AWS を利用し続けている理由は
AWS 側の SaaS ビジネスを支援する強固な体制と豊富なナレッジです。
特に、私たちが抱えている課題に対して一緒に考え、
解決のアイデアを提供してくれる提案力も高く評価しています。
 
米里 直樹 氏 シーオス株式会社 マネージャー Service Delivery 本部

物流に特化したソリューションやサービスを提供するシーオス株式会社。2004 年より倉庫管理システム(WMS)をパッケージ製品として提供を開始、2014 年にシングルテナント型 SaaS の基盤として AWS を採用しました。スモールスタートでビジネスをしたいというお客様からのニーズの高まりに応えるため、同社は 2017 年より WMS のマルチテナント型 SaaS 『Xble(キシブル)』をリリース。このデータベースに Amazon Aurora を採用し、可用性を担保しながらも低コストでサービスを提供しています。


物流コンサルティングからソリューションの開発・構築、自社倉庫を活用したサービスなど物流に関する課題解決を支援するため様々な事業を行うシーオス。独自のアルゴリズムの活用により庫内を最適に管理する倉庫管理システム(WMS)、搬送用ロボット、輸配送管理システム(TMS)、バース積降予約プラットフォームといった様々なサービスやソリューションの提供を通じ、企業における物流の生産性向上に貢献しています。

同社は自社のノウハウを結集した WMS のパッケージを 2004 年にリリースして以来、クライアント / サーバー型で提供してきました。当初はお客様のオンプレミス環境に導入してきましたが、ハードウェアの運用保守の負担軽減、故障リスクの回避、多重化やセキュリティ対策などを考慮し 2012 年に SaaS 型での提供を開始しました。しかしながら当初採用したインフラ基盤のサービスレベルに課題が生じ、2014 年に基盤を AWS への移行を決定しました。

「当時、シーオスがシステム提供していた医薬品などをインターネットで販売する E コマースサイトが AWS を採用していた実績もあり、AWS 上で WMS を構築してみることにしました。実際に利用してみると、データベースをすぐに構築することができ、更にとても柔軟性が高いことがわかりました。加えて、ピーク時の処理にも十分に耐えることができ、1 日も止まることなく安定して稼働していました。それ以来、 AWS を標準インフラとして採用することに決めました。」と Service Delivery 本部 マネージャーの米里直樹氏は語っています。

一方、ビジネス環境の変化を背景にお客様から “WMS をクイックに導入ができないか” という問い合わせが増えてきました。それらのニーズに応えるため、さらにはサービスラインナップの拡充に向けて WMS のマルチテナント型 SaaS 型 の開発に着手。この基盤にも AWS を採用し、2017 年に『Xble』としてリリースしました。

「お客様にとって SaaS 型で提供されるメリットは、保守費用が不要で従量課金で利用いただけること、また、業界標準の機能や常に進化した最新機能を利用することで業務効率化が図れます。搬送用ロボットなどは新たな技術が登場し速いスピードで進化を遂げていくため、柔軟性が低いシステムのままではそれらに対応することができません。その点、SaaS 型であれば AWS を含めた最新技術をすぐに取り込み、サービスをアップデートすることで、お客様に付加価値を提供することが可能になります。」(米里氏)

現在、同社の WMS のライナップは、大規模向けの『Mr.Stream』とマルチテナント型 SaaS『Xble』の 2 種類で、お客様は自社のニーズに合わせて選択することが可能です。2014 年に AWS を採用してから、今もなお AWS を利用し続ける理由について米里氏は次のように話しています。

「最大の理由は AWS 側の SaaS ビジネスの支援体制です。AWS には SaaS ビジネス専任の担当者がおり、当社のインフラエンジニアからマネジメントレベルまで多様な接点を持ち積極的に声を掛けてくれますし、こちらからも気軽に相談ができる雰囲気があります。加えて、私たちが抱えているビジネス上の課題に対して共に考え、解決のアイデアを創出する提案力もあります。また業界のリーダーならではの多くの事例やノウハウがあり、SaaS ビジネスのコミュニティーも充実しています。インターネットで検索してもすぐに情報を得ることができますし、参考にできる技術書籍も豊富に揃っています。」

2017 年より提供しているマルチテナント型の『Xble』は、Amazon EC2、Amazon Aurora、Amazon EFS、Amazon S3 などで構成されています。特筆すべき点はデータベースを Amazon Aurora に変更したことで高い可用性を担保しつつも、低コストでの運用を可能にしたことです。それにより当初目的としていたサービス提供価格の軽減とオープンソースの移行を実現することができました。

「お客様に SaaS 型で提供するからには少しでも利用料金を抑えたいという思いがあり、従来のデータベースに固執するより、オープンソース化を今の段階から進めていくべきではないかという結論に至り、Amazon Aurora を採用しました。」(米里氏)

データベースの採用にあたっては、AWS の担当者を交えて慎重に議論した結果、今回のマルチテナント型には Amazon Aurora を使った構成がベストという結論に達しました。実際に大量のデータを扱う WMS における性能を検証するために、瞬間的にトランザクションを発生させる負荷試験も実施し、性能面において問題ないことを確認しました。


 

エンジニアは新しいテクノロジーの開発に専念 WMS の基盤として AWS を利用することで、同社はお客様に対して迅速にサービスを提供できるようになりました。これまで 1 ヶ月程度要していた検証環境の準備が 1 日で完了し、ユーザーはデータを投入するだけですぐに本番サービスと同等の環境でテストの実施ができます。加えて、ビジネスの拡大を見越したサイジングやハードウェアの選定作業を事前に行うことも不要になりました。「これまでエンジニアが対応してきたインフラの可用性やセキュリティの維持・確保を AWS にオフロードすることで、エンジニアは新しいテクノロジーを活用した WMS の開発や物流の自動化に注力しやすくなりました。」と米里氏は効果を実感しています。

例えば、マルチテナント型の『Xble』では、AWS Client VPN を利用しセキュアな接続を確立することで、お客様自身でデータベース(Amazon Aurora)に直接アクセスして、請求書や指示書などの帳票を様々な BI ツールを利用して作成できるようにする機能の開発をしています。それによりお客様は、WMS を利便性高く、かつ柔軟に活用いただけます。


 

WMS は今後、デジタルテクノロジーとのコラボレーションにより、益々進化を遂げていくことが予想されます。同社は Robotics Software(Logiler Move) において AWS RoboMaker を活用し、ロボット管理やデプロイに取り組んでいます。IoT、AI、ロボットなどの活用によるロジスティクスのデジタル化に向けて米里氏は、「AWS の最新テクノロジーを取り込み、シーオスのソリューションを進化させ、ロジスティック領域のデジタルトランスフォーメーションに貢献していきます。」と話しています。

米里 直樹 氏



AWS での SaaS ソリューション構築についての詳細は、AWS での SaaS ページをご参照ください。