製造の要・PLM のクラウド移行を AWS 初心者メンバーがわずか 4 ヶ月で実行
コストを 5 分の 1 に削減し、同時に業務を支え、ビジネスに貢献する IT チームへと進化

2021

日立Astemo株式会社は、国内外拠点の IT 統合と競争力強化のために、大規模なクラウド化戦略に取り組んでいます。その第一弾として、設計製造の要であるオンプレミスの PLM(Product Lifecycle Management)システム群をわずか 4 ヶ月でアマゾン ウェブ サービス(AWS)に移行。運用コストを 5 分の 1 まで削減しました。当初は AWS やクラウドに不慣れだったスタッフも、AWS のプロフェッショナルサービスを教師役に学びを得て、最先端の IT で事業に貢献できるチームへと成長しています。

AWS 導入事例  | 日立Astemo株式会社
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正しい知識と経験を得て、すばやく成長するために、教師役として AWS プロフェッショナルサービスを活用しました。チームで切磋琢磨することで、事業部門から信頼される IT 組織に進化しました

江後田 裕之 氏
日立Astemo株式会社
情報システム統括本部
インフラ・プラットフォーム統括部
ダイレクター

4 社の統合で誕生したメガサプライヤー

IT 改革が競争力強化のカギに

日立Astemo は 2021 年 1 月、2009 年に株式会社日立製作所から分社した日立オートモティブシステムズ株式会社を前身とし、株式会社ケーヒン、株式会社ショーワ、日信工業株式会社との経営統合によって設立されました。CASE という注目の分野において世界をリードするモビリティソリューションの創出を目標とし、パワートレインやシャシー、先進運転支援システムに関する技術と製品を国内外に提供しています。

4 社の統合によって誕生した日立Astemo は、世界 27 ヶ国・約 9 万人を擁するグローバルメガサプライヤーとして注目を集めています。昨今の自動車・二輪車業界の大変革の中、社会のモビリティに対する要求や、消費者の購買活動の大きな変化が、さまざまな先端技術やイノベーティブなサービスを必要とし、デジタルによる業務改革は必須要件です。加えて、日立Astemo は、統合による組織の規模ゆえに IT の統合も非常に大がかりなものとなっています。同社は、今後も国内外で技術や組織の強化に取り組み、近代的な事業ポートフォリオへの改革を進め、競争力の強化を図る計画です。

「競争力強化には、IT 改革が非常に重要な要素となります。1 つは、ポートフォリオを強化するリソースを捻出するため、大幅なコスト削減に取り組むこと。もう 1 つは、デジタルトランスフォーメーション(DX)によって新しい力を身に付けること。これらの実現とともに、多数のグローバル拠点や事業を支える IT の標準化を推進する基盤として、低コストで拡張性が高く、迅速性に優れた IT インフラ、すなわちクラウドへの移行が不可欠でした」と、日立Astemo 情報システム統括本部 インフラ・プラットフォーム統括部 ダイレクターの江後田裕之氏は振り返ります。

EOL が迫る PLM システム

クラウドへの短期移行と運用内製化を目指す

日立Astemo が最初に取り組んだのは、設計製造の要となる PLM システムのクラウド化です。従来の PLM システムはオンプレミスで、ベンダーへの依存度が高く、運用コストが課題視されていました。またハードウェアの保守終了を間近に控えていたこともあり、クラウド移行の第一弾に決定されました。
今回の取り組みでは、IT 組織・人材の改革も同時に進められました。ベンダー依存の体質を改善するとともに、 IT インフラのモダナイゼーションを行って、先端 IT 技術の Center of Excellence(CoE) として事業に貢献できるチームへの変革に取り組みました。そこで選ばれたのが、AWS と AWS プロフェッショナルサービスです。

「クラウドで世界をリードしている AWS は、情報も実績も豊富で安心して利用できます。一方、当時の私どもはクラウドや AWS に関してこれから本格的に学ぶ状況にありました。そこで、正しい知識と経験をすばやく得るために、AWS プロフェッショナルサービスを活用することにしました。」と情報システム統括本部 JP Region IT サービス統括部 ダイレクターの小俣一郎氏は振り返ります。「困ったときに相談できる相手として、クライアントとベンダーではなく、“生徒と教師役”としての支援を受けることが目的でした」(江後田氏)

