AWS スタートアップ支援プログラムを活用し
世界 66 カ国の導入実績を誇るマーケティングツールをクイックスタート
スケーラブルなアーキテクチャへの進化で世界シェアの獲得へ

2020

世界 66 カ国、7,300 以上の導入実績を持つカスタマーエンゲージメントプラットフォーム『Repro(リプロ)』を提供する Repro 株式会社。同社は 2014 年の創業直後からアマゾン ウェブ サービス(AWS)を SaaS プラットフォームに採用しています。ビジネスの成長とともに大量のトラフィックを処理する課題に直面するものの、AWS のコンテナ、サーバーレス、マネージドサービスを活用しながらスケーラブルなアーキテクチャに進化させてきました。2019 年からは東南アジアへの本格進出を開始。10 年後の世界シェア 1 位の獲得に向けて、AWS のグローバルインフラは欠かせない存在となっています。
AWS 導入事例:Repro株式会社
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創業時からビジネスの成長に合わせて AWS の新サービスがリリースされ、大量のトラフィックを効率よく捌くことができました。10 年以内にグローバルでクライアントに最も価値を提供するマーケティング・ソリューションカンパニーになるというビジョンの実現に AWS は欠かせない存在です。今後とも、海外ビジネスのノウハウが豊富な AWS と手を取り合い、シェアを拡大していきます

平田 祐介 氏
Repro株式会社 代表取締役

スタートアップ支援プログラムを活用しクイックにビジネスをスタート

「サービスと消費者の間にあるコミュニケーションを最適化することで人々がその価値を適切に得られる豊かな社会実現に貢献する」をミッションに、企業と顧客のつながりや関係性を強化するエンゲージメントマーケティングを支援する Repro。2014 年に 2 名で創業した同社も、6 年間で従業員数は約 200 名まで増加し、売上高も順調に推移しています。

スタートアップ企業として高い注目を集める同社は、2020 年 2 月にシリーズ C で総額約 30 億円を調達し、積極的な投資を進めています。「当社が提供する Repro は、言語に依らず世界中で使える CE(カスタマーエンゲージメント) プラットフォームです。そのため創業当初からグローバルを意識してビジネスを展開してきました。まずは日本とビジネス慣習が近い東南アジアで 5 年以内に、10 年以内にはグローバルで、クライアントに最も価値を提供するマーケティング・ソリューションカンパニーを目指します」と語るのは、代表取締役の平田祐介氏です。

同社が Repro の SaaS 基盤に AWS の採用を検討したのは創業直後のことで、当時は AWS の一択でした。創業メンバーの 1 人で、当時は CTO を務めていた執行役員 VPoE の三木明氏は「別のスタートアップに携わっていたときに、スタートアップに価値を見出し、正面から話を聞いてくれるところは AWS しかないというアドバイスを受け利用していました。今回も迷わず AWS の導入を決断し、2015 年 4 月に Repro の正式版をリリースしたのが始まりです」と語ります。

その後、AWS のスタートアップチームによる技術支援や、CTO Night、CTO of the Year などのイベント・コミュニティへの参加で培った横のつながりを通して AWS の知見を蓄積してきました。

「スタートアップチームに初めて相談したのは 2015 年 8 月のことです。そのときはマルチテナント環境におけるアプリのプッシュ通知について、アーキテクチャに関するアドバイスを求めました。以来、積極的にスタートアップ支援プログラムも活用しつつ、AWS との技術的な改善を重ねています」(三木氏)

トラフィックの増大に合わせてスケールする AWS のサービスがリリース

その後、2015 年 9 月に国内最大級のスタートアップのピッチコンテスト(B Dash Camp Arena)で優勝した Repro は、それを起爆剤にユーザー数を伸ばしていきます。その結果、大量のトラフィックを処理する必要に迫られたことから、スケーラビリティを重視してアーキテクチャを進化させてきました。その間、同社にとって幸運だったのは、ビジネスの成長に合わせて欲しかった機能が、AWS の新サービスとしてリリースされたことでした。三木氏は次のように語ります。

「マルチテナントのプッシュ配信機能を提供しようと決め、スポットインスタンスを lambda architecture のように取り扱うことを考えていたときに、本当にタイミングよくサーバーレスの AWS Lambda が東京リージョンで利用可能になりました。また、Amazon RDS のストレージが枯渇する兆候が見えた時には、圧倒的なストレージ容量をもつ Amazon Aurora が登場しました。さらには、Docker の採用も日本の IT 業界の中では早く、運用の効率化を考え、2016 年初頭からコンテナ化に舵を切り、クラスタ管理ツールとしてマネージドサービスの Amazon ECS を採用しました。これらは単なる偶然ではなく、AWS が世の中のトレンドを汲み取り、適切なタイミングでサービス化しているのだと体感することでもありました」

現在は大量のトラフィックを捌くため、ビッグデータプラットフォームの Amazon EMR 上に Presto を構築したり、EC2 上にcassandra を構築したりするなど、アーキテクチャをよりリアルタイムに対応できるように変えています。その狙いを執行役員で現 CTO の橋立友宏氏は「急激な負荷増加時でも短時間に結果を返すためと、コストコントロールを簡略化するためです」と説明します。

スポットインスタンスと Spot Fleet でインフラコストを約 65 % 削減

現在、Repro の延べ登録デバイス数は 5,000 万以上、プッシュ配信数は 1 時間あたり最大 1.5 億通に達しています。これらのサービスを管理するインフラエンジニアは約 6 名と、少数精鋭で運用しています。

