Numerix は AWS Batch で HPC ワークロードを価格とリスクのモデリングに合わせてスケーリング

Numerix は、銀行、規制当局、保険会社など、250 社を超えるグローバルクライアントに分析ソフトウェアを提供しています。その広範な数学モデルでは、株価の下落時に生じると思われる影響をシミュレートするために、さまざまな市場状態に対する価格取引をモデル化しています。金融機関は、このデータを頼りに数十億ドル規模の意思決定を行うため、利用可能な中でも最も高度な分析が必要です。さらに複雑なことに、金融市場は、COVID-19 パンデミックの当初から前例のない領域にありました。取引とリスク管理の情報は、この不安定な時期に特に貴重です。「私たちには、20,000 件の取引のポートフォリオを運営しているクライアントがいます」と Jockle 氏は言います。そして、企業が脆弱性から身を守るためにリスク分析を採用するにつれて、これらのポートフォリオは拡大の一途をたどっています。

このように取引量や分析量の増加による複雑さは、膨大な計算能力が必要とされる数学的課題です。Numerix の最高技術責任者である Bill Humphrey 氏は次のように語っています。「お客様が当社のソリューションをオンプレミスで実行するには、『これは、当社のソフトウェアをインストールして毎日実行するときに、お客様のデータセンターで必要な CPU コアの数です。そして、ポートフォリオは増大しているため、来年はさらに多くのコア数を購入する必要があります』と伝える必要があります。」この初期費用が、Numerix ツールの採用を妨げてきました。

「Numerix にとって、クラウドは効率性と可用性を実現するために避けられない行程でした」と Jockle 氏は言います。Numerix は、2012 年にクラウドでいくつかの「Software-as-a-Service (SaaS)」プロジェクトに着手しました。2019 年、エンジニアが HPC ソリューションを実行するために Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) を使用し始めたことで、AWS への移行が加速しました。Amazon EC2 は、クラウド内で安全でサイズ変更可能なコンピューティングキャパシティを提供します。Numerix は 2021 年に AWS Batch の使用を開始し、Amazon EC2 上で最適な量とタイプのコンピューティングリソースを動的にプロビジョニングしました。新しいアプローチにより、分析のパフォーマンスは 180 倍向上しました。

Numerix のリーダーたちにとって、クラウドの柔軟性を最大限に活用するには、クラウドネイティブのオーケストレーターとサーバーレスアーキテクチャの採用が鍵であることに異論はありません。Numerix は移行の初期段階でリフトアンドシフト方式を採用していましたが、サーバーレスモデルへの完全な移行は画期的な出来事でした。「高額なリソースを常時稼働させないためには、まさにサーバーレスモデルが必要でした」と Humphrey 氏は言います。「これらのワークロードを AWS Batch に送信します。AWS Batch は、送信されたジョブに適切な Amazon EC2 インスタンスをプロビジョニングしてコンピューティングリソースをオーケストレーションし、これらのジョブを実行し、作業が完了するとインスタンスをシャットダウンします。請求されるのは実際の使用秒数だけです。」 Numerix は、最新のアプリケーション向けのローコードのビジュアルワークフローサービスである AWS Step Functions でサーバーレス機能を実行しています。

さらに重要なのは、AWS で動的なリソース割り当てを使用することで、Numerix はクライアントの厳しい制約に、より効果的に対応することができるということです。「AWS Batch を使用すると、数万件の取引があるポートフォリオについて、40 分以内のサービスレベル契約を満たすことができます」と Jockle 氏は言います。「これはまったく前代未聞の対応能力です。」 エンジニアは Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) で情報をステージングします。これは、どこからでも任意の量のデータを取得できるように構築されたクラウドオブジェクトストレージです。AWS のメモリとストレージ容量の増加により、分析プロセス全体のボトルネックが軽減されました。今では、Numerix では、より大規模なポートフォリオを引き受ける準備を十分に整えることができました。スケールアップするたびにサーバーの購入、受け取り、インストールまで数か月待たなければならないとクライアントに伝える代わりに、Numerix はサイジングの変更に数日または数時間で対応で支援します。「迅速に適応できるだけでも、大きなメリットです」とハンフリーは言います。

Numerix のクライアントの多くは、クラウドファーストの考え方への移行を高く評価しています。「クラウドモデルでは、もはや当社の HPC ソリューションの運用にクライアントにはそれほど大規模な IT 部門が必要なくなりました」と Humphrey 氏は言います。組織における規模拡大のたびに追加のサーバーを購入する代わりに、クラウドの規模変更に組織は数時間で適応できます。また、Numerix は Amazon EC2 スポットインスタンスを幅広く活用しています。これにより、ユーザーは Amazon EC2 オンデマンドの料金から最大 90% の割り引きで、フォールトトレラントなワークロードを実行できます。Amazon EC2 スポットインスタンスとサーバーレステクノロジーを使用して、Numerix は大幅なコスト削減を実現しました。

Numerix は、より多くのクライアントのクラウドへの移行を求めて、主要な配信および運用フレームワークとして、SaaS (Software as a Service) モデルの拡大に取り組んでいます。「AWS は膨大なサービスと機能を提供します」と Humphrey 氏は言います。想定される最悪のケースに備えてハードウェアを準備する代わりに、クライアントは処理能力に応じて料金を払います。

これらの技術的強化は現実世界に影響を与えます。「私たちのクライアントは、10 億ドル規模の損失を回避するために私たちのリスク分析を使用しています」と Jockle 氏は言います。「AWS のほぼ無限のスケーラビリティで対応するリアルタイムに近い分析の導入は、大きな変革をもたらしました。」