行政手続きの SaaS 活用に向けてセキュアかつスケーラブルな AWS を採用し
全国 3,000 万人が利用するサービスへと成長

2022

テクノロジーを活用して、市民サービスの品質と即応性を高めながら、市民と行政との関係をより緊密で対等なものへと刷新する SaaS 型ソリューションを展開するグラファー。主力サービス『Graffer Platform』のインフラにアマゾン ウェブ サービス(AWS)を活用して、セキュリティの厳しい総合行政ネットワーク(LGWAN)接続要件をクリアした上でスケーラブルかつコスト効率の高い基盤環境を実現。今や全国で約 3,000 万人の自治体住民が利用できるまでに急成長しています。

AWS 導入事例  | 株式会社グラファー
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『Cloud by Default』の原則が政府主導で打ち出され、公共分野のシステムは今大きな過渡期を迎えています。今後、行政システムにおけるクラウド活用の流れが確実に加速していく中、AWS はシステムインフラの“標準”になり得るものと考えます

畠山 陽佑 氏
株式会社グラファー
Product Manager

SaaS 型ソリューションにより行政手続きのフローを一貫して支援

自治体や官公庁におけるデジタル技術の活用が加速する現在、住民サービスの品質や即応性の向上を通じて、市民と行政との関係をより緊密なものにしていくことが求められています。その視点に立脚して自治体・官公庁向けの SaaS 型ソリューションを提供するグラファーは、GovTech(ガブテック:”Government”と”Technology”をあわせた造語。行政と民間企業などが協業し、テクノロジーの力で行政サービスを効率化していくことなどを指す)の分野に新風を吹き込むスタートアップとして注目されています。

同社の提供する『Graffer Platform』はデジタル技術を活用して、市民と行政機関との間のコミュニケーションを円滑にする仕組みを提供します。例えば、地域住民が引っ越しや出生、結婚など自治体に届けが必要なイベントが発生したとき、まずどんな手続が必要かを調べて理解するステップ、次に届出や申請の書類を準備するステップ、そして最後にそれを役所に提出するというステップを経ることになります。

このようなフローを一貫して支援するサービスを提供する Graffer Platform は、各ステップにかかわる手続きを、地域住民の一人ひとりが普段使っている PC やスマートフォンから、あるいは役所の窓口を通じて、迷わずに一貫して進められるように設計されています。具体的には、スマートフォンや Web から質問に答えていくだけで必要な手続きが分かる『Graffer 手続きガイド』、役所に出向く前にスマートフォンから窓口対応の予約を取るための『Graffer 窓口予約』、あらゆる行政手続きをスマートフォンで完結できる『Graffer スマート申請』などのサービスをラインアップ。自治体がこれらのサービスを組み合わせることで、住民の使い勝手の良い方法で利便性を向上し、自治体と市民の関係性強化につなげられる仕組みです。

セキュリティやスケーラビリティ、自治体の厳しい要件をトータルに満たす AWS

Graffer Platform の提供インフラについて、グラファーは今後 AWS を優先的に活用していく方針を打ち出しました。以前からいくつかのクラウド基盤サービスを利用してきたなかで、自治体向けエンタープライズシステムの豊富な実績と、AWS の積極的な取り組みを評価してのことです。
「何よりも AWS 自身が、自治体など公共分野に注力して多大なリソースを投入しており、この領域における採用実績や事例も豊富でした。当社が今後、公共分野向けのパブリッククラウドサービスを展開していくうえで、要件をトータルに満たしていくことのできる点も評価しました」(グラファー談)

