日立Astemo 株式会社

日立Astemo のクラウド人材育成術

リーダーが自ら学ぶことでチームの意識を改革

2021

クラウド未体験からわずか半年、社内の組織改革と人材育成を進めながら 製品ライフサイクル管理(PLM)および
その周辺システムの AWS 移行を内製で実現したポイントについて伺いました。

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IT リーダーが自らスタッフとともに取り組む姿勢が必要だと実感しています。AWS のプロフェッショナルサービスやワークショップを活用することで、未経験から半年で PLM の移行を実現することができました

里山 元章 氏
日立Astemo 株式会社
情報システム統括本部 担当本部長

競争が激化する自動車業界

IT 改革が競争力強化の源泉に

日立Astemo 株式会社は、国内外のさまざまな自動車メーカーに多様な自動車部品を提供する大手サプライヤーです。従来からあるエンジン機器やシャシー等はもちろん、車載カメラや電動車両向けインバーター、先進運転支援システム(ADAS)など先端技術を活用した製品開発も手がけています。

事業は、グローバルに展開しており、数十の工場のうち大半を海外に展開しています。厳しい状況に置かれている世界の自動車業界において日立Astemo は、国内外で技術や組織の強化に取り組み、近代的な事業ポートフォリオへの改革に努めています。ビジネスや組織の変化が激しい環境で、IT 部門の果たすべき責務も広範にわたります。

「競争力強化において、IT の革新は非常に重要な要素です。まずは大きなコスト削減でリソースを捻出してポートフォリオの強化に努め、さらにデジタルトランスフォーメーションで新しい力をつけたいと考えました。当社は国内外に多数の拠点を持ち、また組織改編も頻繁に発生するため、低コストで柔軟性・拡張性が高く、また迅速性に優れた IT インフラが必要でした」と、日立Astemo 情報システム統括本部 担当本部長 里山元章氏は語ります。

IT コストはわずか 5 分の 1 に

内製強化とキャリア形成も両立

ITインフラのコスト削減といえば、やはりクラウドです。運用負荷の高いオンプレミスシステムを移行できれば、大きな効果が見込めます。しかし、里山氏はもう 1 つ先の効果を見据えていました。

日立Astemo は、長くオンプレミスシステムを運用しており、外部ベンダーへの依存も強いものでした。IT 部門はいずれも優秀なスタッフばかりですが、レガシーなシステムしか経験していないという不安もありました。自社のシステムをクラウド化するとともに、スタッフにもクラウドを学んでもらうことで、新しいキャリアを形成してほしいと考えたのです。もちろん自社にとっても大きな資産となります。

「今やクラウドは誰でも簡単に利用できます。しかし変化・進化が非常に早く、しっかり使いこなすには学び続ける必要があります。アマゾンウェブ サービス(AWS)は世界的にもメジャーでグローバルに展開しており、当社でも手軽に活用できます。また、新技術の展開が早く学ぶべきところがたくさんあり、一方でインターネットに多くのドキュメントや情報が揃っています。当社が内製を強化するにも、スタッフが先端技術を学ぶにも、最適なクラウドサービスだと判断しました」(里山氏)

日立Astemo では、グローバルに稼働している  PLM  およびその周辺システムの移行からスタートしました。AWS の学習を含む 2 ヶ月間の準備期間を経て移行を開始し、96  の仮想サーバーと 8 個のデータベース環境の上で稼働している  26  のアプリケーション群の移行をわずか 4  ヶ月で完了しました。里山氏によれば、既存システムの調査と移行設計を入念に行ったことで、構築はスムーズであったといいます。

PLM のパッケージベンダーと事前に  AWS  への移行について十分に確認を行ったため、大半が問題なく移行することができました。一部は小規模なデータセンター施設へ移管してコスト削減を図ることができました。軽微な設定変更のみでパフォーマンスには問題なく、快適に利用できているとのことです。

AWS 移行によるコスト効果は絶大で、従来のデータセンター契約を解約することができました。内製強化のための人件費や開発費を含めても、オンプレミスシステムと比べた総コストは約 5 分の 1 に低減されています。

