Fork Media Group

Fork Media、AWS Graviton2 プロセッサ上で稼働するデータベースにより 40% のコスト削減を実現

2022 年

コンテンツ連動型広告とは、そのページの関連コンテンツに合わせてウェブサイトに広告を掲載する広告です。2026 年までに年間 13.3% の成長が見込まれています。コンテンツ連動型広告の掲示は、反応する可能性の高いユーザーをターゲットにする効果的な方法ですが、ブランドは広告が掲載される環境に注意する必要があります。たとえば、特定のキーワードが広告アルゴリズムでコンテキストと一致したとしても、ほとんどのブランドは政治的腐敗に関する記事のそばに広告を表示したいは思わないでしょう。

インドに拠点を置く Fork Media Group (FMG) は、コンテンツ連動型広告の枠を超えて「ブランドセーフティ」を提供するメディアテクノロジー企業です。 過去 5 年間、顧客に広告を掲載する前の手順として、ウェブページの画像、本文、見出し、全体的な情緒を把握するため、FMG は人工知能と機械学習ツールを導入してきました。ブランド側には、コンテキストが完全に一致し、ブランドセーフティな環境が保証されているというメリットがあります。FMG は現在、1 日あたり 700 万から 900 万人のユニークなウェブ訪問者に広告を配信しており、インド、東南アジア、湾岸協力会議 (GCC) の国内外の大手オンラインパブリッシャーと連携しています。

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AWS Graviton2 プロセッサを使用することで、当社の広告ソリューションに必要なパフォーマンスとレイテンシーをコスト効率よく提供できます。」

Nikhil Sheth
Fork Media Group、エンジニアリング担当上級副社長

レイテンシーの少ない広告をミリ秒単位で配信

FMG は 2 つの異なるクラウドコンピューティングプラットフォームを使用していました。しかし、ビジネスが成長するにつれて、ビデオ、オーディオ、静止画像で構成されるメディアアセットのサービスにおけるレイテンシーは、500 ミリ秒から 1 秒に及ぶようになりました。これは、社内のサービスレベルで合意された 200 ミリ秒よりも長くなっています。

FMG は SLA を満たし、広告の可視性を最大化するために、2019 年に広告サーバーデータベースを Amazon Web Services (AWS) に統合することを決定しました。同社は Amazon CloudFront を低レイテンシーのコンテンツ配信ネットワークとして使い始め、現在では一貫して SLA を達成しています。

また、Amazon EC2 スポットインスタンスとともに Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) 自動スケーリングも採用しました。これは、広告配信ワークロード専用の Amazon EC2 キャパシティの 60% 近くを占めています。このアプローチにより、コストを最小限に抑えながら FMG の広告配信が最適化され、その結果、会社のコストを 30% 削減することができます。また、FMG はトラフィックの急増時には Amazon EC2 Auto Scaling を使用して動的にキャパシティを追加することで、広告配信のレイテンシーを 50% 削減しました。

最適な価格と性能を見つけるための検証

2020 年半ばまでに、FMG はワークロードの約半分を AWS に移行し、Amazon EC2 上でプライマリ MySQL データベースエンジンを自己管理するようになりました。しかし、同社のエンジニアは、ユーザー 1 人あたり 25 ~ 40 件のクエリという大量のクエリをミッションクリティカルなデータベースのために管理するという課題に直面していました。

同社は、x86 プロセッサを搭載した Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) を Amazon Elastic Block Store (Amazon EBS) と組み合わせて、大規模なデータベース管理を自動化することに決めました。ただし、1 秒あたりのディスク入出力オペレーション (IOPS) によるボトルネックによってパフォーマンスが妨げられました。FMG は、必要なクエリパフォーマンスを実現するには IOPS を個別にプロビジョニングする必要があると判断しましたが、それではコストがかかりすぎることが判明しました。FMG は IOPS を向上させるために、より大きなディスクサイズを割り当てなければならず、そのためにコストが上昇しました。

コンテンツ配信のパフォーマンス向上とスポットインスタンスによるコスト削減を検討した結果、FMG は AWS にアドバイスを求めました。AWS チームは、Amazon EC2 上で稼働するデータベースで最高のコストパフォーマンス比を実現するために、AWS Graviton2 ARM ベースのプロセッサを使用した概念実証 (POC) を提案しました。

低コストでシームレスなスケーリングを実現

AWS Graviton2 プロセッサでワークロードを実行すると x86 プロセッサを使用するよりもコストが下がるため、FMG はインスタンスを r5.4xlarge から r6g.16xlarge にアップグレードでき、ほぼ同じコストでメモリを増やすことができました。よりグレードの高いインスタンスにより、FMG は実質的に、より多くのインメモリクエリをより速く実行でき、IOPS ストレージの負荷とコストも削減できました。

Fork Media Group—Contextual のエンジニアリング責任者である Carlyle Oliver 氏は次のように語っています。「同じネットワーク構成で、追加のコストやボトルネックを発生させることなくスケールアップできました。これは、Graviton 以外のプロセッサではかなり高価になったことでしょう。」

