はじめに
こんにちは ! Solutions Architect の桂井です。AWS について楽しく学べるカードゲーム AWS BuilderCards をご存知ですか ? AWS BuilderCards は AWS のサービスを組み合わせながらアーキテクチャを構築するカードゲームとなっており、JAWS-UG (日本 AWS ユーザーグループ) コミュニティのご尽力によって日本語版が作成されています !
以前の記事 で紹介されていた内容が 1st Edition の内容となっておりますので、この記事ではアップデートされた AWS BuilderCards 2nd Edition の遊び方についてご紹介します。
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AWS BuilderCards とは
AWS BuilderCards は、Amazon Web Services が提供するクラウドサービスや、サービスを組み合わせたアーキテクチャを学べるカードゲームです。
サービスを組み合わせてアーキテクチャを構成する思想は、ビルディングブロックと呼ばれます。AWS BuilderCards を通じて AWS が提供している数多くのサービスを組み合わせて「可用性が高く」、「柔軟性があり」、「拡張性のある」、「セキュリティが適用された」システムを作り上げる Well-Architected なアーキテクチャを学ぶことができます。
AWS BuilderCards の入手方法
AWS BuilderCards は、本稿を執筆している 2025 年 5 月時点で日本では一般販売されておらず、AWS re:Invent などの AWS イベントで限定配布されたもののみとなっています。もし、AWS BuilderCards を持っている方がこのプレイガイドを読んでいましたら、ぜひ会社の仲間、コミュニティの知り合い、友達と一緒にプレイしてください。
執筆時点では日本で販売されていませんが、一部の国では AWS BuilderCards の販売が始まっております。
https://aws.amazon.com/gametech/buildercards/
AWS BuilderCards 2nd Edition の遊び方
ここでは AWS BuilderCards 2nd Edition の遊び方を紹介します。今回は各カードの詳細説明やミッションカード等の上級者向けの遊び方は省略しています。詳細な遊び方を知りたい方は、AWS BuilderCards のサイト内にルールを説明した PDF へのリンクがありますのでご参照ください。最新のルールなどもこのサイトで更新しています。
1st Edition と変わらない部分の説明に関しては以前の記事と重複しますが、前提知識がない方を読者として想定しているためそのまま記載しています。1st Edition と 2nd Edition で異なる部分には可能な限り (補足) として追記しています。1st Edition と 2nd Edition には互換性はありません。
基本的なルール
- プレイ人数 : 2 人 ~ 4 人
- ターン制プレイ
- Well-Architected Card が山札からなくなるとゲーム終了
- ゲーム終了時に Well-Architected Card ポイント総数が最も高いプレイヤーの勝利
Starter Cards
Starter Card はゲーム開始時に各プレイヤーに配布されるカードです。Starter Card は、既存のシステムがクラウドにリフトするイメージで、上向きの矢印が記載されています。
カードの右上には S マークがプリントされ、4 つの色で各色それぞれ 10 枚あります。プレイヤーは同じ色のカードを 10 枚手元に持った状態でゲームを開始します。
(補足) 1st Edition では左上に S マークがプリントされていましたが、2nd Edition では右上に変わりました。

Well-Architected Cards
Well-Architected Card は、1 ポイントと 3 ポイントの 2 種類があります。1 ポイントの Well-Architected Card は 3 クレジットで取得でき、3 ポイントの Well-Architected Card は 8 クレジットで取得できます。
右の例は 3 クレジットで取得可能な Well-Architected Card です。右上の 3 というクレジットの下に書いてある人のマークはプレイヤー数の推奨となっていて、このカードの例だと 3 人以上でプレイする場合にぜひ含めてください。もし 2 人でプレイする際には 2 人だけ書いてある Well-Architected Card のみ利用することをおすすめします。
(補足) 1st Edition では Well-Architected Card は AWSome (オーサム) クレジットでのみ購入可能でした。2nd Edition では TCO がなくなったため、AWSome (オーサム) クレジットはシンプルにクレジットとなりました。

