシームレスなスマートホームサービスを実現するには、次の 2 つのことが必要です。まず、デバイスのプログラミングという負担を一般消費者に負わせないことが必要です。次に、家自体が、家の間取り、各部屋の場所と目的、さまざまなスマートデバイスが配置されている場所を理解する必要があります」と話しています。

Kehoe によると、Roomba のような接続型ロボットが鍵を握る存在となっています。たとえば、iRobot の Roomba 900 シリーズの掃除機は、家庭内での全レベルでのナビゲーションを行うための、視覚による同時位置把握とマッピング (vSLAM) テクノロジーを利用しています。Roomba 掃除機では家のマップが作成されるため、このマップは、スマートホームがその家について理解し、本当にシームレスで自律型のホームオートメーションを実現するために必要な基盤情報になると考えられます。現在の Roomba では、掃除の効果性を向上させるためにマップが作成されています。一方、将来の Roomba 掃除機では、これらのマップを別のセンサーやクラウドサービスのサポートと組み合わせることで、家の中にある多数のスマートデバイスを管理できる可能性があります。

このビジョンについて話すことは簡単ですが、実現することは簡単ではありません。ところが、Kehoe 氏は、AWS クラウドなら実現できると考え「このような種類の情報の経路は非常に複雑で、顧客情報のセキュリティが非常に重要です。また、強力な人工知能とデータ分析のツールがなければ実現は絶対に不可能です。このような理由から、当社では AWS クラウドでこのすべてを構築しています。アマゾン ウェブ サービスは、このビジョンを実現するための鍵です」と話しています。


iRobot について

iRobot は、世界トップクラスの一般消費者向けロボット製造会社で、家の中でも外でもより多くのことができるように人をサポートするロボットを設計および製造しています。

AWS の利点

  • 大規模なサーバーレスアプリケーションを 10 人未満の従業員で管理する
  • 次世代のスマートホームの実現を支援する
  • ハードウェア中心のベンダーから、クラウドを利用して IoT バックエンドプラットフォームとお客様向けアプリケーションをサポートする企業への転換を実現した

使用されている AWS のサービス

AWS Lambda

AWS Lambda を使用することで、サーバーのプロビジョニングや管理をすることなく、コードを実行できます。料金は、コンピューティングに使用した時間に対してのみ発生します。

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Amazon Kinesis

Amazon Kinesis でストリーミングデータをリアルタイムで収集、処理、分析することが簡単になるため、インサイトを適時に取得して新しい情報に迅速に対応できます。

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AWS IoT Core

AWS IoT Core は、インターネットに接続されたデバイスから、クラウドアプリケーションやその他のデバイスに簡単かつ安全に通信するためのマネージド型クラウドサービスです。

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Amazon API Gateway

フルマネージド型サービスの Amazon API Gateway を利用すれば、開発者は規模にかかわらず簡単に API の作成、公開、保守、モニタリング、保護を行えます。

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開始方法

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