Case Study: iZettle

2016 年

iZettle は、AWS を活用し世界 3 拠点のマーケットで決済ビジネスを成長させています。同社の決済ソリューションは、国際的なセキュリティ基準を満たした初めてのものであり、個⼈や中小企業が iOS や Android スマートフォンでのカード決済ができるようにしています。同社では、ミッションクリティカルな決済プラットフォームを含むインフラストラクチャのほとんどを AWS で運用しています。

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「AWS のインフラストラクチャでは、今まで 6 秒かかっていたデータベースのクエリが 3 秒で実⾏できるようになりました。速度が倍増したことになります」

Johannes Löfgren 氏
iZettle、DevOps 兼インフラストラクチャ担当責任者

課題

iZettle はこれまで常に、DevOps を重視してきました。同社の優秀な DevOps エンジニアの 6 チームがスタートアップ企業としてのビジョンを実現させるタスクを担います。iZettle の DevOps 兼インフラストラクチャ担当責任者の Johannes Löfgren 氏は「私たちはスタートアップや中小企業の成長の要となりたいのです」と述べています。「私たちは、お客様のビジネスを効率的に運営するための画期的なサービスやアプリを構築するために、日々業務に取り組んでいます」

イノベーションの推進により、同社は事業をグローバル展開してきました。「オフィスはストックホルムにありますが、私たちのサービスは世界 3 拠点、12 か国の数⼗万の企業で利⽤されています」と Löfgren ⽒は⾔います。「グローバル企業として、お客様に対して遅延を最小限にすることができるグローバル IT インフラストラクチャが必要でした」

従来型の決済サービス用ホスティングプロバイダーの利用は難しくなってきました。iZettle チームは、アーキテクチャ制御の簡易性とサービスの迅速な開発のための柔軟性を求めていました。システムが処理する財務データの機密性を考慮すると、Payment Card Industry (PCI) コンプライアンスはインフラストラクチャで iZettle が使用するテクノロジーの重要な要件でした。

アマゾン ウェブ サービスが選ばれた理由

すでに Amazon Web Services (AWS) を利用して Web サイトを運営していた iZettle は、インフラの他の部分をクラウドに移行することを視野に入れ、他の AWS サービスの詳細を検討し始めました。Löfgren ⽒は「私たちが必要としていた以上のものが、すべてのリージョンで対応可能だとわかりました」と述べています。その後、同⽒とチームは、ローカルのデータセンターから AWS に移⾏を開始しました。

グローバルな可用性を確保するために、iZettle はそれぞれに複数のアベイラビリティーゾーンを持つ米国西部 (北カリフォルニア)、南アメリカ (サンパウロ)、欧州 (アイルランド) の 3 つの AWS リージョンで稼働しています。同社の AWS リソースは Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) 内に存在します。同社では、複数の EC2 インスタンス間で自動的に負荷分散を行う Elastic Load Balancing や、キャパシティーのプロビジョニングを調整する Auto Scaling とともに、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) を使用しています。iZettle はデータベースをローカルのデータセンターから Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) に移行し、ブロックレベルストレージの Amazon Elastic Block Store (Amazon EBS) を使用しています。同社は Amazon Simple Notification Service (Amazon SNS) と Amazon Simple Queue Service (Amazon SQS) をメッセージングソリューションの一部として採用しています。AWS Config ではリソースのフルインベントリが提供され、Amazon CloudWatch がログファイルのモニタリングに使用されます。

レイテンシーを低く保つためにはネットワーキングが重要です。このために、iZettle では Amazon Route 53 を使⽤しています。Löfgren ⽒によれば、「カード決済サービスを提供することはリアルタイムのオペレーションであり、ネットワークのレイテンシーを低く抑えたバックエンドが必要です。これを可能にしているのは、AWS のグローバルな展開と Amazon Route 53 の組み合わせです」 AWS Direct Connect を活用し、同社の暗号ハードウェアに接続する専⽤のネットワークが準備されています。

同社のコアシステムの移行がこのプロジェクトの最後のピースであり、最重要事項でもありました。これには、お金の循環、つまり資金決済からサードパーティーによる信用調査プロセスにいたる全業務が含まれます。Löfgren 氏によれば、「この移行は複雑でした。当社は銀行などの金融機関を含む多くのサードパーティーと提携しており、すべての接続が初日からセキュアである必要がありました。さらに、12 の異なるマーケットでそれぞれの規制に対応する必要がありました。⼊念な計画と AWS テクノロジーのおかげで、この移⾏をシームレスに実行できました」