Builder Cards
残るカードの種類は Builder Card です。Amazon EC2 や AWS Lambda など AWS のサービスやツール・フレームワークがアイコンとセットで記載されています。Builder Card には、カードによってさまざまな効果や効果の発生条件があります。QR コードが下部にあるので、どんなサービスかわからない場合には調べることが容易になっています。
Builder Card は、右上にコストの数字が記載されているカードと、数字の記載されていないコストのかからないカードが存在します。後のセットアップのセクションで紹介しますが、2 種類は分けて別々の山に重ねて用意します。
(補足) 1st Edition では左上に数字が記載されていましたが、2nd Edition では右上に変わっています。また、TCO はなくなりクレジットが 1 種類となりました。この影響で中央にクレジットが記載されており、コストも必要な場合のみ記載する形式に変わっています。
Amazon EC2 と Amazon EC2 Auto Scaling


エフェクト (カードの効果) とは ?
カードによっては、Builder Card を 1 枚多く引いたり、他のカードと組み合わせることでクレジットを増やす、といった特殊効果を発動する Builder Card もあります。この特殊効果をエフェクトと呼びます。
上段に記載されたエフェクトがプライマリーエフェクト、下段に記載されたエフェクトがセカンダリーエフェクトで、アイコンの右側に記載された条件を満たすと発動します。
クレジット増加ではない他のエフェクトのアイコンについては後述します。
セットアップ
Starter Card を配る
各プレイヤーは、同色の Starter Card を 10 枚手に取ります。

2 人で対戦する場合
例えば 2 人で対戦する場合は好きな色を 1 種類ずつ持ち、残りの 2 種類は箱に戻します。

Builder Card をシャッフルする
Builder Card をコストアイコンがついているカードとついていないカードを分けます。コストアイコンは Builder Card の右上に数字のことです。
右の例では Amazon EC2 Auto Scaling はコストアイコンがついているカードとなります。
Builder Card をよくシャッフルします。シャッフルが不十分だと同じカードが固まりゲームバランスが崩れる可能性があります。特に未使用のカードでプレイする場合は入念にシャッフルをしてください。

Well-Architected Card を用意する
Well-Architected Card は、1 ポイントと 3 ポイントの 2 種類があります。1 が上、3 が下になるように並べて、表向きにして中央に配置します。

コンソールを配置する
各プレイヤーから見て中央にカードを配置します。このカードを配置したスペースをコンソールと呼びます。コンソールの右側にはコストアイコンのついている Builder Card、左側にはコストアイコンのついていない Builder Card、中央には Well-Architected Card をセットします。
コンソールにあるコストアイコンのついていない Builder Card の山から 4 枚、コストアイコンのついている Builder Card の山から 1 枚を下記のように配置します。もし同じ種類のカードが出た場合には重ねます。
(補足) 1st Edition ではコンソールのことを Marketplace と呼びました。

【ワンポイントアドバイス】
2 〜 3 人でプレイする場合、Well-Architected Card を減らすことで AWS BuilderCards のゲーム時間を短縮できます。
- 2 人プレイの場合 : 3 人と 4 人のアイコンがついたカードを除外する
- 3 人プレイの場合 : 4 人のアイコンがついたカードを除外する
- 4 人プレイの場合 : すべてのカードでプレイする

プレイ開始前のプレイヤーの Starter Card 配置について
各プレイヤーは Starter Card を自身のエリアにまとめて置きます。

ゲームスタート !
ターン進行の順番を決める
ターンの順番については、公式ルールでは AWS 認定資格保有数に応じて順番を決めることを推奨すると記載がありますが、このプレイガイドではわかりやすいようにジャンケンを採用します。ジャンケンで勝った人から時計回りにターンを進行していきます。
手持ちのカードを 12 枚にしてリソースパイルをセットする
最初、各プレイヤーの手元には 10 枚の Starter Card があります。 まず初めにターンを重ねて手持ちのカードを 12 枚まで増やします。
リフィル
最初のプレーヤーから時計回りにコンソールに配置した、表向きの Builder Card のうちコストアイコンのついていないカードから好きなカードを 1 枚取ります。1 枚とったら、コストアイコンのついていないカードの山札から 1 枚を場に補充して再度 4 枚にします。
カードを取った分を山札から補充する行為を以降リフィルといいます。
写真では Amazon S3 を取ったところ、リフィルによって AWS Marketplace が配置されました。この手順を繰り返して各プレイヤーが 2 枚ずつカードを追加しました。

