導入事例 / 電気通信事業

2024
KDDI株式会社

KDDI、メタバース・Web3 サービスの構築に AWS を活用。柔軟性の高いシステム構築や外部パートナーとの連携を実現

1,000 人以上

「αU metaverse」上で配信を行うユーザー

概要

固定通信、移動体通信、グローバル通信の 3 つを手がける通信キャリアである KDDI株式会社。同社は中期経営戦略(2022-2024 年度)における事業戦略「サテライトグロース戦略」において、LX(ライフトランスフォーメーション)を注力領域の 1 つとしました。その取り組みの一環として、バーチャル渋谷で培った都市連動型メタバースの経験をベースに「αU metaverse」を 2023 年 3 月にリリース。本サービスの構築において アマゾン ウェブ サービス(AWS)が活用されています。

KDDI株式会社

ビジネスの課題 | LX 実現で求められる現実世界とバーチャル空間を連動させた新たな体験の創出

KDDI は KDDI VISION 2030として「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を掲げています。また、中期経営戦略(2022-2024 年度)における事業戦略「サテライトグロース戦略」では、5G による通信事業の進化と、通信を核とした注力領域の事業拡大を図ることを発表しました。そのなかでも、特に注力しているのは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「LX(ライフトランスフォーメーション)」「金融」「エネルギー」「地域共創」の 5 つです。

LX の実現において同社が重要視したことが、人々が生活する現実世界とバーチャル空間とを連動させ、新たな体験を創出することです。同社はこれまでも、渋谷区公認の配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」や大阪の都市の魅力を国内外に発信する「バーチャル大阪」などの都市連動型メタバースを推進してきました。

こうした取り組みをさらに加速させるため、「サテライトグロース戦略」の LX 領域において、メタバース・Web3サービス「αU(アルファユー)」の構築を進めました。本プラットフォームでは、リアルとバーチャルを結びつけ「いつ、どのようなときでも音楽ライブやアート鑑賞、ショッピングなどが楽しめる空間」を目指しています。「αU」では、アバターを操作してバーチャル空間を移動しながら音声での会話やイベントを体験できるサービス「αU metaverse」が提供されています。「αU metaverse」を構築するうえでは複数の前提条件がありました。まずは、新サービスであり想定ユーザー数の見通しを立てづらいため、利用者の増減に柔軟に対応可能なインフラであることに加え、最新技術を取り込みながらスピーディーにサービス開発を行うため、外部パートナーとの連携の容易化が求められたことです。

kr_quotemark

世の中の多くの企業が、AWS を採用しています。だからこそ、KDDI とパートナー企業とで、AWS を "共通言語" として、知識の共有ができるという利点があります"

舘林 俊平 氏
KDDI株式会社
事業創造本部 Web3推進部
部長

ソリューション | AWS のマネージドサービスを採用し柔軟性の高いインフラを実現

KDDI はシステム要件を満たすために、AWS の採用を決定しました。

「すでに KDDI のさまざまなサービスで、AWS の採用実績があります。また、監査ログの取得やアクセス制限なども容易であり、当社のセキュリティ品質基準を満たしています。複数のマネージドサービスがあるため、運用の省力化やスケーラビリティの担保ができることも決め手になりました」と事業創造本部 Web3推進部 2グループの澤井駿氏は語ります。

インフラの検討開始時期は 2022 年上旬。その後、2023 年 3 月に「αU metaverse」のサービスをリリースしました。AWS を徹底活用することで、プロジェクト推進はスムーズに進んだといいます。特に重要なポイントとして挙げられるのは 2 点です。

まずは Amazon ECS on AWS FargateAmazon Aurora Serverless v2 といったマネージドサービスを採用したことです。これらはインフラの管理が不要であり、かつ負荷に応じたオートスケーリングが行われるため、運用負荷が軽減されました。また、コスト最適化にも寄与しています。

そして、次のポイントはテキストから自然な音声への変換を行える Amazon Polly を採用したことです。「αU metaverse」のバーチャル空間内で、AI エンジンを搭載したキャラクターが登場するイベントを実施しました。ユーザーがこのキャラクターに音声で質問をすると、その情報を AWS 上のWeb API サーバーで確認したうえで、別サーバーに連携。そのサーバーで外部の生成AI から受け取ったテキストの回答を Amazon Polly に送信することで、キャラクターに音声での回答をさせています。

事業創造本部 Web3推進部 エキスパートの川本大功氏は、「AWS を活用することでシステムの課題解決も容易になりました。パフォーマンスやコストなどの課題が生じた際、Web 上の情報や、他の企業と情報交換するなどで迅速に対応策を講じることができました。仮に最先端の取り組みであっても、AWS はコミュニティの裾野が広いため、他の方々から何かしらのサポートを得られるケースが多いです」と話します。

