ペーパーレス製品のプラットフォームを AWS 上に構築
AWS の豊富なサービス群とプロアクティブな支援により実質 6 カ月の短期リリースを実現

2020

定型的な業務をロボットに代行させることで生産性の向上を図る RPA 業界大手のRPAテクノロジーズ株式会社。同社は、帳票を電子化するペーパーレス製品の『Biz-Robo! Paper-free』を新規リリースするにあたり、サービス提供プラットフォームにアマゾン ウェブ サービス(AWS)を採用しました。AWS の豊富なサービス群を活用し、AWS の担当者からプロアクティブな支援を受けながら開発を進めた結果、実質 6 カ月の短期間で構築を終えています。プロジェクトで得たノウハウは、今後のクラウド型 RPA の開発や、新たな事業創出での貢献が期待されています。

AWS 導入事例  | RPAテクノロジーズ株式会社
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AWS の豊富なサービス群とプロアクティブなサポートにより、ほぼ初めてのチャレンジとなるクラウド型サービスの構築をスピーディに進めることができました。
特に、開発メンバーが少ない体制において、非機能要件の作りこみを抑え、独自の価値提供部分に集中できたことは大きなメリットとして実感しています

溝渕 敬史 氏
RPAテクノロジーズ株式会社
BizRobo! 事業部
BPF チーム PO

ペーパーレス製品の新規リリースに際し気軽に使えるクラウド型での提供を検討

RPA を中心としたロボットビジネスを手がける RPA ホールディングスの一員として、2013 年に設立した RPAテクノロジーズ。「楽しい時代に進化する」をミッションに、誰もが当たり前のようにデジタルレイバー(仮想的知的労働)を活用することによって、創造性の高い仕事に従事できる世界の実現を目指しています。

同社の主力製品『BizRobo!』は、ソフトウェアロボットの導入・運用を支援するデジタルレイバープラットフォームです。国内トップクラスの実績を持ち、ユーザー企業数は 2020年 8 月時点で 1,560 社以上。同社の調べによると 100 業務以上の作業を代行し、年間約5 万時間以上の時間創出に貢献しています。今回、同社が 2020 年 5 月にクラウド型サービスとしてリリースした『BizRobo! Paper-free』は、ペーパーレス製品に位置付けられるものです。これまで人が紙ベースで運用していた帳票を、電子ペーパー(PDF)としてタブレット端末に表示し、手書き入力時に即座に電子データ化。帳票入力から確認・修正、仕分けシステム入力までをすべてデジタル化することにより、煩雑な紙処理業務から解放します。

「帳票をデジタル化するツールとしては OCR が一般的ですが、不確定要素が多く、認識精度も 100 % ではありません。紙自体も残り続けるため、印刷・配布、スキャン、輸送や保管などの作業は無くなりません。BizRobo! Paper-free なら、データの取得時点で電子化とデータ確定を同時に実現し、その後の仕分けと入力の工程も RPA が代行するため人的作業はゼロになり、ペーパーレス化によって帳票コストもゼロになります。また、処理自体のスピード向上、プロセス全体の効率化といった効果も期待できます。今回、多くのお客さまに気軽に始めていただきたいという思いから、インターネット環境があればすぐに利用できるクラウド型サービスとして提供することにしました」と語るのは、BizRobo! 事業部の溝渕敬史氏です。

同社では RPA 製品の多くをオンプレミス型で提供しているものの、市場からはクラウド型のニーズも増えており、BizRobo! Paper-free の開発は、クラウドビジネスの拡大を図る意味でも重要なチャレンジだったといいます。

ビジネスサポート窓口の提供と豊富なサービスを評価して AWS を採用

BizRobo! Paper-free をリリースするにあたり同社は、複数のクラウドを検討する中から AWS をサービス提供プラットフォームに採用しました。選定の理由は、可用性の高さ、サービスの豊富さ、公開情報や事例の多さ、充実したサポートにありました。

「当初は他のクラウドで検証を進めていましたが、AWS の担当者にオペレーションやセキュリティの課題を明確にしていただいたり、コスト面でのアドバイスを受けたりしている中で、方針を転換して AWS の採用を決めました。クラウド型サービスの経験が浅い当社において、ビジネス面のサポート窓口を用意していただけたことが決め手となりました」(溝渕氏)

