14 か月
開発期間の大幅短縮
2.5 倍
開発効率の向上
7 倍
工程品質の向上
2 週間
開発サイクルの短縮
概要
パナソニックグループにて主にセキュリティやメディカルに関する画像センシングを担っていた部門が分社独立した i-PRO 株式会社。エッジ記録型クラウドカメラサービス『i-PRO Remo.』の開発にあたり、同社は AWS IoT Core をはじめとするアマゾン ウェブ サービス(AWS)の各種サービスを採用し、利便性とセキュリティを両立したソリューションをリリース。同時にソフトウェアエンジニアリング改革を実行し、サーバーソフトの開発において開発効率 2.5 倍、工程品質 7 倍向上の成果をあげています。
ビジネスの課題 | 映像セキュリティシステムを IoT カメラとして再定義
i-PRO は、2019 年 10 月にパナソニック i-PRO センシングソリューションズとして設立され、2022 年 4 月にセキュリティシステムのナショナルブランド『i-PRO』と同じ社名に変更しました。パナソニック時代から培ってきた映像技術と画像解析技術を活かしたソリューションを提供し、世界の安心・安全を支えています。
新生 i-PRO 第一弾のサービスが、監視カメラをリモートで利用する『i-PRO Remo.』です。「従来の映像セキュリティシステムは、システム設置場所以外では映像が見られないクローズド型でした。しかしコロナ禍でリモートアクセスのニーズが拡大したことを捉え、監視カメラを IoT カメラとして再定義し、スマートフォンアプリでカメラを操作する i-PRO Remo. の開発に乗り出しました」と語るのは、コーポレートソフトウェアヘッド 執行役員 バイスプレジデントの高橋秀明氏です。
i-PRO Remo は、ネットワークカメラ、クラウドサービスと録画機能付ゲートウェイのエッジストレージで構成されています。撮影した映像はエッジストレージやカメラに装着した SD カードにフル HD の高解像度で記録し、クラウドカメラサービスを通して複数の拠点に設置したネットワークカメラの映像を配信し、リアルタイム/録画の双方で確認できます。
i-PRO Remo. の企画にあたり、同社はクラウドカメラサービスの開発パートナーに AWS を指名し、プラットフォームに AWS を採用。これは、今まで自社開発を重視してきた同社がビジネスモデルを変革する新たなチャレンジでした。
「当社はコアコンピタンスであるハードウェア開発に集中し、他の領域はパートナーに委託する水平分業を決断しました。その中で、コトを起点にプラットフォームを提供する
AWS/Amazon のビジネスモデルと i-PRO の企業文化との親和性の高さ、先進的なクラウド技術を習得できるメリットなどから AWS を採用しました」(高橋氏)
コーポレートソフトウェア エキスパートシステムソフトウェアエンジニアの河本耕治氏は技術的な観点から「IoT 化に必要な機能がマネージドサービスとして揃っていることと、構想段階から親身に相談に乗っていただき、勉強会等を通じて早期に実現性に目途をつけられたことが決め手となりました」と付け加えます。
コトを起点にプラットフォームを提供する AWS/Amazon のビジネスモデルと i-PRO の企業文化との親和性の高さ、先進的なクラウド技術を習得できるメリットなどから AWS を採用しました”
高橋 秀明 氏
i-PRO 株式会社 コーポレートソフトウェアヘッド 執行役員 バイスプレジデント
ソリューション | 文化・実践・ツールを研ぎ澄ますエンジニアリング改革を実施
i-PRO Remo. の開発は 2021 年 4 月よりスタートし、2022 年 6 月より日本国内にサービス提供を開始。クラウドカメラサービスは、利用者が手軽にクラウドに接続できる簡便性と、セキュリティの 2 点を重視して設計・構築しています。
スマートフォンとカメラの接続には AWS IoT Core や動画ストリーミングサービスの Amazon Kinesis Video Streams などを活用し、クリック数回で接続できるようにしました。
「Amazon Kinesis Video Streams を採用したのは、ルーター設定が不要な P2P の機能が標準実装され、スケーラブルに対応できるからです。これにより従来の 1/10 のシステム設定時間でリモート接続が確立できるようになりました」(河本氏)
セキュリティ面では、設計ベストプラクティスの AWS Well-Architected Framework を活用し、AWS のセキュリティ基盤とセキュリティサービスによって安全な運用管理環境を構築。「AWS でのシステム開発は初めてでしたが、ベストプラクティスに則って設計し、AWS のプロフェッショナルからも継続的にアドバイスをいただけたことで、安心して進められました」と、コーポレートソフトウェア エキスパートシステムソフトウェアエンジニアの若子武士氏は語ります。
