AWS にはシェア 1 位という安心感があります。それに加えて、エコシステムが充実しているため、さまざまなサービスを利用しながら、基盤の拡充を図ることが期待できるということも AWS を採用した理由の 1 つです。 
和田 貴広 氏 株式会社大和総研ビジネス・イノベーション 企業システム開発本部 企業システム開発第六部 副部長

オンプレミスで構築していたエネルギーマネジメントサービスで利用する IoT サービス基盤に AWS を導入。約 50% のコスト削減効果と 3 ~ 6 か月の開発期間短縮効果を実現しました。 また、システム構築において、アプリ開発担当者が AWS を使ったインフラ構築に積極的に関与するようになったことで、インフラとアプリケーションの作業分担による壁が解消され、設計や構築の効率化が図れています。Amazon EC2 をはじめ、 データベースには Amazon RDS を採用。Elastic Load Balancing により可用性を高めているほか、 NoSQL データベースサービスの Amazon DynamoDB を利用して、大量のリクエストを高速に処理しています。


株式会社大和総研ビジネス・イノベーションは、金融や通信、流通などの一般事業会社のほか、官公庁や地方公共団体など幅広い分野のお客様に、高品質で信頼性の高い情報システムサービスを提供しています。大和総研で培ってきたリサーチ、コンサルティングをはじめとするシンクタンク機能、ならびに情報システムの活用、IT 戦略策定支援等に関するシステムコンサルティング機能、システムソリューション機能を融合させ、お客様や地域の特性に合わせ、ワンストップでトータルソリューションを提供することが特徴です。 大和総研ビジネス・イノベーションでは、エネルギーマネジメントシステムを始めとする IoT サービスを積極的に展開しており、これにともなう取扱いデータの増大に対応するために、クラウドの活用を推進しています。

大和総研ビジネス・イノベーションでは、IoT を活用した電力やガス等のエネルギーマネジメントシステムを、多くの自治体や官公庁、企業などに提供しています。数万単位のスマートメーターやセンサーからエネルギー使用量データを分単位で収集し、そのデータを見える化・分析するサービスです。「従来のエネルギーマネジメントシステムは当社のデータセンター内にオンプレミスで構築し、お客様に提供していました。センサーは利用者が自由に追加することができるため、トランザクション量やデータ量が急激に増加するケースがありますが、オンプレミスのシステムではスケールアウトやディスク追加といった対応の難しさが課題となっていました。」と話すのは、株式会社大和総研ビジネス・イノベーション 企業システム開発本部 企業システム開発第六部 副部長の和田 貴広氏です。

 

大和総研ビジネス・イノベーションではこの課題に対応するため、柔軟な伸縮性を持つクラウドの活用を検討し始め、結果、AWS クラウドの導入を決定しました。クラウドを利用すれば、トランザクション量やデータ量の変化に対して容易に対応できると考えたからです。「AWS にはシェア 1 位という安心感があります。それに加えて、エコシステムが充実しているため、さまざまなサービスを利用しながら、基盤の拡充を図ることが期待できるということも AWS を採用した理由の 1 つです。」(和田氏)

IoT のサービス基盤を AWS クラウドに構築することを決定し、2017 年 4 月に開発が完了しました。サービス提供のためのサーバーには Amazon EC2 インスタンスを利用し、Amazon S3 や、Amazon DynamoDB、AWS WAF なども採用しています。また今回の開発では、自社のデータセンターと AWS の環境を AWS Direct Connect で接続することにより、オンプレミスの監視システムを使って運用担当者が 24 時間 365 日の監視を行う体制を構築しています。 

大和総研ビジネス・イノベーションでは AWS 上で構築した IoT サービス基盤と、その基盤上で稼働するエネルギーマネジメントシステムにおいて、さまざまな効果を実現しています。まずコスト面に関しては、スタンバイ側の EC2 や、開発環境の利用時間帯以外の停止により、利用した分だけの課金にコストを抑えられるほか、常時稼働が必要なサービスはリザーブドインスタンスを利用することで、コスト削減の効果を大きくしています。オンプレミスで新規構築して将来の拡張まで見据えた予備リソースの購入なども含めた想定コストと比較すると、約 50% のコスト削減効果があります。」と、株式会社大和総研ビジネス・イノベーション 企業システム開発本部 企業システム開発第一部の本圖 直之氏は言います。

さらに AWS 導入による構築期間の短縮も大きな効果となっています。「新たなサービスの構築期間が従来の 3 分の 1 に短縮しています。これは、まず検証環境を構築して動かすことができるため、キャパシティーの検討期間が大幅に短縮されることが大きいです。新しく基盤を構築することを想定すると 3 ~ 6 か月、既存基盤に追加する想定でも 2 週間程度の短縮ができます。」(本圖氏)

また、オンプレミスであれば致命的になりかねないようなプロジェクト途中の要件や仕様変更についても AWS なら柔軟に対応できます。「特に DynamoDB の柔軟性には満足しています。データ量の増加が予測しづらいのですが、ディスクの逼迫を気にする必要はありません。また、直前にリソースの増強が必要になっても、 EC2 なら容易にインスタンスタイプを上げることができ、迅速に対応できます。」(本圖氏)

もう 1 つ、本圖氏が大きな効果として強調するのが開発担当者の意識の変化です。AWS コンソール上での設定だけでインフラを構築できるため、アプリケーション開発担当者がインフラ構築に積極的に関与するようになりました。アプリケーションとインフラを同時に検討スコープに入れる事ができる為、設計や構築の効率化が実現できたと感じています。」(本圖氏)

 

大和総研ビジネス・イノベーションでは、今後も AWS の活用を積極的に進めていきます。今後は、Amazon Elasticsearch Service や Amazon Redshift Spectrum など、検索やデータ活用に関わる AWS サービスについても導入や、他のサービスの AWS 移行についても検討しています。「AWS を活用することにより、エネルギーマネジメントシステムで大きな効果を得られました。また、今後は DataLake などデータ活用の分野へも領域を拡げ、IoT に関するサービスのさらなる充実を図っていく予定です。」(本圖氏)

和田 貴広 氏  本圖 直之 氏


AWS クラウドが IoT ソリューションにどのように役立つかに関する詳細は、AWS IoT の詳細ページをご参照ください。