Growy は AWS により、自動化されたロボティクスを使用する循環型で自律的な垂直農場を構築
2022 年
Growy はオランダを拠点とするスタートアップで、人間ではなくロボットが植物を栽培する、完全に自動化された垂直農場を構築しています。自律的な農場は注文を受けてから植物を育て、サラダミックス、新鮮なハーブ、マイクログリーンを地元のスーパーマーケット、レストラン、ホテルに販売しています。
農業は利益率の低い事業です。競争力を維持するために、Growy は従来の垂直農場や他の垂直農場よりも経済的に農産物を栽培する必要に迫られました。そのためには、植物を栽培するのに必要な人員を減らし、代わりにロボットを使って種まき、水やり、給餌、収穫を行います。同社はまた、このアプローチを再現して、アムステルダムの本社から管理できる新しい農場を世界中に迅速に立ち上げたいと考えていました。
スケーラブルなインフラストラクチャを構築し、自動化された農業方法をサポートするために、Growy は Amazon Web Services (AWS) に目を向けました。AWS を使用することにより、自動化された垂直農場を立ち上げ、複数の垂直農場を運営できる費用対効果の高いシステムを構築しました。
ほんの少しの作業で、必要なときに処理能力、ストレージ、その他のサービスを追加できます。AWS を使うことで、私たちの生活は楽になります”
Jochem Meuwese 氏
Growy の開発責任者
ロボットが植物を栽培することでコストを削減
Growy は、虫や汚染から保護された専門施設で植物を栽培しているため、農薬や化学肥料は必要ありません。光、温度、CO2、湿度を最適なレベルに保ち、理想的な栽培環境を作り、生産と品質を最大限に高めます。
カメラとモノのインターネット (IoT) センサーを搭載したロボットは、写真を撮ったり、水位、栄養、成長などの植物の健康状態を定期的に測定したりして、植物を監視します。
Growy は AWS IoT Events (IoT センサーやアプリケーションで発生したイベントの検出と対応を容易にする、フルマネージド型サービス) を使用して、年間 100 万を超えるデータポイントを収集、保存、分析しています。システムは植物のプロファイルを参照し、植物の手入れや環境条件に必要な調整を行うようロボットに指示します。
例えば、ロボットの 1 体が黄ばんだ葉のある植物を発見した場合、Growy は機械学習 (ML) 機能を使用して、植物の回復を助けるために水やりのスケジュール、栄養レベル、または光の量を調整するようにロボットに指示します。
自動化システムにより、Growy は植物の手入れに要するスタッフの数を減らすことでコストを管理できます。Growy の開発責任者である Jochem Meuwese 氏は、「ほとんどの垂直農場では、植物の世話をするために多くの人を雇う必要があるため、私たちよりも諸経費が高くなっています」と述べています。「手動プロセスを自動化したので、このような問題はありません。つまり、多くの競合他社よりも低価格で農産物を販売できるということです」
また、Growy はサーバーレスの従量制料金のコンピューティングエンジンである AWS Fargate と、サーバーレスのイベント駆動型コンピューティングサービスである AWS Lambda を利用してコストを管理しています。つまり、Growy は使用したリソースに対してのみ支払いを行うため、インフラストラクチャ管理の諸経費を低く抑えることができます。
データを活用して最高の農産物を育てる
Growy では、植物を継続的に管理するために、信頼できる 24 時間 365 日のインフラを必要としています。「ネットワークが停止したり、クラウドへの接続が切断されたりすると、植物が枯れてしまう可能性があります」と Meuwese 氏は言います。「植物は、水やりを 1 回できなくても問題ないかもしれませんが、3 回目の水やりが滞ってしまう頃には、商品として出荷できなくなります。AWS を使用することで確かな信頼性が得られました」
Growy は、競合他社よりも見た目も味も良い植物を育てることを目指しています。 そのために、栄養条件と環境条件のさまざまな組み合わせを追跡し、データを分析して最適な栽培プロセスを見つけています。例えば、植物に栄養豊富な水を与えると、1 つの場所で年間最大 14 回の成長サイクルを管理できることがわかりました。
Growy の農業プロセスは、このようなインサイトに基づいて継続的に進化しています。「私たちにとって、植物の栽培はデータ主導のプロセスです」と Meuwese 氏は言います。「AWS を利用することで、データを活用して最高品質の農産物を最適な価格で栽培できます」
