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2024 株式会社ドワンゴ

ドワンゴ、急成長のサービスに Okta CIC を採用。AWS Marketplace により、業務効率化と柔軟なツール活用を実現

エンターテインメント

概要

株式会社ドワンゴが新しくスタートしたファンコミュニティサービス「Sheeta」「ニコニコチャンネルプラス」は、予想を超えて急激な成長を見せています。しかし、認証基盤の負荷増大が課題となって、Okta CIC の採用を決定しました。同社は Okta の購入に際して アマゾン ウェブ サービス(AWS)の AWS Marketplace を活用。事務処理を簡素化し、何日もかかっていた契約をたった数分で完了できるようになりました。国内外の SaaS ベンダーと直接やり取りでき、スモールスタートでも大規模導入でも手間が軽減できる点を高く評価しています。
The image shows a modern office lobby at Dwango, featuring a circular indoor garden surrounded by cushioned seating. The design creates a relaxing and inviting environment in the reception area.

課題・ソリューション・導入効果

 ビジネスの課題

成長の速度を予測できない新サービスをクラウドで

ドワンゴは、動画や生放送、マンガなどのコンテンツをベースにインターネットの双方向性を楽しめる「ニコニコ」、VR 技術を活用したコミュニケーションサービス「バーチャルキャスト」、J-POP やアニメソングなどの多様な楽曲やオーディオブックを配信する「ドワンゴジェイピー」「animelo mix」と、単なるコンテンツ提供にとどまらない幅広いサービスを展開しています。また、個人や企業・団体などのコンテンツホルダーが、ニコニコの各種サービスを活用して動画やブログを配信するマルチコンテンツプラットフォーム「ニコニコチャンネル」も人気です。

近年、クリエイターやパフォーマーとファンをつないで、継続的にコンテンツを提供でき、サブスクリプション等で安定的な収入を得られるプラットフォームとして、さまざまなファンコミュニティサービスが展開されています。ドワンゴはそうしたサービスのパイオニアとして、他社に先駆けて 2008 年にニコニコチャンネルを開設、以来、さまざまなノウハウを蓄積しています。

「ニコニコチャンネルの登録チャンネルは 1 万を越え、有料会員は 142 万人に達しています。こうしたノウハウをプロフェッショナルへ提供する『ニコニコチャンネルプラス』を 2022 年に開設しました。専用に設計された配信プラットフォーム上で、リッチコンテンツも高品質にパフォーマンスよく配信できるほか、管理用の UI/UX も使いやすく洗練されています。またファンクラブを自社運営している事業者向けに、カスタマイズ性に富んだ専用サービス『Sheeta』も同時にスタートしました。いずれも好評で、予想以上の成長曲線を描いています」と、ドワンゴ NFC 事業プロジェクト VP of Engineering の千代川仁氏は語ります。

ドワンゴでは、さまざまなサービスを提供するために自社で大規模なシステム基盤を構築・運営しています。しかし、社内ベンチャーとして始まった Sheeta/ニコニコチャンネルプラスは、成長速度が予測できず、サービス設計も定めにくい状況にあり、ユーザー志向でニーズに合わせて柔軟に開発・改良できる環境が必要でした。そこで、千代川氏は AWS をプラットフォームとして採択しました。

ソリューション

急激なサービス成長を支える AWS と新たな課題

千代川氏は AWS について、クラウド黎明期から安定的にサービスを提供し続けており、信頼性が高く、コンテンツ配信のように予測しにくいワークロードを安定したレイテンシーで提供できると評価しています。さらに同氏は「AWS は、すでにデファクトスタンダードとして捉えられているため、多数のエンジニアが存在するというメリットもあります。開発やメンテナンスを、外部の事業者へアウトソーシングしやすい点が助かります」と採用のポイントを話します。

AWS 上に構築された Sheeta/ニコニコチャンネルプラスは、千代川氏の予想を超えて人気を集め、ローンチ直後から急速に成長していきました。しかし、その急成長ゆえに、新たな課題が浮上してきました。人気パフォーマーの生放送など、コンテンツが配信される時間になると大量のログインが発生し、認証システムへ大きな負荷がかかります。ログインが集中するということは、コンテンツプロバイダーにとってもドワンゴにとってもビジネス重要度が高いという証拠であり、サービスを止めると多大な影響を受けてしまいます。

