はじめに
みなさんこんにちわ ! AWS の Developer Marketing Manager の服部です。
皆さんは生成 AI をどんなふうに活用していますか ? すでにいろいろなユースケースがあると思いますが、もっともっと生成 AI の力で仕事を楽に、そして楽しくできたら。そんな思いから AWS では「AWS Japan 生成 AI ハッカソン」を企画しました。
この記事ではその企画からハッカソンの全容をご紹介します。有用かつ楽しい作品の数々で楽しいひと時を過ごせること請け合いです。
当ハッカソンには QuizKnock の伊沢拓司氏、鶴崎修功氏にもご協力いただき、ナビゲーターおよび審査員としてハッカソンの面白さを伝えていただきました。なお、記事の最後には審査員を務めた QuizKnock の鶴崎修功氏が AWS を使って生成 AI アプリを開発する動画もご紹介しています。ぜひ最後までお付き合いください。
AWS Japan 生成 AI ハッカソン企画の経緯とテーマについて
生成 AI が世に広まって 2 年以上が経とうとしていますが、皆さんは日々のお仕事でどのように生成 AI を活用していますか ? ここの読者の皆さんはすでに日常的に使うことが多いのではないかと思いますが、日本全体でみると意外とそうでもないようです。下記図 1 のグラフは総務省の調査資料「令和6年版 情報通信白書」の個人の生成 AI の利用経験を表していますが、諸外国と比べても著しく活用の度合いが低いことが示されています。図 2 のグラフは同様に企業としての活用方針の策定状況を表したものですが、日本ではまだ生成 AI 活用があまり進んでいないことがわかります。
なぜこのような状況になっているのでしょうか。様々な要因があると考えられますが、私たちはその一つに「使いたくなるモチベーションが低い」という実態があるのではないかと考えました。便利なのはわかるけど今一つ使う気になれない・・・これではせっかくのテクノロジーが使われず勿体なく感じられてなりません。
そこでまず、毎日の仕事をもっと楽にしてくれて (便利に)、そして楽しくしてくれる (使いたくなる) アプリに巡り合える機会を作りたいと考え、このハッカソンを企画しました。
この経緯から、テーマは「生成AI を活用したアプリで社員がもっと楽しく、楽に仕事をすることが出来る仕組みを作ろう」としました。
なお、今回のハッカソンでは、ぜひ AWS 上で生成 AI アプリを構築していただきたく、①AWS を使用して開発、デプロイを行う ② Amazon Bedrockを使用する を参加条件としました。
生成 AI に関する調査資料

図 1 令和6年版 情報通信白書 : 生成AI利用経験(国民向けアンケート)より引用

図 2 令和6年版 情報通信白書 : 生成AIの活用方針策定状況 (企業向けアンケート)より引用
AWS Japan 生成 AI ハッカソンの進め方
9 月に募集を開始し、短い募集期間にもかかわらず多くの皆さんにご応募いただきました。すべての方にご参加いただきたかったのですが、運営上どうしても参加チーム数を絞らなければならず、書類選考の上 12 チーム (1 チーム 4 人まで) にご参加いただくこととなりました。作品の発表までのアクティビティは以下の通りです。
発表会、事後の Meetup 以外はすべてオンラインで行いました
- 説明会
- 10 月 11 日 アイデアソン
- 10 月 12 日 ~ 25 日 ハッカソン (アーキテクティング / 実装)
- 10 月 31 日 発表会 / 決勝戦
- ( 12 月 17 日 Developer Meetup)
今回のアイデアソンでは、応募段階で作られていたベースのアイデアを AWS のプロダクト開発の手法「Working Backwards」を用いてブラッシュアップするという作業を行いました。
ハッカソンでは、約 2 週間でゼロから環境構築、アーキティング、実装、プレゼンテーション作成などを行い、AWS のソリューションアーキテクトによるメンタリングも全てのチームに対して実施されました。
いよいよ発表会!作品の数々を一挙紹介
決勝戦と入賞作品の概要
入賞した 3 チームは AWS AI Day の最終セッションに登場し、300 名近くの参加者の皆さん+オンライン視聴の皆さんの応援を得ながら最終プレゼンテーションに臨みました。
ナビゲーターは QuizKnock 伊沢拓司氏。審査員として引き続き上記の 4 名の皆さんが登壇され、否が応でも決勝戦が盛り上がります。
審査員の鶴崎修功氏 (QuizKnock)、ナビゲーターの伊沢拓司氏 (QuizKnock)

1. AI Tech Talkers (アーベルソフト)
最初の発表は「アーベルソフト」高橋 圭太郎氏 (株式会社アーベルソフト)。社員のテクニカルスキルを向上させるために開発したのが「AI Tech Talkers」です。
このアプリの素晴らしいところは、とにかく「楽しい」ことです。ユーザーが技術的な質問を投げかけると、楽しく味わい深い AI キャラクターたちがキャラクター性をもって回答してくれる、というものです。それだけではなく、この AI キャラクターたちはお互いに AI 同士でテクニカル談義を繰り広げてくれるのです。それを見ているだけでも楽しくなるアプリです。
それにしても AI 同志の会話がこんなに面白いとは思いませんでした。非常に完成度高いデモ動画ですので、ぜひご覧ください !