「コンテナから上位のレイヤーをアプリエンジニアが担当し、インフラエンジニアはミドルウェア以下を担当しています。AWS のマネージドサービスに運用を任せておくことで、エンジニアはシビアなコントロールが求められるミドルウェア領域に集中ができます」(橋立氏)

キャリア採用が中心の同社は、AWS に習熟したエンジニアも多く、外部のイベントにも積極的に登壇して自社技術をアピールしています。2019 年には AWS re: Invent で同社のエンジニアがハッカソンで優勝するなど、成果を挙げています。橋立氏は「学習意欲が高いエンジニアが社外で注目を集めることは社内に好影響を及ぼし、私達がやっていることが間違いないと自信を持って業務に向き合う雰囲気が出来上がりつつあります」と語ります。

コスト面では、スポットインスタンスとリザーブドインスタンスを使ってコスト効率を高めています。特にスポットインスタンスは、Web アプリが稼働する EC2 インスタンス、Amazon ECS のクラスタとして利用するコンテナのインスタンスなど多くの環境で利用し、その大半は事前に設定した条件で起動する Spot Fleet で運用しています。

「スポットインスタンスと Spot Fleet の活用で、オンデマンドインスタンスと比べて約 65 % のコスト削減が実現しています。一部のミドルウェアなど安定稼働が必要な EC2 インスタンスには、リザーブドインスタンスや Savings Plans を活用し、コストを圧縮しています」(三木氏)

AWS とより密接な関係を築きながら CE プラットフォームの世界シェア拡大へ

今後は、Repro の顧客の先にいるエンドユーザーの情報をよりスピーディにキャッチするため、現在のバッチベースの処理から、大量のデータをリアルタイムに処理する分散ストリーミングへと移行し、顧客とユーザー間のよりホットな関係構築を支援していく考えです。ユーザーの反応に合わせて効果的なキャンペーンが実施できるよう、複数のキャンペーンを連動するアーキテクチャへの修正を検討しています。

「また、アーキテクチャの見直しに伴い、複数のチームが並列で開発する際のオーバーヘッドをさらに低減するための構造を目指して改善していく予定です」(橋立氏)

一方で 2018 年から本格的に開始した AILab の取り込みをさらに加速し、アプリユーザーの離脱予測機能については商用化を実現させています。三木氏は「AI やビッグデータに関する知見をさらに集積していくため、AWS には AI 領域での活用方法の提案や情報提供を期待しています」と語ります。ビジネス面では、2019 年に Repro 初となる海外子会社をシンガポールに開設しており、タイ、インドネシア、マレーシア、台湾に進出しています。さらなるグローバル展開に向けて、海外ビジネスにノウハウを持つ AWS とより密接な関係を築きながら、CE プラットフォーム領域でのシェア拡大を狙っていく考えです。

「創業時からさまざまなサービスを通して、Repro を支えてもらってきた AWS はまさに命の恩人と呼べる存在です。5 年以内に東南アジア、さらに 5 年後にはグローバルでクライアントに最も価値を提供するため、AWSには大きな期待を寄せています」(平田氏)

平田 祐介 氏

三木 明 氏

橋立 友宏 氏


カスタマープロフィール:Repro株式会社

  • 代表取締役:平田 祐介
  • 設立年月日:2014 4
  • 資本金:1 億円
  • 事業内容:CE(カスタマーエンゲージメント)プラットフォーム『Repro』の開発・運営、Web メディア『engagemate』の企画・運営

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • ビジネスの成長に合わせた新サービスのリリース
  • サーバーレスの採用による大量プッシュ配信の実現 Amazon Aurora による DB ストレージの自動スケール
  • マネージドサービスの活用による運用負荷の軽減とコア領域の開発への集中
  • スポットインスタンスと Spot Fleet の活用による約 65 % のコスト軽減
  • リザーブドインスタンスと Savings Plans によるインフラコストの固定費化
  • インフラエンジニアの技術レベルの向上、学習意欲の向上の加速
  • 大量のデータをリアルタイムに処理する分散ストリーミングの移行を検討
  • 複数のキャンペーンを連動するアーキテクチャへの修正を検討
  • 大規模 ScrumLeSS)からコンパクトな Scrum 体制へ AI 領域での AWS 活用を検討
  • Repro のグローバル展開に向けた AWS とのコラボレーションに期待

ご利用中の主なサービス

Amazon ECS

Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) は、完全マネージド型のコンテナオーケストレーションサービスです。Duolingo、Samsung、GE、Cook Pad などのお客様が ECS を使用して、セキュリティ、信頼性、スケーラビリティを獲得するために最も機密性が高くミッションクリティカルなアプリケーションを実行しています。

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Amazon Aurora

Amazon Aurora は、MySQL および PostgreSQL と互換性のあるクラウド向けのリレーショナルデータベースであり、従来のエンタープライズデータベースのパフォーマンスと可用性に加え、オープンソースデータベースのシンプルさとコスト効率性も兼ね備えています。

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Amazon EMR

Amazon EMR は、Apache Spark、Apache Hive、Apache HBase、Apache Flink、Apache Hudi、Presto などのオープンソースのツールを使用して膨大な量のデータを処理するための業界をリードするビッグデータのクラウドプラットフォームです。

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Amazon S3

Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。

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