株式会社インテージは1960年にマーケティングリサーチ会社として創業し、この業界では国内1位、世界でも7位(*) という売上規模となっております。
インターネットだけでなく様々なリサーチ手法を駆使した、マーケティングリサーチ、コンサルティング事業を主力に、ヘルスケアソリュー ション事業、システムソリューション事業を展開しております。また、近年はアジアを中心に現地法人を設立し、ブラジル・インドなど新興国を対象にしたマル チカントリーのグローバル調査も実施しています。
(*) アメリカマーケティング協会(AMA)の機関誌「marketing news」(2013.8.30号)“2013 HONOMICHL GLOBAL TOP25”より
当社のネットリサーチのサービスメニュー拡大、リニューアルにあたり、ビジネス上の最大の課題は「より速く、より大量に」データを収集・分析することでした。
さらにシステムには24時間365日無停止運転が要求され、効率よくシステム構築するためには既存のオンプレミスのシステムだけではなく、クラウド基盤と併用する「ハイブリッドシステム」が効果的であると判断しました。
また、ビジネスの変革スピードに遅れないためのインフラ面での調達スピードも重要な課題でした。このため、AWS のみならず、一般的に提供されているパブリッククラウドを多数評価し、社内でスコアリングを実施しました。
社内スコアリングの結果、サービスの充実度、コスト、パフォーマンス、事業の継続可能性、 様々な観点でスコアリングし評価した結果、AWS が総合的に最も優れているという判断を下し、利用を決定しました。また、AWS がグローバルにサービスを展開されている点は、当社にとって将来的なビジネスの展開の視点から重要なポイントとして評価させていただきました。
システムは2013年1月にローンチしました。以下の構成で、約220台の Amazon EC2 インスタンスを利用し、.NET (Windows Server, SQL Server), Linux を活用しています。
「株式会社インテージ様 トータルリサーチシステム構成図」
今回のサービスリニューアルでは、最大アクセス数が従来の2倍以上、また集計処理に用いるデータ量は数倍程度になると試算されたため、アプリ、ミドルウエ アのチューニングだけでなく、AWS 上で何度も負荷試験を繰り返し、インスタンスの組合せを決定していきました。また、無停止サービスを実現するため、HA(高可用性)構成を当社独自に組み 立てる必要もありました。こうした状況に加え、設計確定からサービスインまで3ヶ月しかないという非常にタイトなスケジュール、かつ200台を超えるイン スタンスという大規模なシステムを構築するのは社内リソースでは追いつかないと感じ、AWS 専門のインテグレーションサービスを提供しているサーバーワークス社の「AWS 導入支援サービス」を利用しました。
オンプレミスとのコスト比較を行った結果、初期コストだけでなく運用コストにおいてもベネフィットがあることが分かり、5年間のTCOで約 30% のコスト削減になると試算しております。また、プロジェクト自体が非常に厳しいスケジュールだったため、機材の調達だけで数ヶ月を要するオンプレミスでは 確実に間に合わなかったところですが、AWS を利用することによって大幅な時間短縮が実現でき、計画通りにリリースすることができました。
AWS では非常にたくさんのサービスが提供されていますが、今回当社が利用したのはほんの一部でした。しかし、Amazon EC2 や Amazon VPC の自由度の高さは本来オンプレミス用に設計されていた当社のシステムに見事にフィットし、AWS の実装に際しての制約もほとんど感じられませんでした。また、ふと試したいことをすぐ実行できる AWS の環境は既存システムの移行だけではなく、新規に立ち上げるシステムにもマッチすると考えています。
現在は2013年4月にリリースしたシステムの安定度や耐久性などを見守っている段階ですが、コスト面・性能面でオンプレミス基盤より効果 的な面もあることが分かりました。AWS での構築・運用面のノウハウもかなり蓄積してきましたので、当社に多数ある社内DCにて運用しているシステムの中から AWS にマッチするシステムを見極めて積極的に活用していきたいと考えています。
- 株式会社インテージ 情報システム部 部長 饗庭 忍 様