特に自治体システム特有の 3 層分離の環境において、パブリッククラウドの利用には、地方公共団体の組織内ネットワーク(庁内 LAN)を相互接続する行政専用ネットワークとして、安全確実な電子文書交換、電子メール、情報共有およびさまざまな業務支援システムの共同利用を可能にする電子自治体の基盤となる総合行政ネットワーク(LGWAN)接続が前提となります。LGWAN の厳しいセキュリティ要件を満たす以外にも、高いセキュリティレベルを担保するための多角的な対応が必要です。AWS はそれ自体が豊富なセキュリティ機能を備えているほか、パートナーの製品やサービスも数多くラインナップされており、それらを組み合わせることで厳格な要件を満たすことが可能でした。
「さらに、昨今のコロナ禍でワクチン接種申し込みなどの新規サービスの急ピッチでの立ち上げが必要になりましたが、そうしたニーズに俊敏に応えていくことのできる基盤であることも重要です。コスト面でも従量課金制を取っているため、突発的な利用量の増加にも即応することが可能です。そうしたインフラ自体の柔軟性やスケーラビリティの高さは AWS の大きなアドバンテージでした」と、グラファーで Product Manager を務める畠山陽佑氏は語ります。

サービス利用対象は全国 3,000 万人に拡大

急速な利用拡大にもスムーズに対応

グラファーでは現在、Graffer Platform を構成する各種サービスの実装を AWS 上で推進しています。AWS が提供する多彩な機能を適材適所に活用し、セキュアかつスケーラブル、そしてコスト効率の高いサービス運用基盤を実現しています。

なかでも同社は、Amazon Elastic Kubernetes Service(Amazon EKS)のクラスタに各サービスのコンピュータリソースを集約しながら、マルチアカウントで個別管理できる点を高く評価しています。「当社のように複数のサービスを開発して、それぞれ連携したりエンドユーザー向けに提供したりという場合にも、各種サービスのリリースやアップデートに手間がかからず、開発コストを抑えた対応が可能です」と畠山氏は語ります。

Graffer Platform で展開する一連のサービスは、少数の自治体への提供から始まりました。その後、急速に規模を拡大し、2022 年 2 月時点で 100 団体に採用され、3,000 万人規模の住民に利用されるまでに成長を遂げています。AWS の採用によって柔軟性、拡張性に優れたインフラが実現できていることから、急速な事業展開においてもスケーラビリティに関する不安は皆無だったといいます。

コロナ禍など突発的な社会的事象の発生や、制度変更といった世の中の変化に対し、公共領域が柔軟かつ素早く対応していけるかどうかは、まさに「国の力」が問われるようになってきています。システム構築においても、綿密な検討によってモノリシックに構築していくのではなく、マイクロサービス化されたものを状況やニーズに応じて適切に組み合わせていくスタンスが求められているという信念のもと、グラファーではそうしたアプローチを実践する基盤として AWS を最適なクラウド基盤と位置づけています。

今後も同社は、自治体のデジタル化をめぐる広範なニーズに応えていくため、AWS を基盤とした新サービスの提供と既存サービスのブラッシュアップを継続していく構えです。「例えば、個別ニーズに応じてシステムを構築するのではなく、行政事務を抽象化し、随時変化する法制度や業務に即したプロセス、ビジネスロジックをノーコードツールで簡便に実装していけるような仕組みを検討したい」と畠山氏は話します。

さらに今後に向けては、AWS が開始した「AWS Startup Ramp プログラム」にも注目しています。このプログラムは、参入障壁が高いと言われる公共分野での事業展開を目指すスタートアップに対し、AWS 無料利用クレジット、トレーニングやサポートへのアクセスといった、AWS の使用をすばやく開始するためのリソースを提供します。いち早くこのプログラムに参加したグラファーは、このような AWS の活動を通じて、より多くのベンダーが公共向けビジネスに参入してくることで、行政機関のデジタル化がさらに促進され、それが「国の力」を高めることにもつながっていくと期待を寄せています。

畠山 陽佑 氏


カスタマープロフィール:株式会社グラファー

  • 設立:2017 年 7 月 18 日
  • 資本金:17 億 4,939 万 5,865 円
  • 概要「プロダクトの力で 行動を変え 社会を変える」をミッションに掲げ、行政のデジタル変革を推進

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 多彩な機能を活用してセキュアかつスケーラブルな基盤を構築
  • リソースの集約とサービスごとの管理で高いコスト効率を実現
  • ユーザーの急速な拡大に追随する高度な拡張性を担保
  • 自治体のシステム内製化を支援するノーコード開発サービスも検討

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