AWS に全面移行することで、ピークに合わせたリソースの確保が
不要となり運用保守コストの低減が可能になりました。
データセンターでの運用と比較して約 30% のコスト削減が可能と試算しています。

堀 譲治 氏 株式会社シャノン取締役 技術担当

マーケティングオートメーションのリーディングカンパニーとして、マーケティング業務を一元的に実施・管理するプラットフォームを提供する株式会社シャノン。同社は 10 年以上にわたりデータセンターを利用し、サービスを自社で構築・運用してきました。しかし、顧客の増加や事業の変化に対して、インフラ基盤のスケーラビリティーを確保することが困難になっていました。そこで、AWS を次世代基盤として全面的に採用することにより、大規模なイベントやキャンペーンへの対応を可能としました。インフラの運用保守コストも従来と比較して 30% 以上の削減が実現すると試算しています。


“テクノロジーとサイエンスにもとづくマーケティングにより、顧客の市場拡大化と利益最大化を実現し、企業のより創造的な活動に貢献する”を理念に、新たなマーケティングの創造に挑戦を続けるシャノン。クラウド型マーケティングオートメーションツール『SHANON MARKETING PLATFORM』(以下、SMP)を軸に、イベントマーケティングとマーケティングコンサルティング事業を展開しています。

同社では、10 年以上にわたり SMP のインフラにデータセンターを利用し、サービスを自社で構築・運用していました。しかし、近年は負荷の予測がしづらい大規模キャンペーンが増え、サーバー環境の柔軟な拡張が急務となっていました。「データセンター環境でもある程度のスケーラビリティーは確保できたものの、数百万人規模の顧客を集客・管理するイベントを実施したいというお客様の要望には応えられない状況でした。」と語るのは、取締役で技術担当の堀譲治氏です。

もうひとつの課題は、インフラ運用の人的リソースに限界が来ていたことです。ソリューションの企画・開発が中心の同社において、IT インフラの専任担当者は数が限られ、アプリケーションの開発担当者がサポートに入るケースも発生していました。当時、データセンターには 7 ラック、数百台のサーバーやネットワーク機器があり、頻繁に故障対応やサーバーの増強作業が発生していました。

ところがある日、IT インフラ専任担当者が退職することになり、残りのメンバーの負荷が一気に上がりました。技術統括部 部長の井上史彰氏は「24 時間 365 日の対応が求められるハードウェアの運用保守作業は、体力的に消耗が激しく、精神的プレッシャーも少なくありません。インフラエンジニアを増員しようにも、負担の大きい業務は敬遠される傾向にあり、採用は簡単ではありませんでした。」と振り返ります。

そこで同社はデータセンターの運用から、クラウドにシフトすることを決断。クラウドサービスについては、以前より部分的に導入していた AWS を本格的に採用することにしました。

「8 ~ 9 年前から開発の QA(Quality Assurance)基盤で AWS を利用していた実績があり、品質の高さは当初から評価していました。セキュリティ面でも銀行系での採用実績があり、エンタープライズの基盤に耐える安心感があったことから、他との比較もなく AWS に決めました。」(井上氏)

AWS による環境構築のプロジェクトは、2018 年 2 月より着手。2019 年 3 月には新規のお客様に対して AWS 上で運用する SMP の提供を開始しました。並行して、既存のお客様に対してインフラ基盤を AWS に移行する連絡を開始し、2019 年 10 月から 12 月にかけてサーバーやデータベースを AWS 環境に移行しています。

AWS 上に構築した SMP は、Amazon ECS を用いて全体をコンテナ化し、アプリケーションはすべて Docker コンテナ上で稼働するようにしました。技術統括部 開発グループ シニアエンジニアの猪股直人氏は「仮想サーバー上で稼働している複数のアプリケーションを整理しながら、約 30 種類をコンテナ上で動くように改修し、合計で約 70 種類のアプリケーションをコンテナ化しました。」と語ります。

また、AWS CloudFormation を用いて、バージョンアップの作業を自動化しています。以前は数百ステップにわたっていた設定作業が自動化されたことで、バージョンアップにかかる時間は 80% 以上削減されました。コンテナ化したことでソフトウェアレベルの更新が不要になり、オペレーションミスのリスクも大幅に削減されました。

「従来、サービス構成の再現が技術的にもコスト的にも困難でした。AWS CloudFormation を用いることで、ノウハウをテンプレートとして持つことが可能となり、誰でも同等のレベルで再構築することが可能となりました。」(猪股氏)

データベースでもマネージドサービスを活用。Amazon Aurora with PostgreSQL Compatibility により大幅なスループットの向上を実現し、障害時のダウンタイムの 80% 以上の削減を可能としました。お客様の増加によってデータサイズが大きく増え、高度化していたデータベース運用の負荷も軽減。バックアップやデータベースの作成、運用監視などが大幅に効率化されています。

AWS への移行により、データセンター環境での運用時の課題は解消されました。従来、構築に 3 ヶ月程度を要していたキャパシティ拡張が、AWS では、非常に短期間に容易に実施できるため、急激なトラフィック上昇にも迅速に対応が可能です。堀氏は「結果として BtoC 向けの大規模なイベント案件の依頼をお断りすることもなくなり、ビジネスチャンスが拡大しました。」と語ります。

運用面でも自社のインフラ担当者の負荷は激減し、アプリケーションやサービスの開発に専念できるようになりました。同社では、データセンターでの運用と比較して約 30% の削減が可能と試算しています。

「特に障害対応の負荷がなくなったことは大きなメリットです。今まで人的負荷が大きく、スキル的にも難しかったデータベースの移行なども、簡単に実現します。新たなアプリケーションの立ち上げも簡単で、試算した以外のコスト削減効果も得られています。」(井上氏)

データセンター 1 ヶ所の運用から、複数のアベイラビリティーゾーンやリージョンを利用した AWS に切り替わったことで可用性も向上。BCP として大阪ローカルリージョンを利用したバックアップも実施しています。

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AWS の多岐にわたるサービスを利用することで、マーケティングに必要な機能を短期間でタイムリーに開発することが可能になりました。今後も AWS の機能を利用しながら、お客様に対してより効果の高いマーケティングソリューションを継続的に提供していく考えです。

「AWS 上に蓄積されていく膨大なデータを活かして、AI や機械学習を用いた分析環境を整え、攻めのサービスをお客様に提供していきます。マーケティング領域でも、顔認証の Amazon Rekognition やパーソナライズレコメンデーションサービスの Amazon Personalize の活用を検討していきます。」(堀氏)

技術面でもアプリケーション開発やミドルウェア開発などに AWS のマネージドサービスを活用し、運用の効率化を進めていくといいます。井上氏は「AWSを用いた開発環境を整えることで、クラウドネイティブなエンジニアの採用を進め、先進的なマーケティングサービスの開発に取り組んでいきます。」と話します。

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堀 譲治 氏

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井上 史彰 氏

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猪股 直人 氏


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AWS が提供するコンテナ関連サービスに関する詳細は、AWS でのコンテナの詳細ページをご参照ください。