リーダーが背中を見せて

IT プロフェッショナルを育成する

日立Astemo の AWS 移行は、コスト削減や技術革新にとどまらず、人材強化にも大きな効果が期待されていました。そこで同社では、AWS のプロフェッショナルサービスを採用し、また、AWS 主催の勉強会やワークショップも積極的に活用し、IT 部門の知識・経験の底上げを図りました。リーダーである里山氏も各セミナーに参加し、自ら学ぶ姿勢をスタッフに示しました。

「クラウド化や AWS 活用を喜ぶスタッフも多くいましたが、一方で自分にできるだろうかと不安に思う者もいました。私はチームの中でも社会人経験が長いですが、いくつになっても学んで成長できるということを示したかったのです。AWS であれば、失敗してもやり直すことが容易で、効率よく学習することができます。特にプロフェッショナルサービスは、AWS のエンジニアとワンチームとなって問題解決に挑むことができ、人材育成に大きな効果を発揮したと感じています。AWS の名称しか知らなかったメンバーが、わずか半年で PLM や周辺システムのクラウド完全移行までたどり着いたのですから」(里山氏)

日立Astemo の IT  部門は、AWS のセミナーなどを活用して知見を深めていきました。里山氏は、オンプレミスを中心にキャリアを積んできた IT エンジニアでも、AWS によって変わることができたと強調します。

「私はいつも “プロフェッショナルたれ” と言っています。事業部の要求どおりにベンダーへ依頼して、ただ契約書にハンコを押すだけでは意味がありません。また、せっかく作ったシステムも、使ってもらえなければ評価されません。自ら考えて、オーナーシップを持って実行し、結果に責任を持つプロフェッショナルでなければ“価値がない”と言っています。事業部門のニーズを受け止めて、効果的なシステムを作り、ちゃんと使ってもらえるようにアピールするためには、知識やスキルが欠かせません」(里山氏)

今では、IT部門のすべてのスタッフが AWS の基本的なところを学び、使えるようになりました。里山氏は、次のステップとして運用自動化など高度に使いこなしてほしいと期待しています。

世界の工場をスマートファクトリーへ

AWS とクラウド技術の進歩に期待

日立Astemo では、ソフトウェア開発を担当する事業部門でもクラウド移行を計画しており、里山氏ら情報システム統括本部もインフラ担当として参画しています。AWS 化・内製化の経験とノウハウを生かして、最適なインフラを提供するのが任務です。

また同社では、グローバル展開を検討している工場のスマートファクトリー化をAWS の活用で高度化したい考えです。例えば、各地の工場拠点に AWS IoT Greengrass を展開し、クラウドエッジとして AWS と連携して、高度なデータ分析や AIを 活用するといった構想です。スマートファクトリーは黎明期にあり、未来の選択肢は幅広く、最適解を導くには時間がかかります。里山氏は、 AWS の技術進化やサービス強化に期待しており、しっかり技術・知識を取り込んでいきたいと意欲的に話します。

オンラインでのプロジェクト定例の様子

※本記事の内容は 2021 年 3 月時点のものです。


カスタマープロフィール:日立Astemo 株式会社

  • プレジデント & CEO ブリス・コッホ (Brice Koch)氏
  • 従業員数   9 万人(2021 1 月、連結ベース)
  • 事業内容 自動車部分品及び輸送用並びに産業用機械器具・システムの開発、製造、販売及びサービス

 

実施施策

  • 本部長が自らセミナーに参加することで、社内の AWS 化を促進
  • AWS 主催の勉強会やワークショップも積極的に活用 

ご利用の主なサービス

Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。ウェブスケールのクラウドコンピューティングを開発者が簡単に利用できるよう設計されています。

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Amazon RDS for Oracle

Amazon RDS for Oracle は、クラウドでの Oracle デプロイメントのセットアップ、運用、スケーリングを容易にする完全マネージド型の商用データベースです。

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Amazon EBS

Amazon Elastic Block Store (EBS) は、Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) と共に使用するために設計された、スループットとトランザクションの両方が集中するどんな規模のワークロードにも対応できる、使いやすい高性能なブロックストレージサービスです。

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Amazon S3

Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。

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