導入効果 | 「αU metaverse」を構築し、バーチャル空間上のエコシステムを実現

事業創造本部 Web3推進部長の舘林俊平氏は、「αU metaverse」の構築後の世界観を「ユーザーが楽しみを感じてメタバースを毎日訪れ、自発的に遊びを生み出してくれるような仕組み作りや、メタバース上の経済圏の構築が重要になる」と語ります。

同社が取り組んだ「バーチャル渋谷」や「バーチャル大阪」は、実施時期が新型コロナウイルスの流行期でした。人々が室内にこもり、リアルの街に出かけることのできない状況下だからこそ、「バーチャル空間上で街に出かけること」の価値が高かったのです。

一方、コロナ禍が明けて生活が元に戻った現在の世界では、人々は自由に街へとくり出すことができます。だからこそ、「リアルな世界に出かけることもできる人たちが、あえてバーチャルの世界に出向きたくなるような体験作り」が重要になります。

そのための手段が、まずコンテンツの拡充です。「αU metaverse」では、ユーザー自身がコンテンツを生み出せることに加えて、プラットフォーム内の各種施設を訪問できるなどの仕掛けが随所に施されています。また、そうした活動を他のユーザーとともに楽しめることが特徴です。

例えば、ライブ配信者はライブ配信機能を利用でき、ファンの人と一緒に集まり雑談などを楽しむことができます。他にもキー変更や採点機能などを備えた本格的なカラオケ機能が実装されています。株式会社エクシングの提供する「JOYSOUND」と連携し、人気楽曲が無料で利用可能になっています。

「経済圏の構築というと、あくまで『αU metaverse』だけで金銭的なやり取りが行われるような世界観を想像されるかもしれません。ですが、私たちは例えば『αU metaverse』での売り上げが実在の街や実店舗にも還元されるなど、将来的にはリアルとバーチャルが有機的に紐づいていくような構想を描いています」(舘林氏)

さらに、KDDI は「αU metaverse」を通じてオープンメタバースの実現を目指しています。これは、すべてを「αU metaverse」内で完結させるのではなく、 KDDI が運営するプラットフォーム以外との協調・共創をしたり、街と KDDI とが連携したりしながら、メタバースの体験をより良いものにしていくという考え方です。

「自治体をはじめとしたさまざまなステークホルダーと連携することによって既存事業の枠組みに収まらない斬新なサービスを提供していきます。その実現には AWS が不可欠です。これからも、AWS との協業を通じて『αU metaverse』のさらなる飛躍を目指していきます」(舘林氏)

企業概要:KDDI株式会社

「au」をはじめとした通信事業を中心に、最近ではライフデザイン事業にも進出している。2030 年に向けた KDDI グループの社会的存在意義を「KDDI VISION2030:『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」と定義。また、「中期経営戦略(2022-2024 年度)」では「サステナビリティ経営」と「サテライトグロース戦略」を提唱して事業推進を行う。

KDDI株式会社
舘林 俊平 氏

舘林 俊平 氏

川本 大功 氏

川本 大功 氏

澤井 駿 氏

澤井 駿 氏

ご利用中の主なサービス

Amazon Elastic Container Service

Amazon Elastic Container Service (ECS) はフルマネージドのコンテナオーケストレーションサービスであり、コンテナ化されたアプリケーションをより効率的にデプロイ、管理、スケールするのに役立ちます。

詳細はこちら »

AWS Fargate

AWS Fargate を使用すると、アプリケーションの構築に集中できます。設計から分離することで、管理の手間を省き、支払い方法を選択し、セキュリティを強化できます。

詳細はこちら »

Amazon Aurora

Amazon Aurora は、組み込みのセキュリティ、継続的なバックアップ、サーバーレスコンピューティング、最大 15 のリードレプリカ、自動化されたマルチリージョンレプリケーション、および他の AWS のサービスとの統合を提供します。

詳細はこちら »

Amazon Polly

Amazon Polly は深層学習技術を使用し、人間の声のような音声を合成します。そのため、記事を音声に変換することができます。幅広い言語に対応したリアルな音声を多数搭載しており、Amazon Polly を使用して音声起動型アプリケーションを構築することができます。

詳細はこちら »



今すぐ始める

あらゆる業界のさまざまな規模の組織が AWS を活用してビジネスを変革し、日々ミッションを遂行しています。当社のエキスパートにお問い合わせいただき、今すぐ AWS ジャーニーを開始しましょう。