リソースパイル
手持ちのカードが 12 枚になったら、その 12 枚を裏返しにしてシャッフルし、プレイヤーマットの左から 2 番目に配置します。この裏返しで配置したカードをリソースパイルと呼びます。その後、リソースパイルから 5 枚をめくり表向きにならべます。
最初は『どのカードを取ったら良いのだろうか ?』と悩まれると思いますが、プレイに慣れるまでの間は好きなサービスのカードを選ぶなど、気軽に選択してください。

ターンの開始
最初のプレイヤーから時計回りでターンを進めていきます。
1 つのターンは、3 つのフェーズで構成されています。
フェーズ 1 : ビルドフェーズ
ターンは、フェーズ 1 : ビルドフェーズ からはじまります。
ビルド前に手札の 5 枚のカードを確認し、Starter Card の数が Builder Card よりも少ない場合、言い換えると Builder Card の数が Starter Card より多い場合には Starter Card をゲームから除外することができます。ゲームから除外することをリタイアと呼びます。

リタイア
リタイアしたカードは、以降は使用しないため化粧箱等に入れてください。
リタイアしたターンは 1 枚少ない 4 枚でビルドする必要がありますが、次ターン以降で Starter Card が出る確率が下がります。Starter Card はクレジットがないため、出る確率が下がることは有利に働きます。
【ワンポイントアドバイス】
以下の Starter Card には関連するエフェクトがあります。
Virtual Machine は Starter Card の Bare Metal Host と組み合わせると、カードをもう 1 枚引くことができます。
AWS IAM Identity Center は Starter Card の Corporate Identity Provider と組み合わせると、後述する取得フェーズで行動できる回数が 1 回増えます。

デプロイ
手札の Builder Card から各カードが持つ条件を読み、エフェクトが発動できるか確認しつつ、アーキテクチャをデプロイします。Builder Card 1 枚でデプロイすることも可能です。Builder Card がなくデプロイできない場合は、ビルドフェーズ終了となり、次の取得フェーズに進みます。
各カードが持つ条件が揃うとアーキテクチャのデプロイ時にエフェクトを発動することができます !
もし黒背景に +1 と書かれたカードを追加でリソースパイルから引くことができるエフェクトがあった場合、このタイミングで使用してください。このフェーズでビルドしたアーキテクチャは次フェーズ以降で変えることはできず、構築したアーキテクチャから算出されたクレジットがこのターンで利用できるクレジットとなります。
アーキテクチャをデプロイすることによって発生したエフェクトと、単独のカードのクレジットによってビルドしたアーキテクチャのクレジットは決まります。
この画像の場合は、
- 単独のクレジット: 0 + 0 + 2 + 2 + 1 = 5
- エフェクト: Amazon RDS に記載の compute サービスとの組み合わせ +2
合計のクレジットは 7 となります。