利点

以前は、iZettle は高価なソリッドステートドライブ (SSD) を購入していましたが、IOPS の 10% しか使用していませんでした。Löfgren 氏は「600 ギガバイトのマスターデータベースの核となるコアシステムを移行してから、パフォーマンスにおいて大幅な向上が見られました」と述べています。「AWS のインフラストラクチャでは、今まで 6 秒かかっていたデータベースのクエリが 3 秒で実⾏できるようになりました。速度が倍増したことになります。Elastic Block Store は従量課金制であるため、コスト効率の高い優れたパフォーマンスを達成できます」

iZettle ではこのサービスを遂行するために、サービスを提供する 12 のマーケットで複数のサードパーティー金融機関と提携しています。これらの金融機関との安全な接続を支援できるさまざまなツールを持つ PCI 準拠プロバイダーと連携することにより、iZettle はそのグローバルな目標を確実にサポートできます。

「皆さんが当社と同じように展開したいのであれば、AWS は最適だと考えます」と Löfgren ⽒は述べています。「IT スタッフが世界を⾶び回らなくても、AWS を活用することでグローバルなインフラストラクチャをセキュアに運⽤することができます。スウェーデン国内での事業開始から、現在の世界 3 拠点での事業に成長するため、たった 2 年です。従来型の IT を使⽤していては、このスピードで達成することは不可能です」 AWS はオペレーション上のコスト節減の⽀援するだけではなく、スタートアップ企業が発展途上の市場で制限なく事業を展開できることを意味しています。「当社ではカリフォルニアの AWS ⽶国⻄部リージョンからメキシコ事業を、サンパウロリージョンからブラジル事業を展開しています。中⽶か南⽶、または総⼒をあげてアジアパシフィックなど市場に展開するには、AWS なら対応できると確信しています。AWS が私たちの成長を支えてくれていると確信しています。」と Löfgren ⽒は述べています。

同⽒は、アジャイルな開発プロセスの必要性についても同じように意欲的に取り組んでいます。「私たちは複数の進行中の開発プロジェクトを運営しており、市場投入までの時間を短縮のためにアジャイルなインフラストラクチャを必要としています」と同⽒は述べています。「従来型のホスティングでは、新しいサーバーをプロビジョニングするだけで 1 か⽉かかることがあります。AWS API を使用して、スクリプトを工夫することで、90 分以内に完全に動作する決済開発環境をセットアップすることができます。」

Löfgren ⽒は次のように締めくくっています。「お客様はリアルタイムサービスの提供を当社に期待しています。取引が期待どおりに迅速に処理されなければ、⾒込み客はすぐに離れてしまいます。ビジネスには迅速なカード決済が求められます。AWS を活用し、グローバルでビジネスニーズを満たす決済サービスを提供してまいります。」と述べています。


iZettle について

iZettle は、AWS を活用し、世界 3 拠点のマーケットで決済事業を成長させています。


利用されている AWS のサービス

Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。デベロッパーがウェブスケールのクラウドコンピューティングを簡単に利用できるように設計されています。

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Auto Scaling

AWS Auto Scaling は、安定した予測可能なパフォーマンスを可能な限り低コストで維持するためにアプリケーションをモニタリングし、容量を自動で調整します。

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Amazon VPC

Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) では、AWS クラウドの論理的に分離されたセクションをプロビジョニングし、お客様が定義した仮想ネットワーク内の AWS リソースを起動することができます。

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Amazon EBS

Amazon Elastic Block Store (EBS) は、Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) と共に使用するために設計された、スループットとトランザクションの両方が集中するどんな規模のワークロードにも対応できる、使いやすい高性能なブロックストレージサービスです。

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Amazon RDS

Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) を使用すると、クラウド上のリレーショナルデータベースのセットアップ、オペレーション、スケールが簡単になります。

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Amazon SNS

Amazon Simple Notification Service (SNS) は、マイクロサービス、分散型システム、およびサーバーレスアプリケーションの疎結合化を可能にする、高可用性で、耐久性に優れたセキュアな完全マネージド型 pub/sub メッセージングサービスです。

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Elastic Load Balancing

Elastic Load Balancing は、アプリケーションへのトラフィックを複数のターゲット (Amazon EC2 インスタンス、コンテナ、IP アドレス、Lambda 関数など) に自動的に分散します。

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Amazon SQS

Amazon Simple Queue Service (SQS) は、完全マネージド型のメッセージキューイングサービスで、マイクロサービス、分散システム、およびサーバーレスアプリケーションの疎結合化とスケーリングが可能です。

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開始方法

あらゆる業界のさまざまな規模の企業が、AWS を活用してビジネスを日々変革しています。AWS のエキスパートにお問い合わせのうえ、今すぐ AWS クラウドジャーニーを開始しましょう。