従来の Sheeta/ニコニコチャンネルプラスのログインシステムは、オープンソースソフトウェアとスクラッチ開発を組み合わせて作られていました。しかし、これを改修しても、膨大なトラフィックとログイン試行を処理することができない懸念がありました。まったく新しい基盤を構築するにも、開発の負荷が非常に高く、ローンチ後のメンテナンス作業負担も無視できません。

そこでドワンゴは、認証・認可を含むアカウント管理の仕組みもアウトソーシングしたほうが望ましいと決断し、総合的な評価を踏まえて Okta CIC を採用しました。さらに千代川氏は、Okta の勧めもあって、AWS Marketplace を介して Okta CIC を購入する方法を採りました。

導入効果

契約はたった数分、いろいろ試せて本格導入も手軽

AWS Marketplace の評価として、千代川氏は、事務手続が簡素化されるメリットを挙げています。従来、 IT ツールを購入するときには、ベンダーの財務状況などを確認したうえで紙の契約書類を郵便でやり取りする必要があるため、最短でも数日はかかります。電子サインも広まりつつありますが、それでもやり取りに時間がかかります。

AWS Marketplace であれば、承認さえあれば Web 画面で数クリックするだけ、ほんの数分で完了します。ライセンス料も、すでに利用している AWS の費用にまとめることができます。

「AWS Marketplace の最大の特長は、小さく試したいツールと大々的に導入したいツールの、どちらにも柔軟に対応できるという点にあります。ショーケースに並んだ多種多様なツールを気軽に使えますし、それを本格的に採用しようというときにも、商流を気にせず AWS Marketplace 上で契約を更新できます。新しい企画で海外の先進的なサービスを利用したくとも、国内に代理店すら存在しないケースもあります。AWS Marketplace は SaaS ベンダーと直にやり取りでき、プライベートオファーを受けることも可能ですから、ユーザーとして非常にありがたいです」(千代川氏)

現時点では、AWS Marketplace を利用した導入は Okta にとどまっていますが、ドワンゴではほかにもさまざまなサードパーティツールの導入を計画しており、AWS Marketplace を前向きに検討していきたいとしています。

Sheeta/ニコニコチャンネルプラスに代表されるドワンゴのファンコミュニティサービスは、今後も新機能をはじめ積極的な開発を進めて、コンテンツプロバイダーやユーザーを増やしていきたい意向です。また KADOKAWA グループの魅力的なコンテンツの活用も視野に入れており、グループシナジーを出してサービス強化に努め、「まだ世の中にないサービスを企画したい」と千代川氏は述べます。

「AWS は、簡単な質問なら短時間ですぐに回答をくれますし、複雑な問い合わせもしっかりと検討して的確な答えを用意してくれます。AWS Marketplace についても、Okta と密に連携し、私たちの導入や活用を協力にサポートしてくれました。分析基盤やセキュリティ基盤の強化を図っていく計画のため、今後も親身なサポートとAWS Marketplace の商品拡充を期待しています」(千代川氏)

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AWS Marketplace を採用したことで、ライセンス契約にかかる事務処理が大幅に軽減されます。海外の最新のサービスも手軽に試せますし、ベンダーと直接やり取りして、商流を気にせず購入できるという点も魅力です

千代川 仁 氏

株式会社ドワンゴ NFC 事業プロジェクト VP of Engineering

株式会社ドワンゴ

インターネットエンターテインメントのパイオニアとして、ニコニコ、ドワンゴジェイピーなど先進的なサービスを提供。これらのサービスと連携した各種イベントも人気が高く、多くのファンを抱えている。そのほかにも、ゲームの開発・販売、権利管理やエージェントなどのクリエイター支援、インターネットの制度を活用した学校教育など、幅広い事業を展開している。

取組みの成果

  • 何日もかかっていた契約処理が数分で完了
  • 認証基盤を SaaS 化して運用保守の負担軽減
  • 先進的なサービスを気軽に試用