Laredo が AWS のサーバーレスアーキテクチャに移行し、月に 60,000 USD の純利益を実現

エネルギー企業 Laredo Petroleum Inc. (Laredo) は、主にテキサス州西部のパーミアン盆地で、石油と天然ガスを採取、探索、開発しています。オクラホマに本拠を置くこの企業は、1,302 の坑井を監督し、257 名の従業員を雇用しており、買収とデータの利用を通じた成長に向けて重点的に取り組んでいる独立系オペレーターです。しかし、Laredo の従来のオンプレミスデータおよび分析インフラストラクチャでは、クエリが困難な断片化されたデータがあるために、全体像を把握しにくくなっていました。

「当社の最大の課題の 1 つは、データが分散されていることでした」と Laredo のバイスプレジデント兼最高情報責任者である Brandon Brown 氏は述べています。「当社には積極的なデジタル戦略があり、リアルタイムでの意思決定への移行は重要な要素です。当社のレガシーシステムでは、どれもこの要素をサポートできませんでした」。

Laredo は、プロアクティブなリスク管理と収益の創出のために、データアクセスを一元化し、リアルタイムの坑井モニタリングを可能にすることによって、アーキテクチャをモダナイズする必要があることを認識しており、結果として Amazon Web Services (AWS) に移行しました。AWS で、Laredo はサーバーレスデータレイクを迅速に構築し、コストと運用時間を最適化しながら、回復力とスケーラビリティを向上させました。現在、同社は、坑井の問題になりうる事象をリアルタイムでモニタリングして対応し、防止することができます。また、エネルギーセクターの多くの企業が新型コロナウイルス (COVID-19) のパンデミックの際に坑井を閉鎖し、収益を低減させている中で、Laredo は月額 60,000 USD 近くの純利益を上げています。

AWS を利用する前、Laredo は高価なレガシーオンプレミスシステムを運用していました。「当社には、レガシーデータベースシステムから、リアルタイムデータを含むデータを保存するファイル共有まで、あらゆるものがありました」と Laredo のシニアデータサイエンティストである David Benham 氏は述べています。アーキテクチャの断片化された性質により、データサイロが形成され、スタッフメンバーが必要なデータにアクセスしてクエリを実行することが難しくなっていました。そのため、オペレーションを改善し、リスクを軽減する方法を Laredo に知らせるといったインサイトを引き出すことは困難でした。

クラウドにデータレイクを作成することで、Laredo のデータを一元化するスケーラブルで費用対効果の高いソリューションを提供できます。これにより、クエリとリアルタイムの意思決定が簡素化され、オンプレミスでは利用できなかった新しいインサイトにアクセスできるようになります。Laredo チームは、安全なデータレイクを数日で簡単に設定できるようにするサービスの AWS Lake Formation を利用して、データレイクを構築することを計画しました。

Laredo は、AWS のスケーラビリティ、コスト効率、イノベーション、および同社のニーズと期待を理解しようとする意欲のある AWS を選定しました。AWS プロフェッショナルサービス (企業がエンタープライズクラウドの採用に関連する特定の成果を達成するのをサポートするエキスパートのグローバルチーム) によるコンサルティングは、Laredo チームにとってシームレスな経験でした。「AWS のプロフェッショナリズムにより、当社がチームに教えることは何もありませんでした」と Brown 氏は述べています。「むしろ、AWS がその過程で当社に教えてくれたのです」

Laredo は、クラウドベンダーの選定プロセスを完了し、AWS への安全な接続を利用できることを確認した後、2020 年 3 月に 2 段階の移行を開始しました。まず、Laredo の従業員がデータレイクの概念実証を設計しました。同社は、業界をリードするスケーラビリティ、データの可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスである Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) にデータをレプリケートしました。その後、Laredo のチームは、AWS Glue (分析、機械学習 (ML)、およびアプリケーション開発のためのデータの検出、準備、および結合を簡単にするサーバーレスデータ統合サービス) からクローラーを実装し、これらのクローラーを利用してメタデータを構築し、データガバナンスの属性をキャプチャしました。Laredo は、標準の構造化クエリ言語を使用して、Amazon S3 でのデータ分析を簡素化するインタラクティブなクエリサービスである Amazon Athena を通じてデータにアクセスすることができました。同社は、予算内で予定より早く概念実証を完了し、残った資金を移行の第 2 段階で使用しました。

