Amazon Web Services ブログ

AWS と Caltech が新しい研究協力パートナーシップを通じて AI および Machine Learning を促進

自律ロボット工学から最先端のコンピュータビジョンに至るまで、カリフォルニア工科大学 (Caltech) と Amazon とには多くの共通点があります。人口知能 (AI) と Machine Learning (ML) を推し進めることは、産業を破壊するだけでなく、科学研究のあり方自体を根底から変えるという認識などもそうです。これらのテクノロジーは、工業オートメーション、ロボット工学、がん研究、神経科学などの分野を変革する可能性があります。別の重力子の発見をもたらす可能性すらあります。

本日、両組織間での研究パートナーシップが発表され、AI、データサイエンス、および Machine Learning の研究が促進されることになりました。

このパートナーシップ (2 年更新契約) の一環として、Amazon は、大学院の研究奨学金という形での財政支援と、AWS クラウドのクレジットという形でのコンピューティングリソースを提供し、これらの分野での Caltech の教授陣と学生の研究を助成します。研究チームは、AWS クラウド (最新鋭の Nvidia GPU インスタンスを含む) を通じ、Apache MXNet などのオープンソースプロジェクト使用してディープニューラルネットワークをトレーニングし、人工知能の基本的限界を押し上げることに協力します。パートナーシップは、Caltech の計算数理科学 (CMS) 学部と電気工学 (EE) 学部の研究者、および Caltech 全体の AI/ML 応用研究に携わっている研究者を対象とします。後者には、新たに発足した Center for Autonomous Systems Technology (CAST)、最近発表された Chen Institute for Neuroscience、世界的に著名な Jet Propulsion Lab (JPL) などとのコラボレーションも含まれます。Caltech は、真の意味での学際的な研究環境であり、Amazon は AI リサーチのタイプについて一切の制限を設けず、チームが広い視野で創造的に研究することを期待しています。

このパートナーシップは、Caltech と AWS の間で既に進行していた共同研究の必然的な延長でもあります。AWS ML 研究チームの数人のメンバー (Anima Anandkumar や Pietro Perona など) は、Amazon と Caltech を掛け持ちしています。この両人のほかに、パートナーシップをリードする主な研究員は以下のとおりです。

Aaron Ames
機械土木工学、制御および動的システムの Bren 教授

Ames 教授の研究は、ロボット工学、非線形制御、ハイブリッドシステム、自律システム、およびサイバーフィジカルシステムにわたります。特に、ロボットシステムの基礎論と実験的な実現が中心です。教授の研究室では、新しい二足歩行ロボットと人工器官を設計、構築、テストしています。人間のようなロボットの二足歩行を実現し、これらの機能をロボット補助器具に変換することを目標としています。


Animashree (Anima) Anandkumar
AWS の主任科学者、計算数理科学の Bren 教授

Anandkumar 教授の研究対象分野は、大規模な Machine Learning、非凸最適化、高次元統計です。特に、Machine Learning のテンソルアルゴリズムの開発と分析の陣頭指揮を執っています。テンソル分解方法は、どれも非常に類似しており、大規模なデータセットに対してスケーラブルです。大域的最適に収束することが保証されており、トピックモデル、コミュニティモデル、隠れマルコフモデルなど、多数の確率モデルに対して一致推定値を生成します。より一般的に、Anandkumar 教授は、鞍点を効率的に抜けるなど、非凸最適化を高速化するための効率的な手法を研究しています。


Pietro Perona
Amazon 特別研究員および電気工学の Allen E. Puckett 教授

Perona 教授の研究は、人間の視覚の仕組みを解明し、視覚を持つマシンの構築方法を編み出すことが主眼です。Perona 教授は、視覚認識 (特に視覚分類) の分野を主に担当しています。人間の最小限の監視でマシンが蛙、車、顔、木などを認識することを学習する方法、大規模なイメージのコレクションおよびウェブをイメージのコンテンツ別に検索可能にする方法を研究しています。同僚の Anderson 教授および Dickinson 教授と協力し、Perona 教授はハエやネズミの視覚システム、そのアクションとアクティビティを計測するための統計的手法の構築に取り組んでいます。これにより、遺伝学者および神経行動学者は、遺伝子、脳、行動の関係を調査できるようになります。Perona 教授は、人間がイメージのコンテンツを検索して認識するなど、視覚タスクの処理方法に関する研究にも関心を持っています。教授の最近のプロジェクトの 1 つでは、ウェブでの何千という人々の視覚能力をイメージのコンテンツの分類と検索に役立てる方法を研究しています。


Joel A. Tropp
応用計算数学の Steele Family 教授

Tropp 教授の研究は、応用数学、電気工学、コンピュータサイエンス、および統計学のインターフェイスにあります。この研究は、データ分析、スパースモデリング、確率変数による線形代数、およびランダム行列理論の理論的、計算的側面に関連します。


Adam Wierman
計算数理科学教授、計算数理科学事務局長、情報科学技術所長

Wierman 教授の研究は、クラウドコンピューティング、経済学、エネルギーという、一見異なる 3 つの分野にわたります。これらの多様な分野は、それぞれが再生可能エネルギーを IT (より一般的には電力供給網) に容易に組み入れるという、より広い研究目標の達成に不可欠です。教授の研究は、分野だけでなく手法においても多様です。研究では、アルゴリズム、ネットワーキング、オペレーションズリサーチ、経済学、およびコントロールのツールが動員されます。研究範囲は、理論から始まって工業移転への実装まで及びます。


Yisong Yue
計算数理科学准教授

Yue 教授の研究は、統計的機械学習の理論と応用が主眼です。教授は、特に構造予測、時空間推論、適応学習システム、および人間参加型 (human-in-the-loop) 機械学習の新しい方法の開発に関心があります。過去に、教授の研究は情報検索、コンテンツ推薦、テキスト分類、多機能なユーザー インターフェイスからの学習、暗黙のヒューマンフィードバック、データ駆動アニメーション、スポーツ分析、ロボット工学のポリシー学習、最適経路指定および割当問題に適応されています。

両チームの才能と英知の糾合から生まれる成果が楽しみです。この成果は、パートナーシップの期間中、絶えず共有されます。Twitter を参照してください: #Caltech#AmazonAI

今回のブログの投稿者について

Joseph Spisak 氏は、人工知能と機械学習に主眼を置いた AWS のパートナーエコシステムチームのリーダーです。17 年以上にわたり、Amazon、Intel、Motorola などの企業で主に動画や機械学習、AI を扱い、ディープテックの経験を積んできました。休日にはアイスホッケーをしたり、SF 小説を読むのが楽しみとのこと。

Adam Wierman は Caltech の計算数理科学教授です。Wierman 教授の研究は、クラウドコンピューティング、経済学、エネルギーという、一見異なる 3 つの分野にわたります。