AWS トレーニングを受けてその便利さが分かると、
エンジニアは AWS の新しいサービスをどんどん使いたくなります。

インフラ担当はもちろん、サービスの開発をやっている技術者こそ、
AWS トレーニングを受けるべきだと思います。 
 
小山 晋 氏   岩出 広大 氏 凸版印刷株式会社

凸版印刷は、当時最先端の印刷技法「エルヘート凸版法」で精巧な印刷を行うことを特長とし 1900 年に生まれました。現在はポスターやカタログ、書籍といった一般的な「印刷」の枠を超え、「情報コミュニケーション事業分野」、「生活・産業事業分野」および「エレクトロニクス事業分野」の 3 分野にわたる幅広い事業を展開しています。

凸版印刷の強みは長年培ってきた「印刷テクノロジー」がベースとなっています。情報コミュニケーション事業分野では、それに加えいち早くデジタル技術を活用し新たなサービスを展開しています。中でもデジタルカタログサービスの歴史は長く、紙の印刷物であるカタログを Web 上に掲載し、情報提供方法を多様化して充実させる取り組みを 2005 年頃から行っています。 

「カタログに掲載されている商品情報を Web サイトに逐一登録するのはかなり手間がかかります。そこで紙で作ったカタログがあるなら、それをそのまま電子化できないかと始めたのがデジタルカタログサービスです。」と言うのは、凸版印刷 メディア事業推進本部 メディア開発部 サービス開発チーム 課長の小山 晋氏です。

凸版印刷では当初、顧客ごとにデジタルカタログ制作やシステム構築を行い、それを納品するビジネススタイルをとっていました。その後、顧客にデジタルカタログを渡すのではなく、デジタルカタログを 1 カ所に集めそこで利用できるようにすれば横断的な検索もでき便利ではと考えます。そこから生まれたのがデジタルカタログシステム「iCata」でした。当初は 10 社程から始まり、現在は約 850 社 10,000 冊、90 万頁に及ぶカタログが iCata に集められています。

「例えば、住宅設備関連はメーカーも多くカタログの種類もたくさんあります。それらが iCata に集まっています。iCata のカタログは主に設計事務所の方などが利用しており、あちこちのメーカーサイトで情報を探す必要がなく 1 カ所で済むのは、かなり便利だとの声もいただいています」(小山氏)

利用者からは「iCata にカタログがないと情報を探せない」との声もあり、iCata にカタログを掲載する企業は増えています。現状 iCata にあるカタログの 8 割程は住宅設備関連です。他には工具や文房具、最近ではオフィス家具や介護用品なども充実しています。iCata は利用者の口コミなどで広がり、掲載されるカタログの種類は順調に増えているのです。

そんな iCata のサービスは、iPad が登場した 2010 年頃に始まりました。最初は凸版印刷が運用するデータセンターにサーバーを置き、ミドルウェアやソフトウェアをインストールし自部門で運用していました。

カタログが増えシステム規模が徐々に大きくなり、適宜リソースの追加も必要でした。当初は Web サーバーとデータベースサーバーそれぞれ 1 台構成でしたが、後には仮想環境に移行しサーバー数も増やすことになります。そうなるとシステム構成も複雑化して、システム運用管理の手間は徐々に増えていきました。そのため、iCata のシステムを高信頼性のもとに稼働させると同時に、増え続ける運用管理手間の削減が大きな課題となっていました。

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課題を解決するため新たに iCata のインフラに選んだのは、社内の他部署でも利用実績のあった AWS でした。選んだ理由は、柔軟な拡張性や高度なセキュリティ対策の機能があり、さらに高可用性構成や運用保守の負担などの面で大きなメリットがあると判断したからです。

「日常的な開発や運用面での負担が大きくなりつつある状況であったため、AWS を活用することでそれらを軽くすることができないかと考えました。」(小山氏)

データセンターにハードウェアを購入し設置すれば、サーバーに何らかのトラブルが発生すれば自分たちで技術者を手配し対処しなければなりません。それが AWS になれば物理的なハードウェアのメンテナンスの手間がまずなくなります。また自分たちでハードウェアを購入すれば、購入が承認され納入されるまでには多くの時間が必要です。さらに自分たちでセットアップもしなければならず、これにも手間と時間がかかります。迅速なサービス展開においても AWS にはメリットがあると考えました。 

「凸版印刷様 システム構成図」

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凸版印刷では AWS パートナーの支援を受けながら、基本的には自分たちの手で AWS への移行を行いました。移行にあたっては、インフラチームから数名を専任担当として配置し、約 6 か月間という短期間の中で 100 台を超えるサーバーの移行を行うことができました。この実績は、今後の運用に向けて自分たちの自信にもつながりました。さらに凸版印刷がメリットに感じているのが、信頼性、可用性を高める仕組みが AWS には予め含まれていることです。

「Amazon S3 のデータの冗長化、Amazon RDS のマルチ AZ 配置などは、自前のオンプレミス環境では簡単に実現できません。」(小山氏)