【ゲームに慣れてきたら】
デプロイする時には、カード効果の発動に関わらず他のプレイヤーに向けてそのアーキテクチャを説明します。他のプレイヤーは説明されたアーキテクチャが正しいものであるか判断します。例えば、Amazon EC2 と AWS Fargate カードが手元にある場合に、「Amazon EC2 に AWS Fargate をマウントしてデプロイします ! 」と宣言するとします。このアーキテクチャは果たして正しいでしょうか ?
AWS BuilderCards に参加するプレイヤーは全員ビルダーです。皆さんでアーキテクチャが正しいものか議論して決定していくことができます。ただし、Starter Card はアーキテクチャを持ちませんので、Starter Card のみデプロイする場合はアーキテクチャを説明する必要はありません。
フェーズ 2 : 取得フェーズ
次は取得フェーズです。
ビルドフェーズで計算したクレジットに応じたコンソールに並んでいる Build Card または Well-Architected Card を取得します。1 ターンにつき取得回数は 1 回 (1 枚) です。Builder Card と Well-Architected Card の両方を 1 枚ずつではない点にはご注意ください。
また、コンソール上の Well-Architected Card の山は上から順番に取る必要があります。仮に使用できるクレジットが大きいとしても、1 番上の Well-Architected Card が 3 クレジットで取得できる 1 ポイントのカードの場合、8 クレジット必要な 3 ポイントの Well-Architected Card を山の下の方から取得することはできません。
エフェクト条件
ビルドしたアーキテクチャのエフェクトによっては取得できる回数が増える場合があります。
白い雲に +1 と書かれたエフェクトが発動した場合には、取得できるカードの枚数が 1 枚増えます。
Builder Card の取得後はコストアイコンのない Builder Card はコンソールの左側の山から、コストアイコンのある Builder Card はコンソールの右側の山から、それぞれリフィルしてください。Well-Architected Card は最初に 3 ポイントを下に、1 ポイントを上にしているのでそのままで構いません。

フェーズ 3 : ターン終了フェーズ
最後にターン終了フェーズとして、手札のカード、取得したカードをディスカードパイルに送ります。さらに、リソースパイルから新しくカードを 5 枚を引き、手札に並べます。
リソースパイルが 0 枚になったら、ディスカードパイルにあるカードを裏向きにしてシャッフルし、再度リソースパイルに戻し、不足分のカードを手札に並べます。
別の言い方をすると取得したカードはディスカードパイルを経てリソースパイルに戻ってきますので、将来ビルドする時に使えるようになります。
ターンが終了したときは、画像のような形になります。

ゲーム終了
ターンを重ねていき、コンソールにある Well-Architected Card が 0 枚になったらゲーム終了です。
ゲーム終了時に、Well-Architected Card のポイント総数を最も多く獲得したプレーヤーが勝者となります。Well-Architected Card のポイント数が同じプレイヤーが複数いた場合、所有する Builder Card の枚数が多いプレイヤーが勝者となります。
エフェクト
エフェクトには、ビルドフェーズの説明の中に登場したクレジットが増えるパターンの他にアイコンによって表示されているものが 3 種類あります。
黒いカードの背景に +1 と記載されているエフェクトはリソースパイルから 1 枚追加できることを意味します。このエフェクトが 1 回発動すると、手札が 5 枚ではなく 6 枚になるため、クレジットの合計が大きくなることが期待できます。
白い雲に +1 と記載されているエフェクトは取得フェーズでの活動が 1 回増やしてくれます。このエフェクトが 1 回発動すると、通常の取得フェーズではコンソールにある Well-Architected Card と Builder Card の中から 1 枚しか取得できないところ、2 枚取得することができます。ビルドフェーズで計算したクレジットが仮に 10 だとすると、8 クレジット必要な 3 ポイントの Well-Architected Card を 1 枚とコストアイコンのない Builder Card の組み合わせや、コストアイコンのついた Builder Card 2 枚といった取得の組み合わせが考えられます。
太陽が沈むマークはエフェクトの発動後にリタイアすることを意味します。写真の Cloud Financial Management においてはエフェクトを使わない場合には 2 クレジットとして働き、通常のカードと同様にターン終了後にディスカードパイルに移します。エフェクトを利用した場合には、ゲームから除外してください。

まとめ
新しくなった AWS BuilderCards 2nd Endition の簡単な遊び方を紹介しました。
AWS BuilderCards は、楽しみながら他のプレイヤーとコミュニケーションをはかり、座学だけでは得られない AWS 学習の機会を提供してくれます。プレイする機会がありましたらぜひお楽しみください !
筆者プロフィール
桂井 俊朗(Toshio Katsurai)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
シニアソリューションアーキテクト
ソリューションアーキテクトとして ISV/SaaS のお客様の技術支援を行っています。スポーツを見るのが好きで、たまにフットサルをやっています。ドクペ愛飲者です。
