Frollo

AWS でオープンバンキングへの近道を提供する Frollo

2021 年

オープンバンキングへの扉を開く

オーストラリアでオープンバンキングが実現化されました。2020 年 7 月、消費者データ権 (CDR、Consumer Data Right) が定められ、オーストラリア 4 大銀行の顧客が認定を受けた受領者と個人的なバンキングデータを共有できるようになりました。CDR は、消費者がそのファイナンシャルデータを制御する権利を付与するもので、消費者がパーソナルファイナンスをより良く管理し、ニーズに最適な製品を見つけることを可能にします。

Frollo は、新しい CDR 規則に従って顧客の銀行データにアクセスするための認定をオーストラリア競争消費者委員会 (ACCC) から受けた最初のデータ受領者の 1 つです。このパーパスドリブンの FinTech 企業は、人々がお金について安心感を得られるようにすることを目指しています。Frollo は、消費者がそのファイナンスを好転させるためのシンプルな手段を提供し、ビジネスがその顧客のために同じことを実行できるようにします。

現時点で 120,000 人のユーザーを持つ Frollo の消費者アプリは、ユーザーが口座のすべてをセキュアにリンクできるようにして、そのファイナンスの包括的で集約されたビューと、ファイナンシャルウェルビーイングを向上させるためのスマートな洞察を提供します。銀行と Fintech 企業は、アプリケーションプログラミングインターフェイス (API)、Software Development Kits (SDK)、またはホワイトラベルアプリを通じて Frollo のテクノロジーを利用できるため、ソフトウェアの開発にかかる時間とコストを節約することが可能になります。

Frollo の創立者兼最高経営責任者である Gareth Gumbley 氏は、「Frollo は、銀行が現在の能力を超えて、顧客により多くの金銭管理および予算作成機能を提供するための真のエンゲージメントモデルを開発できるようにします」と話しています。

機械学習モデルで 95% の精度を達成
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私たちは、当初から AWS チームの積極的なサポートの恩恵を受けてきました。これは、私たちの実装取り組みを迅速化し、非常に充実したコンプライアントな ML プロセスをもたらしました。

Gareth Gumbley 氏
Frollo、創立者兼最高経営責任者

データエンリッチメントをサポートする機械学習

データエンリッチメントは、Frollo の成功の秘訣です。この FinTech 企業は、Software as a Service (SaaS) プラットフォームでのバックエンド API の提供において Frollo を頼る、Virgin Money などの B2B 顧客にサービスを提供します。

Frollo Data Enrichment API は、顧客トランザクションの分類やマーチャントの識別などのデータエンリッチメントソリューションを提供します。この API とそれをサポートする機械学習 (ML) モデルは、消費者の支出を旅行、税金、および食料品などの 60 を超えるカテゴリーに分類します。

機械学習アルゴリズムの独自構築

Frollo が高レベルのデータデータ粒度を提供するには、そのために必要となる ML ツールを提供できる適切なインフラストラクチャを確立する必要がありました。この FinTech 企業は当初、そのデータベースとコアコンピューティングプラットフォームを Heroku クラウドプラットフォームで実行していましたが、ML アルゴリズムの構築とデプロイを独自に行いたいと考えました。Frollo は、大量のコンピューティングリソースを必要とする ML インスタンスのパフォーマンスコスト比率の最適化も目指していました。

その結果、Frollo は Amazon Web Services (AWS) アドバンストコンサルティングパートナーである Itoc と連携し、Itoc から ML アルゴリズムの有効化に Amazon SageMaker を推薦されました。Itoc は 1 か月以内での Amazon SageMaker のセットアップをサポートし、その後、Frollo のコアワークロードを AWS に移行するタスクを任されました。Frollo の最高技術責任者である Tony Thrassis 氏は、「Itoc は、実装コンサルタントとして大きな助けとなり、私たちがしかるべき理由で、しかるべきツールを使用していることを確実にしてくれました」と話しています。

Frollo は現在、そのデータと分析機能のためのプラットフォーム、組み込みのセキュリティ管理、および ML ツールを選択して、ワークロードのほとんどを AWS で実行しています。Amazon SageMaker について、Frollo のデータサイエンティストチームは、独自の ML アルゴリズムを構築して、データベースのトレーニングを管理できることを評価しています。「Amazon SageMaker では、アプリケーションの制限やパフォーマンスに関する問題が発生したことが一度もありません。現在、トランザクション分類とマーチャント識別のエンドツーエンドレイテンシーでは 1,500 ミリ秒が測定されています」と Thrassis 氏は話しています。

