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2022 株式会社エイトレッド

エイトレッド、パッケージ版の新規販売を終了してクラウド版にシフト AWS のマイグレーションプログラムを活用して移行の加速へ

情報・通信

概要

国内でトップクラスのシェアを誇るワークフローシステム『X-point(エクスポイント)』の開発 / 販売を手がける株式会社エイトレッド。同社は、パッケージ版とアマゾン ウェブ サービス(AWS)上で稼働するクラウド版で提供していた『X-point』の販売をクラウド版に一本化。AWS Migration Acceleration Program 2.0 の活用をもとに各種施策を実施して、既存のパッケージ版ユーザーの移行を加速させています。

Logo for X-point Cloud featuring red and gray text with a cloud outline above the text on a white background.

課題・ソリューション・導入効果

ビジネスの課題

『X-point』のクラウド版への一本化を決断

エイトレッドは 2007 年の設立以来ワークフロー専業メーカーとして歩み続け、2022 年 4 月に設立 15 周年を迎えました。「現在は、中規模・小規模法人向けのクラウドサービス『X-point Cloud(エクスポイントクラウド)』と、大規模法人向けのパッケージソフト『AgileWorks(アジャイルワークス)』の 2 ブランドを展開しています。シリーズ累計導入社数は 4,000 を超え、企業から公共団体や教育・医療機関など幅広く導入されています」と語るのは、代表取締役社長の岡本康広氏です。

『X-point Cloud』は、2003 年発売のパッケージソフト『X-point』をクラウド化する形で 2011 年 10 月より販売を開始し、プラットフォームには AWS を採用しています。開発部 プロダクト開発グループ 課長の藤沼有紀氏は次のように語ります。

「AWS の採用の決め手は、構築や運用を自動化できる点でした。AWS は自動化の API が用意されていて短期間でリリースができ、さらにドキュメント類が揃っていること、導入実績が豊富なこと、セキュリティが強固なことなども評価しました。近年は、お客様からプラットフォームに関する質問を受けることが増えていますが、AWSであることを伝えることで安心して採用いただけると考えています」

『X-point Cloud』は販売開始以来順調に成長を続け、2019 年 3 月期には前年度比 138.6% の売上高を記録。2020 年度 3 月期にはパッケージ版の売上高を上回り、その後も 30% ほどの伸び率で成長を続けています。こうした背景から、同社は 2022 年 3 月末でパッケージ版の新規販売を終了し、クラウド版に一本化することを決断しました。「大きな要因は、コロナ禍で多くの企業がリモートワークにシフトしたことです。これをきっかけに短期導入が可能なクラウド版のニーズが急速に拡大し、パッケージ版のお客様からもクラウドへの移行相談が増えました」と営業推進部部長の青木健一氏は語ります。

パッケージ版とクラウド版の並行販売を継続することは、開発側にも負担がかかります。開発部 部長の坪井健太郎氏は「近年、OS、ミドルウェア、デバイスの多様化が進み、パッケージ版で各種環境に対応するとなるとコストや開発期間への影響が大きく、クラウドであれば新機能の反映や瑕疵改修・環境への対応なども迅速に行えるようになるため、クラウドに舵を切るのがベストだと判断しました」と語ります。

ソリューション

評価制度改革・組織改革と販売代理店に対する支援施策を実施

2022 年 3 月 31 日でパッケージ版の新規ライセンス販売を終了した『X-point』は、2027 年 3 月末で延長サポートと追加ライセンスの販売を終了する予定です。既存ユーザーは『X-point Cloud』またはパッケージ版の『AgileWorks』へと誘導する方針で、1,000 社を超えるパッケージ版ユーザーに離脱することなく移行してもらうことが最大のミッションです。

そこで同社は、社内に対する評価制度改革・組織改革と、販売代理店に対する支援施策の 2 つの軸で対応することにしました。

自社改革としては、営業担当者に対する評価基準を、パッケージ売りのような売上の多寡だけでなく、クラウド版の契約社数に対してもインセンティブを設定し、賞与にも評価を反映させる制度を設けました。