日立Astemo では、ステップ 0 として AWS のトレーニングを受講し、知識や技術の底上げに臨みました。基礎勉強会はユーザー部門も参加して全社的に AWS への理解を深めつつ、選抜チームには特別なトレーニングも活用して知識の強化を図りました。情報収集・分析を中心としたステップ 1 は、ブラックボックス化していたシステムを調査する作業を AWS のソリューションアーキテクトの支援を受けながら実行し、ステップ 2 でコア部分の設計と構築を実施しました。

「問題はデータ移行でしたが、CloudEndure Migration を活用する方法であれば、容易・迅速かつ低コストに移行できると判断しました。懸念していたパッケージソフトに関しては、事前検証で問題なく移行できることを確認でき、安心して取りかかれました。作業にはベンダーの担当者も同席していましたが、1 つのトラブルもなく移行できたことに驚いていました。結果的には、96 ホスト・ 26 アプリケーションを、準備を含めて 4 ヶ月で移行することができました」と、情報システム統括本部 経営システム統括部 ダイレクターの鈴木常右氏は語ります。

チームのレベルアップを果たし事業部門から信頼される IT 組織へ

AWS へ移行した PLM システムは現在も順調に稼働しており、約 9,000 名の担当者が同システムを業務に利用しています。移行の結果、データセンターやハードウェア、ベンダーサポートなどの費用が大幅に削減され、運用コストはおよそ 5 分の 1 にまで削減されました。リソース監視や障害検知・調査などの運用業務には Amazon CloudWatch や AWS Systems Manager を活用しており、運用監視の自動化を目指した開発も進めています。

情報システム統括本部 JP Region ITサービス統括部 設計アプリ1課 課長シニアマネージャーの田口誠氏は、「移行の際にインスタンスのパフォーマンス不足で移行ができない場面に直面しましたが、インスタンスタイプを変更することで、すぐに改善できました。従来のオンプレミスシステムはオーバースペック気味に構成を組まなければならずどうしてもオーバースペックになりがちであり、さらにベンダー依存も解消できません。スモールスタートして、不足や不満があればすぐに改善できるという点もクラウドの魅力です」と効果を語ります。
日立Astemoの全社的なクラウド化プロジェクトは現在も進行中で、ERP や IoT 基盤などの AWS 化に取り組んでいます。また、設計支援領域でも新たな AWS 化プロジェクトが進行しています。小俣氏は「私たちに相談してくる事業部門が増えています」と話します。既存のオンプレミスシステムを含めてできるかぎり対応し、単なるクラウドリフトにとどめず、SaaS やマネージドサービスなど適材適所で活用の幅を広げていきたい考えです。

プロジェクトを率いた江後田氏は、AWS の親身なサポートによって、組織や文化、開発手法を改革できたことが最大の効果だと評価しています。すぐに自ら試すことができる AWS だからこそ、自ら悩んで知識を習得し、立場を問わずにレベルアップしていく新しいチームへと自然に変わっていくことができたと分析します。
「今後も当社は、グローバルにビジネスを拡大していく計画で、IT を幅広い視点で活用していく考えです。その中で AWS DirectConnect や AWS IoT など多様なサービスに注目しています。世界のベストプラクティスを参考に、活用していきます」(江後田氏)

江後田 裕之 氏

小俣 一郎 氏

田口 誠 氏

鈴木 常右 氏

※本記事の内容は 2021 年 11 月時点のものです。


カスタマープロフィール:日立Astemo株式会社

  • 設立: 2021 年 1 月 1 日
  • 資本金: 515 億円
  • 従業員数:約 9 万人(2021 年 1 月時点連結)
  • 事業内容:自動車部分品及び輸送用並びに産業用機械器具・システムの開発、製造、販売及びサービス

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 柔軟なクラウドインフラの獲得、全社的な AWS 化を進行中
  • PLM システムの移行でコストは 5 分の 1 に削減
  • IT チームのスキルアップ・内製化、事業部門からの相談増

ご利用中の主なサービス

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AWS Application Migration Service (AWS MGN) を使用すると、変更を加えることなく、最小限のダウンタイムで、アプリケーションをクラウドに移行するメリットをすばやく実現できます。

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*AWS MGN は、次世代の CloudEndure Migration であり、CloudEndure Migration では利用できない主要な機能と運用上の利点を提供します。