プラットフォームの設計は 2020 年 1 月から着手し、3 月までに基本的なアーキテクチャを設計。4 月にかけて機能開発とテストを実施し、5 月に本番リリースを迎えました。開発期間は実質 6 カ月。AWS に精通した同社のインフラエンジニアが設計から構築までを担当し、計画どおりのスケジュールで開発を終えました。基本構成はAmazon EC2 をベースに DB は AmazonRDS for SQL Server を採用、ログ保存に Amazon S3 を利用しています。

「開発中、AWS にはセキュリティ診断をお願いし、システムの脆弱性をチェックしていただきました。その際、アーキテクチャに関してもコストや拡張性の観点からアドバイスを受け、スムーズに開発を進めることができました」(溝渕氏)

ほぼ初めてのチャレンジとなるクラウド型サービスを 6 カ月でリリース

BizRobo! Paper-free は、新型コロナウイルス感染症流行下でのリリースとなったものの、同社が主催するウェビナーに数百人が集まるなど、高い関心を集めています。2020 年 7 月には千葉県船橋市の LP ガス・ガス機器メーカーが、まずは電気サービスの申込み処理業務を効率化する目的でBizRobo! Paper-free の採用を決定し、本格導入を開始しました。

「各業界から大きな反響をいただいています。今後、製造業や警備会社の現場帳票や電気・ガス、水道などの生活インフラ事業者の申込み業務、店舗での入会申込書や申請書処理業務の効率化用途や、屋外作業が多く PC の利用が難しい業務での活用、ペーパーレス化が求められる自治体窓口や病院窓口などをターゲットに販売を拡げていきます」(溝渕氏)

AWS の導入効果については、インフラ調達のリードタイムの短縮、柔軟なスケーラビリティ、マネージドサービスによる運用負荷の軽減、責任共有モデルによるセキュリティとコンプライアンスの確立などにメリットを感じているといいます。コスト面でも、Amazon EC2 や Amazon RDS でリザーブドインタンスや Savings Plans を適用して最適化を図っています。

今回のプロジェクトは、同社のクラウドビジネスに与える影響も大きく、今後のクラウド型サービスの提供に向けたノウハウと経験の蓄積になりました。

「AWS の豊富なサービス群とプロアクティブなサポートにより、ほぼ初めてのチャレンジとなるクラウド型サービスの構築をスピーディに進めることができました。特に、開発メンバーが少ない体制において、監視ツールの Amazon CloudWatch などのサービスを組み込むことにより、非機能要件の作りこみを抑え、独自の価値提供部分に集中できたことは大きなメリットとして実感しています」(溝渕氏)

蓄積したノウハウと経験を活かしクラウド型ビジネスの拡大へ

同社は今後も各種サービスのクラウド化を進めていく考えです。2020 年 8 月にはプライベートクラウド型 RPA 製品の『BizRobo! DX Cloud』の機能を、より安価に提供する『BizRobo! as a Service』をリリースし、デジタルレイバーの利活用の敷居を下げることで RPA 市場の拡張を進めています。クラウド型サービスのプラットフォームについては同社で一定の基準を定めて標準化し、AWS などサービスに適したクラウドを採用していく方針です。グループ会社の RPA ホールディングスにおいてもデータ連携の自動化をサポートする『RoboRobo』シリーズをクラウド型で提供するなど、クラウド型サービスはグループでも拡大しています。

そのために、今後は開発体制の整備や人材育成が急務となっています。会社としても、社内のエンジニアが AWS への理解を深め、新規サービスの開発や現行サービスの拡張の際にもスムーズに AWS を使った検討や検証ができるよう、社内の体制も用意していく方針です。溝渕氏は AWS に対して「引き続き先進的なサービスの情報を提供いただき、ベストプラクティスの共有をお願いします。また、最新情報のキャッチアップに向けて、学習体制の強化も期待しています」と話しています。

溝渕 敬史 氏


カスタマープロフィール:RPAテクノロジーズ株式会社

  • 代表取締役執行役員社長:大角 暢之
  • 資本金:3,000 万円
  • 設立年月日:2013 年 7 月
  • 事業内容:RPA 製品『BizRobo!』シリーズ、AI-OCR 製品、AI 製品『Roboforce』、ペーパーレス製品『BizRobo! Paper-free』など、デジタルレイバープラットフォームの開発・運用

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 実質 6 カ月の短期開発を実現
  • インフラ調達のリードタイムの短縮
  • 柔軟なスケーラビリティの確保
  • マネージドサービスによる運用負荷の軽減
  • 責任共有モデルによるセキュリティとコンプライアンスの確立
  • リザーブドインタンスや Savings Plans によるインフラコストの最適化
  • クラウドサービスの拡大に向け、社内体制の整備と学習体制の強化を推進

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