i-PRO Remo. プロジェクトには、開発をウォーターフォール型からアジャイル型にシフトするエンジニアリング改革のミッションもありました。
「独立してから欧米のエクセレントカンパニーと接する機会が増え、日本と異なる圧倒的なビジネススピードに衝撃を受けました。AWS の開発手法を学ぶ中で、高速なフローと即時フィードバックの文化・実践・ツールの 3 つを研ぎ澄ます必要があると気付き、i-PRO Remo. のプロジェクトで実践を試みました」(高橋氏)
プロジェクトには品質管理部門や営業部門なども参加。目指す姿を明確にし、自律的なチームとして取り組んでいきました。
「AWS から提供された開発指針を参考に、品質目標と行動目標をチーム内で腹落ちするまで話し合い、常にフィードバックを受けながら進めました。AWS には組織文化を学ぶ機会も用意していただき、プロフェッショナルになるための心構えも学びました」(高橋氏)
i-PRO Remo. の開発では 10 人以下のスクラムチームを組み、2 週間単位で実際に動くシステムをリリースして即時フィードバックを獲得。レビューやテストも週次で完結するアジャイル開発のプロセスを実践しています。ツールには AWS CodeBuild を中心とした CI/CD ツールを導入し、レビュー・リリース・テスト等の一連の作業を自動化。また、自動ユニットテストで開発と同時にテストも自動完了するようにしました。
「従来は最終工程のテスト結果をまとめる帳票作成に工数の 90% を割いていました。CI/CD 化でほとんどの作業が自動化され、サービス開発に工数をかけられるようになりました。結果として開発者としてやりたいことができるようになり、モチベーションも向上しています」(若子氏)
アーキテクチャ
導入効果 | 2 週間サイクルのスクラム開発で 迅速に改善要望に対応
文化・実践・ツールの変革を目指したエンジニアリング改革は即座に成果として現れました。サーバーソフトの開発効率は従来比で 2.5 倍向上し、工程品質は 7 倍に改善。2 週間サイクルのスクラム開発によって振り返りをすぐに次の目標につなげられるため、今回の取り組みでは2 か月間で 27 件の課題を改善しています。
「以前はお客様からいただいた改善要望の対応に 3~6 か月要していました。現在は 1 か月単位で改善要望対応や UX の強化ができるようになり、サービスレベルも大きく向上しています」(河本氏)
今後の展開としては、業界最小クラスの AI ネットワークモジュールカメラ(ページ下部に外観画像)とクラウドモジュールカメラサービスの展開も計画中です。
「ロボットなど様々な製品にこのモジュールカメラを組み込んでいただくことで、簡単に製品を IoT 化できます。AWS と協働し、製造業やインテグレーターの皆様の製品 IoT 化に貢献していきたいと思います」(高橋氏)
カスタマープロフィール: i-PRO株式会社
2019 年 10 月にパナソニック i-PRO センシングソリューションズとして設立され、2022 年 4 月に社名を i-PRO に変更。パナソニック時代から培ってきた映像技術と画像解析技術を活かし、セキュリティ・医療・産業分野向け機器・モジュールの開発、製造、販売およびシステムインテグレーション、施工、保守、メンテナンスこれらに関するサービスを含む各種ソリューションを提供している。
ご利用中の主なサービス
AWS IoT Core
AWS IoT Core では、何十億もの IoT デバイスを接続し、何兆ものメッセージをインフラストラクチャを管理することなく、AWS のサービスにルーティングすることができます。
Amazon Kinesis Video Streams
Amazon Kinesis Video Streams を使用すると、分析、機械学習 (ML)、再生、およびその他の処理のために、接続されたデバイスから AWS へ動画を簡単かつ安全にストリーミングできるようになります。
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AWS CodeBuild
AWS CodeBuild は、ソースコードをコンパイルし、テストを実行し、すぐにデプロイできるソフトウェアパッケージを生成する、フルマネージド型の継続的インテグレーションサービスです。
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Amazon Cognito
Amazon Cognito を使用すれば、ウェブアプリケーションおよびモバイルアプリに素早く簡単にユーザーのサインアップ/サインインおよびアクセスコントロールの機能を追加できます。
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