Amway は、世界最大の直販ビジネス企業で、『Direct Selling News 2017 Global 100』によれば、売り上げ収益は 88 億 USD を超えています。Amway は、数百万に上る独立した販売店のネットワークを通じて、幅広い食品、化粧品、および家庭向け製品を販売しています。しかしながら、会社の巨大な規模とグローバルなフットプリントにもかかわらず、インターネット接続の製品—つまりモノのインターネット (IoT) 関連の製品—を開発しようというそのイニシアチブは、最上位の空気処理システムを強化するプロセス内で、組織の草の根的な努力から始まったものです。「このプロセスで、部門間チームは、Wi-Fi と Bluetooth 通信機能を追加することにより、ユーザーエクスペリエンスを強化できる機会があることに気づきました」と述べるのは、Amway のチーフ IoT ソリューションアーキテクトである Everett Binger です。
このアイディアはすぐに執行役員のイニシアチブとなり、最終的には、会社が製品開発を行う方法を変革しました。IoT への旅を始めた Amway は、その最初のインターネット接続製品である、アトモスフィアスカイ空気清浄機のローンチに成功しました。そして、IoT が会社にもたらす利点をさらに追求することを計画しています。
Amway では、4 か月かけて様々な IoT プラットフォームを評価し、最終的に AWS IoT を選択しました。AWS のスケーラビリティ、グローバルなプレゼンス、IoT 空間での円熟性、セキュリティ、そして抜群のプロフェッショナルサービスが、Amway にとっての決め手となりました。「当社ではビジネスを 100 以上の国と地域で運営しているため、IoT の観点から、どの程度のデータセンター容量が必要なのかについては見当もつきませんでした」と、Amway のシニア IoT プラットフォームアーキテクトである Mike Gartner は述べています。
Amway は、AWS IoT を用いて、IoT プラットフォームをサーバーレスアーキテクチャで実装しました。他の AWS のサービス— AWS Lambda、Amazon API Gateway、および Amazon DynamoDB—も、接続型デバイスに主要な機能を実装するために用いました。機能には次のようなものが含まれます。
- コマンドとコントロール—世界中のどこからでもデバイスのコマンドを送信できて、応答を得られることです。
- ファームウェアの更新—デバイスの機能を自動的に更新できます。
- テレメトリーによるデータキャプチャー—デバイスから継続的にデータを収集し、後ほど分析する、またはリアルタイムで利用するために、それらのデータを変換できることです。
- ジャストインタイムの登録—デバイスを安全に AWS IoT プラットフォームに登録できます。
- デバイスのペアリング—デバイスをコントロールしているのが誰かということは、デバイスの所有者だけが知ることができます。
Amway が IoT に移行する際の最大の懸念となったものには、セキュリティが含まれます。『AWS IoT プラットフォームを使用することにより、私たちは、アーキテクチャ全体にわたるポリシーとセキュリティを構築できるようになりました』と Gartner は言います。いくつかの AWS のチームが、Amway の接続型デバイスのための ジャストインタイム証明者登録を実装するために、Amway および Atmel (現在は Micorchip) と協力しました。ジャストインタイム登録は AWS IoT の新しいプロセスで、新しいデバイスの証明書を、デバイスと AWS IoT の間の初期通信の一部として自動的に登録します。これによりシームレスで、非常にセキュアなユーザーエクスペリエンスが実現できます。デバイスと AWS IoT の間の通信は、X.509 証明書を使用することによって保護されます。
AWS ジャストインタイム登録を使えば、ユーザーは自分の Amway デバイスが、別の IoT プラットフォームや、通信経路上にあるかもしれないハックされたプラットフォームなどではなく、Amway の AWS IoT プラットフォームとのみ通信していることを確信できます。Amway の側からすると、ジャストインタイム登録により、特定のデバイスが偽物ではなく、本当に Amway が製造したデバイスであることが保証されます。Amway デバイスでは、ジャストインタイム登録は、各ユニットに搭載された、Atmel のマイクロプロセッサーによって処理されます。「当社の空気処理システムの有効な証明書は実際のところ、工場から出荷される前に作成されます」と Binger は述べています。
IoT プラットフォームが必要とするアーキテクチャを設計する際、Amway は、プラットフォームソフトウェアのアップデートを自動化するため、AWS プロフェッショナルサービスの助けを得て、継続的な統合と継続的なデリバリの (CI/CD) パイプラインを作り出しました。パイプラインはレポジトリからのソースコードの変更をピックアップし、アプリケーションをビルドしてパッケージにし、この新しいアップデートを一連の段階を通じてプッシュし、統合テストを実行して、すべての機能が正常で、各ステージで後方互換性があることを確認します。
CI/CD プロセスは、会社がいっそうアジャイルとなることを可能にし、製品開発の実行方法を完全に変えました。「過去においては、運用環境へのデプロイを完了してテストするには、1 週間かかりました」と Binger は言います。「現在では、数分から数時間程度で終わらせることができます」
AWS のサーバーレスアーキテクチャを利用することにより、Amway では、IoT のための労力が非常に軽く、アジャイルなアプローチを取ることができました「IT インフラストラクチャのために投資する必要はありませんでした。AWS がサーバーレスアーキテクチャを提供してくれたからです。このことはそれ自体、極めて大きな節約になりました」と Binger は述べています。彼はサーバーレスのアプローチが、Amway のエンタープライズ IT アーキテクチャ全体にわたる、他の多くのシステムでも採用されることになると予測しています。
「AWS プロフェッショナルサービスへの投資は、学習曲線を大幅に抑え、市場への投入が加速されることによって、十分に報われました」と Binger は言っています。「最初のコンセプトから、IoT 対応の、すぐに運用できるアプライアンスの構築までを、1 年ちょっとで実現できたというのは、信じがたいほどです。Amway にとっては非常に速いプロセスです。通常の製品開発サイクルは、それよりもずっと長いからです」
IoT の実装から得た最も重要な価値として Amway が認めている事柄はおそらく、製品についての情報をシームレスに集めることが可能になったことでしょう。これにより、会社はデバイスの性能とエンドユーザーのニーズをよりよく理解できるようになり、現在と将来両方の Amway 製品においての技術改革が可能になりました。
「当社の研究開発グループは、最上級の製品がどのように機能しているかについての情報を集めています。かつては集めるのが不可能な情報でした」と Binger は語っています。「製品がどのように機能しているかだけではなく、ユーザーが製品を使用している方法についても深い理解を得られるようになりました。たとえば、モーターの速度、エラー、電圧などについての統計情報を集めています。その情報から、当社の空気処理ユニットが現場でどの程度の性能を発揮しているかを知ることができます」と Binger は言います。「私たちはまた、当社のモバイル用途製品をユーザーがどのように操作しているかについての情報も集めています。提供している製品を改善するためです」
「非常に深い洞察を与える情報が含まれています」と Binger は語ります。「これにより、組織内での対話が活発になりました。このことは、将来のマーケティング、製品開発、そして研究開発活動を対するわたしたちの考え方を変化させるものとなるでしょう」
AWS IoTの詳細についてご覧ください。