「クラウド版におけるメリットやクラウド版に限定した新機能などを営業担当者に理解してもらいながら進めたことで、比較的拒否感なく受け入れてもらうことができました」(青木氏)

開発部ではクラウド移行の専用チームを立ち上げ、評価環境の払い出しや削除などの自動化を実現しました。

「評価環境を多くのお客様に利用していただくことが目的です。お客様情報を入力すると、評価環境の構築からアクセス URL の発行までを自動で行うシステムで、営業担当が商談の場で手続きをすれば、すぐに提供することができるようになりました」(藤沼氏)

販売代理店向けの支援施策としては、標準ディスク容量を増設してデータ量が多い既存ユーザーでも乗り換えがしやすいように配慮し、データ移行サービスの提供も開始しました。また、API を無償化して販売代理店がクラウド販売に移行するメリットを訴求し、クラウドへの取り組みの後押しになる提案をしていきました。

「長期利用では販売代理店にもうまみがあることを説明し、一緒に販売を拡大していきましょうと呼びかけました。モチベーションが維持できるよう、販売代理店向けのアワードも用意していきました」(青木氏)

導入効果

MAP2.0を締結してクラウド移行を加速

現在は、既存顧客のクラウド版移行を加速させるべく、AWS の AWS Migration Acceleration Program 2.0(MAP2.0)を採用し、各種施策を実施しています。

同社は MAP2.0 で提供されるプログラムをフルに活用。技術面ではアセスメントプログラムの実施、定期ミーティングでの課題解決などを通して、さまざまなメリットを得ています。

「例えば、アセスメントプログラムの Migration Readiness Assessment を実施した結果、開発体制やサービスレベルを見直すきっかけになりました。定例ミーティングを通して技術相談できる機会を得ることができたことも早期の課題解決につながっています。クラウドチームでもセミナー受講を通して技術的な弱点を克服したり、新たな知識を習得したりと、成長している手応えを実感しています」(坪井氏)

MAP2.0 は技術的な移行支援だけに留まらず、ビジネス面でもサポートが提供され、同社ではそれらを最大限に活用しています。

「他社の成功事例の紹介など、AWS の担当者とのディスカッションを通して、新たな気付きを得たり、網羅的なアドバイスがいただけたりすることも助かっています。今後、MAP 2.0 クレジットを利用した販売代理店や顧客向けのキャンペーンの実施、販売代理店の実績に応じた支援策などの活用も検討していきます」(青木氏)

クラウド版に一本化された『X-point Cloud』は、リリースサイクルを従来の 1 年に 1 回から 2 か月に 1 回と大幅に短縮し、新たな価値を素早く提供しています。アジャイルな開発体制のシフトにより、フォーム内に画像を配置して書類上で現場写真などのイメージが確認できる新機能をいち早く追加し、製造業や建設業のニーズにも対応しました。

今後も API を用いた他社のクラウドソリューションとの連携機能の提供と活用の提案などを通して既存ユーザーのクラウド移行と新規ユーザーの獲得に挑戦していきます。

「AWS には、自動化などのシステム的な取り組みから、販売代理店向けの営業施策まで、幅広い領域で支援をいただいてきました。今後もお互いの価値につながることを追究しながら、国内 No.1 のワークフローベンダーに向けてともに歩んでいただけたらと思います」(岡本氏)

Logo of Atled with interconnected gray and orange nodes, accompanied by Japanese text, used for SaaS case studies on AWS Japan.
AWS には、自動化などのシステム的な取り組みから、販売代理店向けの営業施策まで、幅広い領域で支援をいただきました

岡本 康広 氏

株式会社エイトレッド 代表取締役社長

株式会社エイトレッド

2007 年の設立以来、ワークフローの専門家集団として業種や企業の大小を問わず、ワークフローに関わるあらゆる課題に対応。ワークフローシステム『X-point』『AgileWorks』および、クラウドサービス『X-point Cloud』を提供している。 

取組みの成果

  • 1/6 - リリースサイクルの大幅短縮

  • クラウドシフトの実現

  • 評価制度改革・組織改革

  • 販売代理店に対する支援