その後、Laredo は、サーバーレスアーキテクチャの概念実証の微調整を開始しました。「会社のデータをほぼリアルタイムのデータセットに変換して、ストリーミングをシミュレートし、機械学習と分析ソリューションをこれらのパイプラインにデプロイし始めました」と Benham 氏は述べています。同社は概念実証と同じツールを利用しましたが、他の AWS のサービス (関数をビジネスクリティカルなアプリケーションにアセンブルするサーバーレスオーケストレーターである AWS Step Functions など) と、イベントを停止および開始するためのルールを追加しました。

Laredo はまた、ML モデルをパイプラインにデプロイするために、Amazon SageMaker を実装しました。これは、企業がほぼすべてのユースケースの ML モデルを構築、トレーニング、デプロイするために使用できます。Laredo は ML とリアルタイムデータを使用して坑井をモニタリングし、問題になりうる事象の発生を防ぎ、緊急事態に迅速に対応しました。同社はまた、環境への影響を最小限に抑えることができました。「当社は、パーミアン盆地で極めて低いフレア率と放散率を誇ります」と Brown 氏は述べています。「AWS によるプロアクティブなモニタリングにより、天然ガスのフレアや放散につながる可能性のある問題を迅速に特定して修正することができます」。

サーバーレスにすることで、Laredo は、コスト、時間、意思決定を最適化できました。同社では物理的な機器を管理する必要がなくなりました。また、支払うのは、実行するクエリの料金のみです。「ボタンを数回クリックし、パラメータをいくつか変更するだけで、データレイク内のオブジェクトの数を 200 から 900 超に増やすことができました。月々の請求額の差は、75 USD のみでした」と Brown 氏は述べています。また、一元化されたデータアクセスにより、企業のリスクも軽減されます。従業員は、ステークホルダーが管理するデータにアクセスできるため、十分な情報に基づいたインテリジェントなより良い意思決定を行うことができます。また、改善されたデータ駆動型のインサイトにより、Laredo は現場でのオペレーションを最適化し、月額 60,000 USD 近くの純利益を早期に実現しました。オンプレミスからサーバーレスインフラストラクチャへの移行により、同社は最初の 1 年で 100,000 USD のコストを削減しました。

ML により、Laredo は例外による管理と最適化を行うことができます。これらの運用戦略により、チームメンバーによるプロセスへの介入を、計画された結果から大幅に逸脱した場合のみとすることができます。「タンクやコリドーラインでの放散を確認できるよう、Amazon SageMaker を利用してプロアクティブなモニタリングを追加しました」と Benham 氏は述べています。その結果、Laredo は予期しないオンプレミスの問題のリスクを軽減できます。

Laredo は、AWS から学んだ効率的なプロジェクトマネジメントの手法を採用しています。「AWS は当社の基準を高めてくれました。それを受けて、ベンダーに対する当社の期待も高まっています」と Benham 氏は述べています。同社は、将来的に追加の AWS のサービスを活用し、掘削、仕上げ、およびサブサーフェスの各チームにデータレイクインフラストラクチャを拡大し、履歴データを収集して収益とリスクの傾向を分析することを計画しています。

Laredo は AWS のサービスを利用して移行を迅速に完了し、プロアクティブなリスク管理と収益の創出のための新しいインサイトを入手しました。また、オンプレミスシステムのコストを回避し、リアルタイムの意思決定を実現してオペレーションを最適化し、より多くのコストを削減しました。「他の企業は、当社がこのような短期間でこれほど多くのことをどのように成し遂げたのかを知りたがっています」と Benham 氏は述べています。「人々は注目しています」