AWS の使用により、迅速かつ効率的にオンラインの読者にサービスを提供できるようになり、需要を満たせるようスケーリングして読者により優れた機能を提供しています。
Rob Grutko 氏 The Seattle Times、技術担当ディレクター

1896 年に創業した The Seattle Times は、太平洋岸北西部でサービスを提供する、家族経営のニュースメディアビジネスです。The Seattle Times は、ジャーナリズムで最も権威あるピューリッツァー賞を 10 回受賞し、デジタルニュース報道では名誉の高い 2 つの Online Journalism Awards を受賞しました。Seattletimes.com は、毎月 700 万人近くのユニークな閲覧者を魅了し、その地域で最大規模のローカルデジタルネットワークとなっています。The Seattle Times の印刷版は西海岸で 2 番目に大きな新聞で、シアトルとその地域におけるニュースのアジェンダセッティングをするほどです。

オンプレミスのハードウェアとカスタム出版のソフトウェアを 20 年近く使用し続けた後、The Seattle Times では、ウェブサイト出版を最新のコンテンツ管理プラットフォームへ移行する方法を模索するようになりました。新しいハードウェアインフラストラクチャの入手と設定、およびその管理に必要なスタッフの費用を削減するため、当初は完全マネージド型のホスティングベンダーを選択しました。しかし数か月後、The Times のソフトウェアエンジニアリングチームは、管理責任の軽減と引き換えに、柔軟性と俊敏性を失っていることに気づきました。ホストされたプラットフォームでは、負荷が大幅に変動するときのトラフィックの管理に苦労しました。The Seattle Times のチームは、顧客の需要を満たすようにスケールアップすることができませんでした。

移行の取り組みを管理するソフトウェアエンジニアリングマネージャーの Tom Bain 氏は、「私たちは移行に踏み出したとき、かなり標準的なアーキテクチャを念頭に置いていました。ベンダー企業に当社のニーズに合わせてくれるよう依頼しましたが、独自のビジネスモデルを変えてまで当社の非常に特異なホスティングのニーズを満たすという考えには苦労したようです」と述べています。

これらの主要なスケーラビリティの問題に取り組むために、The Seattle Times のエンジニアリングチームは、いくつかの代替となるホスティングオプションを検討しました。その中には、オンプレミスのセルフホスティング、より柔軟性のあるマネージド型ホスティングオプション、およびさまざまなクラウドプロバイダーが含まれていました。利用できるクラウドのオプションが、必要な柔軟性、適切なアーキテクチャ、および希望するコスト削減を提供しているという結論に至りました。最終的にアマゾン ウェブ サービス (AWS) を選んだ理由は、製品提供が成熟し、最も重要なこととして、自動スケーリング機能がサービスに組み込まれていたためです。The Seattle Times の新しいソフトウェアは LAMP スタックに構築され、ネイティブの追加機能である Linux ベースのクラウドホスティングは新しいベンダーを選ぶ際に最適でした。

The Seattle Times では、AWS サポートのチームによってレビューされた概念実証と実装計画を開発しました。「当社のアーキテクチャを調べてから、AWS の推奨事項、ベストプラクティス、学んだ教訓がいくつかある ことを教えてくれました」 と、The Seattle Times の技術担当ディレクター、Rob Grutko 氏は述べています。「本稼働の準備ができるように、多大のサポートを提供してくれました」

希望するシステムアーキテクチャを実装し、AWS で選択したコンポーネントと設定を診断した後、The Times では、わずか 6 時間で新しいシステムをデプロイしました。ウェブサイトは AWS プラットフォームに午後 11 時から午前 3 時の間に移行され、最終テストは次の日のニュースに間に合う、午前 5 時までに完了しました。

Seattletimes.com は、AWS クラウドの論理的に分離されたセクション、Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) でホストされています。コンピューティング性能を自在に拡張および縮小できる Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)と、永続的なブロックレベルのストレージボリュームのために Amazon Elastic Block Store (Amazon EBS) を使用しています。Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) はスケーラブルなクラウドベースのデータベースとなり、Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) はデータの保管と取り出しが可能である完全冗長化インフラストラクチャを提供し、Amazon Route 53 は可用性とスケーラビリティに優れたドメインネームシステム (DNS) ウェブサービスを提供しています。

The Times では、大量の写真画像を配信するためにいくつかの Amazon S3 バケットの前に Amazon CloudFront を使用しています。Amazon CloudFront と Amazon S3 を組み合わせて使用し、The Times の読者に低レイテンシーかつ高速の転送速度で配信されるニュース記事に写真をはめ込みます。さらに The Times の新しい構成では、Amazon ElastiCache を "クラウドのインメモリキャッシュ" として使用します。また、The Times は AWS Lambda を使用して画像のサイズを変更し、デスクトップコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどの異なるデバイスにおける閲覧に対応しています。

AWS の使用により、The Seattle Times は、重要な記事が公表される際のウェブサイトトラッフィクの急上昇に急速に対応できるよう自動的にスケールアップできるようになりました。また、トラフィックが少ない期間には、コスト削減のためにスケールダウンできるようになりました。「自動スケーリングは、実際に決定的な要因となりました」 と、Grutko 氏は 述べています。「AWS の使用により、迅速かつ効率的にオンライン読者にサービスを提供できるようになり、需要を満たせるようスケーリングし、読者により優れたサービスを提供できるようになりました」

さらに、ニュースの画像は異なる閲覧環境向けに高速でサイズを変更できるようになったので、ニュース速報の記事が読者により速く届くようになりました。「AWS Lambda では、極めて高速に画像サイズを変更できます」と、Grutko 氏は言います。「以前は、10 個の異なるサイズに画像サイズを変更する必要がある場合、1 つずつ行う必要がありました。AWS Lambda を使用すると、10 個すべての画像が同時に作成されるので、かなり高速で、サーバー管理が不要になります」

避けられないシステム問題を修正するためにホスティングサービスに依存することなく、The Times ではバックエンド環境を完全に制御できるので、問題が発生するとすぐにトラブルシューティングできるようになりました。「問題が発生すると、内部を調べてトラブルシューティングできるので、ほとんどすべての問題は解決できます」と、Grutko 氏は言います。「これは当社の環境ですから、私たちがそれをコントロールします」

解決できない問題が発生するときは AWS サポートに信頼を寄せています。「AWS サポートチームと一緒に実践的な大変良い経験ができました」と The Seattle Times のシニア開発エンジニア、Miles Van Pelt 氏は言います。「質問に答えるために、また私たちが AWS の膨大なドキュメントの中から簡単に見つけられなかったトピックを探すために、AWS サポートチームが尽力していることを本当に感じました」

AWS を選択することで、The Seattle Times は最先端のデジタルニュースメディア企業になるという目標において好位置につけるようになりました。「AWS への移行によって、費用や大量の物理ハードウェア需要が発生することなく、ジャーナリズムの役割をサポートするために必要な俊敏性と柔軟性を得ることができました」 と、Grutko 氏は言います

AWS を使用してクラウド内でウェブサイトを実行する方法については、ウェブサイトとウェブサイトホスティングの詳細ページを参照してください。AWS Lambda を使用してリアルタイムのファイル処理を実行する方法については、サーバーレスコンピューティングの詳細ページを参照してください。