AWS を利用して世界中に農場を建設
Growy は、農業システムの技術的問題を解決するためのテストベッドとして、アムステルダムに最初の農場を建設しました。技術が完成したら、世界中にさらに農場を立ち上げる予定です。「私たちは 1 つの農場を建てる仕事をしているわけではありません。私たちは複数の農場を建設するビジネスをしています」と Meuwese 氏は言います。「AWS を利用することで、この拡張をより簡単に行うことができます」
農場を開設する際、Growy は地元企業と提携して、アムステルダムの施設の仕様に基づいて建物を建てます。次に、その農場の IT システムを AWS インフラストラクチャに追加して、Growy のアムステルダム本社のチームが監視および制御できるようにします。「AWS を利用することで、新しい農場のインフラストラクチャの更新に多くの時間を費やす必要がなくなりました」と Meuwese 氏は言います。「代わりに、1 つの物流センターから複数の農場の自動化を実行できます。施設の立ち上げは、言わばデータベース内に記録を 1 つ増やすことに過ぎません」
つまり、Growy は運営している農場ごとに人手を増やす必要がないということです。また、遠隔施設に必要な従業員の数も最小限に抑えられます。その主な役割は、建物のメンテナンスになります。
サーバーの保守ではなく農業に注力する
Growy は、アムステルダムにある農場の 40 倍の大きさの垂直農場を開設する予定です。アブダビ、オーストリア、ドバイ、ノルウェー、トルコ、英国、米国での農場設立に向けた調査を行っています。
Growy が世界中に農場を建設することに伴い、信頼性が高くスケーラブルなインフラストラクチャとインテリジェントな IoT 機能に対する必要性は高まるばかりです。AWS を利用することで、チームは会社の進化を支える革新的な方法を開発する時間を確保できます。「ほんの少しの作業で、必要なときに処理能力、ストレージ、その他のサービスを追加できます」と Meuwese 氏は言います。「私たちのスタッフは、インフラの運営に煩わされることなく、農業のイノベーションに集中できます。AWS を使うことで、私たちの生活は楽になります」
Growy について
Growy はオランダのアムステルダムに拠点を置くスタートアップで、完全自動化された循環型垂直農場の建設と運営を行っています。最初の農場はフル稼働しており、欧州、中東、米国に新しい農場を建設することになっています。
AWS の利点
- ロボットを活用して植物を栽培することでコストを削減
- 年間 100 万を超える IoT データポイントを管理
- IT メンテナンスの代わりに革新的な農業プロセスに注力
- 農場を 24 時間 365 日運営できる信頼性の高いインフラストラクチャを体験
利用している AWS のサービス
AWS IoT Events
AWS IoT Events は、IoT センサーやアプリケーションで発生したイベントの検出と対応を容易にする、フルマネージド型サービスです。イベントとは、予想よりも複雑な状況を示すデータパターンのことで、ベルトがつまって機器に異変が生じた、動作感知器が動作信号を検出して照明や防犯カメラを作動させたなどが含まれます。
AWS Fargate
AWS Fargate は、サーバーレスで従量制料金のコンピューティングエンジンであり、サーバーを管理することなくアプリケーションの構築に集中することができます。AWS Fargate は、Amazon Elastic Container Service (ECS) と Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS) の両方に対応しています。
AWS Lambda
AWS Lambda は、サーバーレスでイベント駆動型のコンピューティングサービスであり、サーバーのプロビジョニングや管理をすることなく、事実上あらゆるタイプのアプリケーションやバックエンドサービスのコードを実行することを可能にします。200 を超える AWS のサービスや Software as a Service (SaaS) アプリケーションから Lambda を起動することができ、お支払いいただくのは使用した分の料金のみです。
AWS IoT
産業用、消費者用、商用ソリューションのための IoT サービスは、数十億台のデバイスや数兆件のメッセージにまで簡単にスケールできます。