2. AI 面接エージェントサービス (パソナPDT)
次の発表は「パソナPDT」建部 信幸氏(株式会社パソナ)。
就職面接が行われるまでには求職者、採用企業、そしエージェントが存在しますが、「たくさん面接を実施しているのになかなか採用にいたらない」という課題があります。求職者は採用企業を理解し、過度に緊張することなく本来の自分をアピールできるようにできれば、エージェントは適切にマッチングして、採用率を上げ、ルーチンワークを効率化できたらと考えています。そこで「AI 面接エージェントサービス」はリアリティーあるキャラクターを用いて疑似面接官とし、面接対策として本番に近い疑似面接をアプリで行えるようにしました。疑似面接での採点や改善のためのアドバイスもしてくれる優れものです。
また、ちょっと面白いキャラクターの疑似面接官もいて緊張を和らげてくれます。

3. 「Ctrl +Cat」(mirAI Innovation Center (仮) (大日本印刷株式会社)
最後の発表は mirAI Innovation Center (仮) 佐藤陽平氏 (大日本印刷株式会社)。
生成 AI は一定の範囲で使用されているものの、機能がありすぎて複雑化しているという課題がありました。そこで、もっと活用するために (この短期間であるにもかかわらず) 社内リサーチを実行し、活用を阻む課題として「作業と生成 AI 利用が分断している」「プロンプト作成やデータ加工のために手作業が止まる」が多く挙げられました。そこで、検討の結果「いつでもサッと使えるようにする」「何をしたいのかを AI に察してもらい、提案してもらう」「AI が常に自分に寄り添うパートナーである印象をもたせる」の 3 点が満たされれば解決できると考えるに至りました。

ためらわずにタスクをお願いしたくなる AI パートナー
そこで生まれたのが、ためらわずにタスクをお願いしたくなる AI パートナー、「クリップボードでササっとお願い! 日々の仕事に自然に寄り添う『Ctrl+Cat』」でした。Ctrl+Cat は AI エージェントが常駐し、やりたいことは何でもクリップボードに貼り付けるだけでどういう結果がほしいか推測、提案、実行してくれるのです。まさにコピペの感覚で Ctrl+C から始められる気軽さがありますね。
回答をくれるのは各分野担当の AI エージェントたちですが、これがかわいい猫のキャラクターで、使っていくうちに成長するという使う楽しさを持っています。
簡単に使えて、ものすごく便利で、しかもかわいいキャラクターを見る楽しみもあり、成長する楽しみもあり・・・ん?これはたしか 2 週間で開発されたような・・・。審査員の皆さんもこの短期間でのこの完成度に驚かされていました。

結果発表 !
そしていよいよ結果発表!結果は以下のとおりとなりました。
- 優勝 : mirAI Innovation Center (仮)
- 準優勝 : アーベルソフト
- 第3位 :パソナPDT
皆さま、おめでとうございました !
決勝戦の模様は こちらの動画 でご覧いただけますので、ぜひご覧ください。
mirAI Innovation Center(仮)(大日本印刷株式会社)チームのみなさん

QuizKnock も AWS を使って生成 AI アプリ開発をやってみた !? 30 万再生を突破した必見動画とは ?
ハッカソン審査員をお引き受けいただいた QuizKnock 鶴崎修功氏が今度は開発する側となって生成 AI アプリ開発に挑みました。QuizKnock の人気コンテンツ「朝からそれ正解」で使われるクイズの出題と想定解答を生成する AI を作ることになった鶴崎修功氏と falcon 氏。与えられた時間は 2 時間ほど。果たして要件を満たすアプリが作れるのでしょうか ?
開発には AWS そして Generative AI Use Cases JP (GenU) が使われています。最後にハッカソンのふりかえりもあります。
12 月 17 日の公開後、すでに 30 万再生を超えた人気動画となっていますのでぜひご覧ください!
生成 AI アプリを開発するための環境はかなり整っています。ぜひ皆様もこの機会に課題解決の助けとなる生成 AI アプリ開発にチャレンジしてみませんか ?
筆者プロフィール
服部 京子
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
Sr.Developer Marketing Manager
AWS マーケティングにて、主にイベント企画運営を担当しています。2025 年も Developer の皆様が思わず参加したくなるような、楽しくてためになるイベントを企画しますのでどうぞお楽しみに !

Did you find what you were looking for today?
Let us know so we can improve the quality of the content on our pages