製品リファレンスデータのためのセキュリティとスケーラビリティの実現

コアワークロードを AWS に移行することによって、Frollo はその新規事業をサポートするために、より広範な AWS のセキュリティおよびデータ管理サービスにアクセスできるようになりました。Frollo は、そのアプリとホワイトラベルソリューションに加えて、AWS クラウドネイティブな Frollo Product Reference Data (PRD) API ポータルを導入しました。これは、銀行が金利、料金、および CDR 要件である資格条件などの製品リファレンスデータをホストするためのサービスです。

この形式のデータは、パブリック API を通じて銀行のウェブサイト上で公開されるのが通常で、ハッカーにとって魅力的なターゲットとなっています。Frollo は、AWS ShieldAWS Web Application Firewall (AWS WAF) の組み合わせを使用して、DDoS (Distributed Denial of Service) 攻撃などの一般的なサイバー攻撃から PRD ポータルを含めたアプリケーションを保護しています。また、製品リファレンスデータに対するセキュアなフロントエンドアクセスポイントを作成するために Amazon API Gateway も活用しています。

ローン組成における審査通過までの時間の短縮

融資者は通常、信用力を判断するためにスクリーンスクレイピングまたは手動でのドキュメントレビューを使用します。スクリーンスクレイピングの場合、顧客の銀行口座のウェブビューが許可するデータを取得するためにユーザー ID とパスワードが使用され、アクセス時間の制限はありません。

その一方で、Frollo のセキュアで堅牢なオープンバンキングプラットフォームは、ACCC のセキュリティおよびコンプライアンス規則に厳密に従います。Frollo API は、バンキングアプリまたは FinTech アプリを通じた顧客の合意取得後、定義された期間中 (最大 12 か月)、ユーザーが指定した金融口座のみにアクセスします。Frollo のアプローチでは、ローン申請者の収入、債務、および高リスクトランザクションに関する情報を収集するためにかかる時間は 20 秒未満ですが、スクリーンスクレイピングでは通常 3~5 分かかります。

Gumbley 氏は、「私たちが提供できるデータは、データを特定のトランザクションやクレジット製品に結び付けることができるため、より充実したものになります。これは、最終的に融資プロセスのリスクを低減します」と付け加えました。 Frollo の ML モデルの分類精度は 95 パーセントです。これは、自信を持って信用力を評価し、融資の審査通過までの時間を短縮するために融資者が必要とする洞察を提供するための秘訣です。

オープンバンキングエコシステムの認識度の向上

今こそが、FinTech 企業と銀行が CDR を自らの利益となるように利用して、顧客との関係を強める好機です。さもなければ、顧客をより俊敏な競合他社に奪われるリスクにさらされることになります。Frollo は現在、AWS の他のお客様がオープンバンキングに備えることを支援する AWS セレクトテクノロジーパートナーです。

「私たちは、当初から AWS チームの積極的なサポートの恩恵を受けてきました。これは、私たちの実装取り組みを迅速化し、非常に充実したコンプライアントな ML プロセスをもたらしました。現在にいたるまで、AWS とともに解決できなかった問題が生じたことはありません」と Gunbley 氏は語っています。


Frollo について

Frollo は、消費者データ権の規則に基づくオープンバンキングデータへのアクセス権を取得した初のオーストラリア FinTech 企業の 1 つです。Frollo アプリは、ユーザーが金融口座のすべてをセキュアにリンクできるようにすることで、その支出と貯蓄の包括的なビューを提供します。

メリット

  • 1,500 ミリ秒以下の API レイテンシーを確保
  • トランザクションを分類する ML モデルで 95% の精度を達成
  • ローン組成におけるリスクを低減
  • クレジット審査結果を 3~5 分ではなく 20 秒で提供
  • 銀行の製品リファレンスデータをセキュア化

使用されている AWS のサービス

Amazon API Gateway

Amazon API Gateway は全面的に管理されたサービスで、開発者はこれを利用することにより、どのようなスケールであっても、簡単に API の作成、配布、保守、監視、保護が行えます。

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AWS Shield

AWS Shield は、AWS で実行しているアプリケーションを、分散型サービス拒否 (DDoS) 攻撃から保護するマネージドサービスです。

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Amazon SageMaker

Amazon SageMaker は、機械学習専用に構築された幅広い一連の機能をまとめて提供することにより、データサイエンティストとデベロッパーが高品質の機械学習 (ML) モデルを迅速に準備、構築、トレーニング、およびデプロイできるようにします。

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AWS Web Application Firewall

AWS WAF は、可用性に影響を及ぼす、セキュリティを侵害する、または過剰なリソースを消費する可能性がある一般的なウェブエクスプロイトからウェブアプリケーションまたは API を保護するウェブアプリケーションファイアウォールです。

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