豊中市役所の GIS のシステムは、庁内は、クライアントサーバー型の業務系台帳システム、全庁で利用する Web GIS、そして⼀般公開用の WEB システムがあります。

今回リプレイスした Web システムは⼀般公開用のものとして、広く市民の方、事業者の方の利用を想定して構築しました。また、庁内のライトユーザー向けに、⼀般公開用 WEB システムの機能とコンテンツを拡充したイントラネット版の Web GIS システムも整備を進めています。

豊中市の GIS は、業務用のシステムとして過去から現在まで、場所についての情報を地図上の地物にデータベース上のデータをリンクさせ蓄積しています。そのため、地図上でマウス操作により、過去のドキュメント等が参照でき、その周辺でどのような事象があったのかを視覚的に確認できます。これらの基盤となる基本図(ベースマップ)は、すべての部局が共通のものを利用しているため、作成したデータは、正確に重ねあわせることが可能となっています。

それら業務用のデータを活用し⼀般公開型 WEB のシステムを構築しています。
そのため、利用者の方は公開型 GIS で調べたデータを窓口に持って行くことができ、窓口の職員もスムーズに対応することができます。最新の住所データや、地番で検索できることも、市で作成した業務データを活用しているからこそで、使いやすく役立つ情報の提供を行っています。

公開型 GIS のサービスは平成 12 年から開始しています。当時は、GoogleMaps も無い時代ですので、先進的な取り組みを行なってきたと思います。

一方で、庁内の DMZ (ファイアウォールによって外部ネットワークからも内部ネットワークからも隔離された区域)にサーバーを置いて管理していくのは大変です。ハードウェアの更新にあわせてシステムを全て更新しなければならず、大きな負荷となっていました。

また、⼀旦構築するとシステムの更改は、構築費用の観点からも、難しくなりがちです。平成 18 年あたりからシステムの更新を検討してきましたが、費用等が課題となり進みませんでした。

そのような中で、株式会社インフォマティクス 社からアプリケーションの構築の提案がありました

株式会社インフォマティクスを通じて、インフラとして AWS クラウドの利用を提案されましたが、AWS は複数のゾーンにバックアップが取られており、高い可用性に魅力を感じました。また、自治体にとって、国内にデータセンターがあるというのは大きなポイントでした。

今回システムの更新が実現できたのは、AWS を含むクラウドサービスが低価格で利用できたことが大きかったと思います。システムの選定にあたっては、価格だけでなく、アプリケーションとしてのバランスが優れていること、技術的にも GIS エンジンの性能が優れていること等に重点をおきました。

リリースまでは以下のようなタイトなスケジュールでしたが、株式会社インフォマティクスのご協力もあり、非常に短期間でサービスインすることができました。

2012 年 12月:コンペを実施
2013 年 1月:システム構築を開始
2013 年 4月:一般公開型 Web GIS 「地図情報とよなか」サービスイン

サービス提供までには、データの変換やシステム仕様の詳細決定等、様々な業務がありますので、そのあたりは時間が必要でしたが、アプリケーションの構築そのものは、非常に短時間で実現しました。

今後庁内の Web GIS システムも 新 Web GIS に統合する予定(2014年1月に稼働)ですが、公開型 GIS システムと統合することにより、コストメリットが生まれてきます。

また、システム更新により、アプリケーションのレスポンスが良くなり、使い勝⼿が向上しています。このため、市民の方からだけでなく庁内の利用者からも「便利です」、という声をもらっています。通常、システムを変更すると利用方法等について問い合わせがあるのですが、それもほとんど無く、非常にスムーズに移行できたと考えています。

市民の方に市役所窓口に来ていただくところを、インターネット上で大体済ませていただけることは、データ公開による大きなメリットだと思います。データは出すべきものは出していくこと、そして常に最新のデータを提供し続けることが重要だと考えています。

- 豊中市役所 情報政策室
 主査 喜多 賢一 様
 主事 山田 修太郎 様