Alta VR が AWS を利用して仮想現実世界への没入感をゲームプレイヤーに提供

忘れ去られた世界で友人たちと一緒に旅することを想像してみてください。旅の途中で皆さん全員が、謎に満ち、見捨てられた街を発見し、協力してその街を修復し、まったく新しいコミュニティを生み出します。自分だけのストーリーを創作しながら、鍛冶、大工仕事、料理も学びます。

これが、仮想現実 (VR) 専用のオープンワールドマルチプレイヤーロールプレイングゲームであり、Oculus Quest VR システムで最も売れているゲームの 1 つである A Township Tale の世界です。ゲームをインストールした後、プレイヤーは PC の VR または Oculus ヘッドセットを使用して A Township Tale の世界に入ります。このゲームは 1 人でプレイすることもできますが、最大 8 人のプレイヤーが協力モードで参加して、ヘッドセットを使用してリアルタイムで交流しながら一緒に旅をすることもできます。オーストラリアに本拠を置く VR ゲームスタジオである Alta VR は、2016 年 1 月にこのゲームの PC 版を発売し、その後 2021 年 7 月には Oculus Quest 版をリリースしました。今日では、何十万人ものプレイヤーが PC と Oculus Quest でこのゲームをプレイしています。

Alta VR は、PC 向けゲームの発売の準備を進める中で、ゲームアプリケーションを実行するクラウドプロバイダーをいくつか評価しました。同社は、高レベルのスケーラビリティ、成長するプレイヤーベース、および将来のコンテンツをサポートできる能力を高く評価して、Amazon Web Services (AWS) を選びました。「AWS からはすばらしいサポートを受けることができました。また、AWS は、マルチプレイヤーゲームをスケールする方法についてのインサイトを共有してくれるゲームテクノロジーのエキスパートと当社をつないでくれました」と Alta VR のプリンシパルクラウドエンジニアである Timo Schmechel 氏は述べています。

Alta VR は、Oculus Quest プラットフォームでゲームをリリースすることを決定した時点で、スケーラビリティが最も重要であることを認識していました。同社は、PC 版のゲームと比較して Oculus Quest の方がはるかに多くのプレイヤーを獲得でき、新規プレイヤー数は数千人に上るであろうと予想しました。「プレイヤーは他のプレイヤーが参加して交流できる仮想世界を作成するため、その機能をサポートできる非常にスケーラブルなアーキテクチャが必要であることは明らかでした」と Schmechel 氏は述べています。

以前は、Alta VR に登録していた A Township Tale の新規プレイヤー数は 1 日に 100 人程度でした。Oculus Quest で公開されてから、新規プレイヤー数は 1 日に数千人に増加しました。 

Schmechel 氏は次のように述べています。「Oculus Quest のリリース週には、1 日あたり数万人の新規プレイヤーがサインアップしていました。2021 年 11 月の時点で、当社のユーザーベースは数十万人を超えており、急速に成長しています。これは Oculus Quest の人気と、急速に拡大するプレイヤーベースに対応するためのコンテナを迅速にスケールできる能力によるものです」。

A Township Tale は永続的な仮想世界、つまりユーザーがログインしているかどうかにかかわらず存在し続ける世界で構成されています。これらの仮想世界は、複数のグローバル Amazon Elastic Kubernetes Service (Amazon EKS) クラスター上で実行するコンテナ化されたアプリケーションとしてホストされます。

さらに、Alta VR は、Amazon EKS とともにさまざまな Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスタイプを使用して、数百のノードをサポートしています。これは、各クラスターが数千の同時ゲームセッションを簡単にサポートできることを意味します。クラスターは Amazon Elastic File System (Amazon EFS) を利用して、各プレイヤーが仮想世界の状態を一元的なファイルシステムに保存できるようにします。「永続的な世界からデータを保存およびバックアップするための追加のコードは不要だったため、プレイヤーの仮想世界が常に保存される状態が実現しました」と Schmechel 氏は述べています。「カスタムソリューションを作成する代わりに Amazon EFS を利用してこれを行うことで、数週間の開発時間を節約できました」。

Alta VR は、Amazon EC2 インスタンスと Amazon DynamoDB を使用して、PC 版のゲームをスケールしています。また、Amazon API Gateway を介して AWS Lambda でホストされる中心的なアプリケーションプログラミングインターフェイス (API) も使用しています。API は、Amazon DynamoDB のオンデマンド機能と AWS Lambda のサーバーレスの性質により、成長に合わせてスケールできます。

AWS の伸縮性により、Alta VR はピーク期間と非ピーク期間に合わせてスケールアップおよびスケールダウンできます。また、ピーク時であっても、世界中のゲームプレイヤーに低レイテンシーを提供します。夜間には他の時間帯に比べて 20 倍の数のプレイヤーがこのゲームをプレイします。これは、世界中のプレイヤーがトラフィックにかかわらずスムーズなゲームプレイを体験できるように、リソースをオンデマンドでスケーリングしているということを意味します。「私たち自身が大規模なクラスターを管理するのではなく、夜間にリソースを自動的に起動できるようになりました」と Schmechel 氏は述べています。

このアプローチは Alta VR がコストを管理するのにも役立地ます。コスト管理は、スタートアップである同社にとって重要な検討事項でした。「当社のセットアップはリクエストベースであるため、継続的なコストはかかりません。また、当社は Amazon EC2 スポットインスタンスも活用しています。ユーザーは 1～2 時間しかプレイしないため、これは有益です」。

A Township Tale は、オーストラリア、欧州、米国の 3 つの AWS リージョンでホストされている永続的な仮想世界にプレイヤーを接続するため、プレイヤーはサーバーの作成時にリージョンを選択して、スムーズなプレイエクスペリエンスを得ることができます。AWS を利用して成功を収めたことを踏まえて、スタートアップである Alta VR は現在、プレイヤーの行動に関するインサイトを得てゲームエクスペリエンスをさらに強化するために、AWS 上にデータ分析ソリューションを作成することを検討しています。

Alta VR の共同創業者であり、ゲームディレクターでもある Boramy Unn 氏は次のように述べています。「当社では、日次のアクティブプレイヤー数やリテンション率などの機能に関する基本的な分析は既に利用できるようになっています。2022 年には、プレイヤーが特定の機能をどのように操作するか、またはプレイヤーがプレイにどれ程度の時間を費やすかを確認することに重点を置き、必要に応じてゲームを改善または調整できるようにしたいと考えています」。 Unn 氏は次のように締めくくりました。「当社は、今後数世代のゲームがどのようなものになるかを考え、そのビジョンに向かって取り組むことで、VR 業界を前進させようと真剣に取り組んでいます」。

 詳細については、aws.amazon.com/gametech および aws.amazon.com/startups をご覧ください。