さらに、Amazon EBS のストレージボリュームが 25 パーセント減少したため、同社のメインデータベースとアタッチストレージの全体的なコストが 40% 削減されました。Fork Media Group のエンジニアリング担当上級副社長である Nikhil Sheth 氏は次のように説明しています。「Graviton インスタンスのおかげで、ディスクの読み取り/書き込みパフォーマンスが向上し、Amazon EBS のボリュームを減らすことができました。AWS Graviton2 プロセッサを使用することで、広告ソリューションに必要なパフォーマンスとレイテンシーをコスト効率よく提供できます。」

3 か月で 2 つのデータベースを移行

メインデータベースを AWS Graviton2 プロセッサに正常に移行した後、FMG はその後まもなくもう 1 つのデータベースも移行しました。FMG は、POC とテストにかかった時間を含めて、両方のデータベースを移行するのに 3 か月もかかりませんでした。午後 11 時から午前 1 時までの間、広告アクティビティがほとんどないか、またはまったくない時間帯に、R6g インスタンスへの移行を徐々に行いました。

全員ではないにしても、FMG のチームのほとんどにとっては、これが ARM ベースのプロセッサを使った初めての経験でした。Oliver 氏は次のように語っています。「最初は Graviton の使用をためらっていましたが、POC と負荷テストを行った後、そのためらいはすべてなくなりました。AWS は移行前と移行中に提案をしてくれましたが、オンラインドキュメントと組み合わせたその提案は、私たちが自信を持って独立して移行するのに十分な内容でした。」

FMG は、特に同社のようなオープンソーステクノロジーのヘビーユーザー向けに、さまざまな ARM 互換ソフトウェアが市場に出回っていることを発見しました。Oliver 氏によると、最適なオペレーティングシステム (OS) とデータベース構成の発見も成功の鍵だったそうです。「私たちには、Ubuntu OS、サポートされているライブラリ、当社のシステムと互換性のある最新エディションの MySQL との適切な組み合わせとバージョンを絞り込む必要がありました。そこから、互換性のあるオープンソースの監視ソリューションを統合し、それ以来パフォーマンスは順調に発揮されています。」

レイテンシーを 90% 削減

2021 年 12 月の時点で、データベースで達成される価格とパフォーマンスの釣り合いを見込んで、FMG はすべてのプロダクション広告サーバーを Graviton に移行しつつあります。また、FMG は、Amazon Elastic Kubernetes Service (Amazon EKS) を使用して広告配信をコンテナ化し、増え続けるデータ量のさらなる分析に活用するために AWS 上のデータレイクを検討しています。

AWS におけるクラウドネイティブソリューションの統合で、レイテンシーもさらに向上しました。Oliver 氏によると、静的な広告アセットを支えるエンドポイント間のレイテンシーは、500 ミリ秒以上から 50 ミリ秒に低下しました。これは、FMG のアプリケーションパフォーマンスに大きな違いをもたらしているとのことです。

コスト削減に加えて、FMG の CPU 消費量は AWS Graviton2 プロセッサに移行して以来 45% 減少しました。Oliver 氏は次のように結論付けています。「同じインフラストラクチャのセットアップで、30 ~ 40% 多くのユーザートラフィックを管理できるようになりました。現在、アドテクやコンテンツ連動型広告の今後の成長に合わせて事業を拡大できる体制が整っています。」

次のステップ

詳細については、AWS Graviton プロセッサをご覧ください。


Fork Media Group について

Fork Media Group は、インドのムンバイに拠点を置くメディアテクノロジー企業です。ブランドセーフティな環境でのコンテンツ連動型オンライン広告を専門としています。このグループは毎日 700 万から 900 万人のユーザーに広告を配信し、国内外のパブリッシャーと提携しています。

メリット

  • 50 ミリ秒で広告を配信
  • メインデータベースとストレージのコストを 40% 削減
  • レイテンシーを 90% 削減
  • CPU 使用率を 45% 低下
  • 3 か月足らずで AWS Graviton2 プロセッサに移行
  • 統合されたクラウドネイティブサービスによる効率の向上

使用されている AWS のサービス

Amazon CloudFront

Amazon CloudFront は、優れたパフォーマンス、セキュリティ、デベロッパーの利便性に特化した、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) サービスです。

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Amazon EC2 スポットインスタンス

Amazon EC2 スポットインスタンスを使うと、AWS クラウド内の使用されていない EC2 キャパシティーを活用できます。スポットインスタンスは、オンデマンド料金に比べ最大 90% の割引価格でご利用いただけます。

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Amazon Elastic Kubernetes Service

Amazon Elastic Kubernetes Service (Amazon EKS) は、クラウドまたはオンプレミスで Kubernetes アプリケーションを実行、スケールするマネージドコンテナサービスです。

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AWS Graviton プロセッサ

AWS Graviton プロセッサは、Amazon EC2 で実行されるクラウドワークロードに最高の料金パフォーマンスを提供するために AWS によって設計されています。

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開始方法

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