もう 1 つのメリットは、開発チーム内で解決できることが増えたことです。新たな機能やサービスを開発するにあたり、システム拡張やサーバーレスアーキテクチャの活用により、AWS ならインフラチームに頼らずに自分たちで簡単に行えます。「技術面だけでなく料金も明らかになっているので、自分の担当の範囲で解決できることが増えました。」と言うのは、メディア事業推進本部 メディア開発部 サービス開発チームの岩出氏です。

従来ならやりたいことをインフラチームに伝え、インフラチームがパートナーから見積もりをとり、承認されやっと環境ができ上がります。数日でこれらを行うのは無理ですが、AWS ならその日の内にやりたいことを実現する環境の金額が明らかになり、開発担当レベルですぐに構築できます。

「AWS に移行して、アプリケーションを開発しているエンジニアがイメージしたことをすぐに実現できるようになりました。」(岩出氏)

AWS を使い始めたことで、開発体制も自ずと DevOps 的になっているのです。

当初の AWS への iCata の移行では、オンプレミスにあるシステムをほぼそのまま AWS 化しました。そのために利用したのがサーバーの Amazon EC2 を中心に、ストレージには Amazon EBS を、データベースには Amazon RDS for Oracle Database を組み合わせて構成しています。一部顧客向けに提供する占有型サービス用には、AWS Direct Connect なども利用しています。

オンプレミスの AWS 化だけでなく、凸版印刷ではさらに AWS を活用してクラウドのメリットを享受したいと考えました。そこで自分たちで AWS を使いこなせるようにするため、AWS トレーニングを受講しスキルの向上を目指します。自分たちでスキルを付けて AWS に用意されているさまざまなサービスを活用できれば、さらに開発や運用が楽になると考えたのです。

最初はインフラ移設に携わったエンジニアに AWS トレーニングを受けてもらい、その成果を勉強会などで社内にフィードバックする方法を考えました。しかし、インフラ担当エンジニアが忙しいこともあり、これはなかなかうまくいきませんでした。

結局はサービスを開発しているエンジニアや企画の人間が AWS を知らないと、AWS のサービスを積極的に使うようになりません。こういった人たちにどうやって AWS のスキルを教育するかが新たな課題となりました。そこで岩出氏らサービス開発の担当者自らが、AWS トレーニングを受けることにします。

トレーニングを受けたことで AWS のサービスの構成を体系的に知ることができました。トレーニング前には AWS の管理コンソールを見てもどう使えば良いかがよく分からないこともありましたが、トレーニング後は 1 つ 1 つのサービスの意味もよく分かり何をどう使えば良いかが十分に理解できたのです。これにより新機能の開発の際には AWS のサービスを組み合わせ、最初からクラウドネイティブでの実現を考えるようにもなりました。

「AWS トレーニングは、座学だけでなくチームに分かれ実践的に学べます。チームの中で議論することで、他の人や会社の考え方も分かるのは凄くメリットがありました。」(岩出氏)

2016 年 11 月に最初にトレーニングを受け、2016 年末に iCata にキャビネット機能を追加する際には、さっそくクラウドネイティブで実装し開発期間もかなり短縮できたのです。これだけの効果があるのならば、もっと早く受けるべきだったと AWS トレーニングを評価しています。

その後開発している機能も、企画段階から Amazon API Gateway や AWS Lambda などを用い、サーバーレスでクラウドネイティブな仕組みで実現しています。

「インフラ担当はもちろん、サービスの開発をやっている技術者こそ、AWS トレーニングを受けるべきだと思います。」(小山氏) 

iCata で新たに作る機能は、クラウドネイティブを前提に考えられるようになりました。しかし、オンプレミス環境をそのまま移行した部分のクラウドネイティブ化はかなり難しい面もあり、これをどう実現するかは次の課題です。このためには、技術者の担当範囲ごとにアーキテクチャや開発といったカテゴリーのトレーニングをさらに受け、メンバーそれぞれが必要な AWS 技術を身につけていく必要があります。

「AWS トレーニングを受けてその便利さが分かると、エンジニアは AWS の新しいサービスをどんどん使いたくなります。エンジニアの自由度は確保しながら、AWS を使いすぎないようコスト管理をきちんとしていくのも新たな課題です。これにはよりコストを下げられるような AWS サービスの活用方法などについても、積極的に学んでいくことを考えています。」(岩出氏)

凸版印刷では、今 AWS で動いている 100 台を超えるサーバー環境を適宜見直し最適化を図っていきます。その際にはサーバーレスの仕組みも活用したいと考えているので、そのための AWS トレーニングの充実にも期待しています。また AWS サポートなどからもアドバイスをもらい、さらなる AWS の活用を目指しています。 

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- 凸版印刷株式会社
  メディア事業推進本部 メディア開発部 サービス開発チーム 課長
  小山 晋 氏

- 凸版印刷株式会社
  メディア事業推進本部 メディア開発部 サービス開発チーム 
  岩出 広大 氏