Thomas Publishing の導入事例
2016 年
1898 年創業の Thomas Publishing Company は、世界中の製造業におけるバイヤーとサプライヤーを結び付ける企業です。購入者向けには、産業製品やサプライヤーに関する、タイムリーで包括的なコンテンツとデータを提供しています。サプライヤー向けには、販売パイプラインを満たし市場での露出度を高めるための、独自の技術とプラットフォームを提供しています。Thomas では、購入ガイドや雑誌などの紙媒体のコンテンツを提供しているほか、購入者とサプライヤーを結び付けるウェブサイト、ThomasNet.com も運営しています。
AWS に移行したことにより、当社最大のデータセンターを閉鎖できました。関連する不動産や施設運営、電力供給、冷却などに費やしていた数十万ドルものコストを削減できたのです」
Hans Wald 氏
Thomas Publishing、最高技術責任者
課題
競争力を維持するために、Thomas Publishing では次々と新製品を発売できるよう全力で取り組んでいます。しかし、より迅速な市場投入を実現する俊敏性を必要としていました。
「当社はかつて、オンプレミスのデータセンターに依存していたのですが、その運用に伴う費用、そして製品の稼働率を高く保つためのコストを削減したいと感じていました。自社のデータセンターに資金を費やすのではなく、製品の改善により多くの投資をしたかったのです」と Thomas Publishing の CTO、Hans Wald 氏は語ります。
同社では、Oracle E-Business Suite (EBS) アプリケーションのアップグレードも望んでいました。「アップグレードをサポートする一時的な新環境の構築が必要なことは理解していましたが、それを実現するために新しいハードウェアを調達したくはありませんでした」と Wald 氏は語ります。
同様に、Thomas では、物理的なハードウェアに投資することなく、追加の Oracle アプリケーションおよびデータベーステクノロジーが持つパフォーマンスを高めるために、より新しいインフラストラクチャをより上手な方法で活用する必要がありました。「Thomas では、中核をなすコンテンツ管理公開システムを Oracle に依存しているのですが、製作スケジュールや処理時間の短縮に対する需要は急速に高まっています。最高のインフラストラクチャを使うことで、Oracle CPU ライセンスをスケールアップすることなく Oracle を最大限活用することが可能になりました」
アマゾン ウェブ サービスが選ばれた理由
自社の Oracle 環境のアップグレードを円滑に進めながら、運用コストとメンテナンスの必要性を抑えるために Thomas が選択したのは、アマゾン ウェブ サービス (AWS) クラウドプラットフォームでした。「サービス内容、そしてプラットフォームの柔軟性という観点では、AWS は当社にとって突出して魅力的な選択肢でした」と Wald 氏は語ります。
AWS への移行を決めた Thomas には、Apps Associates が紹介されました。Apps Associates は、ビジネスと IT のグローバルなサービスを提供する AWS プレミアコンサルティングパートナーです。「すばらしいことに、Apps Associates は、Oracle データベースやアプリケーションの AWS 移行経験が豊富でした」と Wald 氏は語ります。
Apps Associates の最初の仕事は、Thomas による Oracle EBS プラットフォームの AWS への移行をサポートすることでした。Thomas では現在、Oracle EBS を Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスで実行しています。同社はまた、Elastic Load Balancing を使用して、Amazon EC2 インスタンス全体のトラフィックを分散しています。
次に、Thomas では ThomasNet.com を AWS に移行しました。Wald 氏は「当社にとって初めてとなる AWS ソリューションは大きな成功を収めました。この成功により、自社環境の残りの部分を AWS に移行する自信が得られたのです」と語ります。
次いで、Thomas では、自社の重要なコンテンツ管理公開アプリケーションを Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) 管理の Amazon Aurora に移行することを決断しました。Amazon Aurora は、MySQL と互換性のあるフルマネージド型のリレーショナルデータベースエンジンです。プロビジョニング、パッチ適用、バックアップ、復旧といった Amazon Aurora のデータベースタスクは、Amazon RDS が管理します。
「Thomas は Aurora への移行を望んでおり、データベーススキームとデータの移行については心配していませんでしたが、コードの移行には懸念がありました。異なるアプリケーションサーバーで実行可能な形式に、コードをリファクタリングする必要があると考えていたのです」と Wald 氏は語ります。
Apps Associates は長年の経験と Oracle に関する高度な専門知識を基に、独自の移行ツールを開発しました。これらのツールに加え、Amazon RDS 移行ツールおよび AWS Schema Conversion Tool (共に AWS Database Migration Service の一部) を利用することにより、Apps Associates は、Thomas Publishing のコンテンツ管理公開アプリケーションスキーマ、データベース、コードを Aurora 向けに変換することに成功しました。
「AWS Schema Conversion Tool を使用したデータの移行は、シームレスで簡単なものでした。コードの移行は複雑な作業でしたが、移行に必要な手作業の量は、明らかに想定よりも少なく済みました」と Wald 氏は語ります。
利点
AWS に移行して以来、Thomas Publishing はコストの大幅削減に成功しています。「AWS への移行により、当社最大のデータセンターを閉鎖できました。関連する不動産や施設運営、電力供給、冷却などに費やしていた数十万ドルものコストを削減できたのです」と Wald 氏は語ります。
同社はまた、新製品を迅速に市場投入するための俊敏性も手に入れました。「これまでは、新製品の情報を公開する新規ウェブサイトを立ち上げる場合、インフラストラクチャの設計、ハードウェアの調達、実装やプロビジョニングといった作業に多大の時間を費やしていました。AWS を利用することにより、社内開発者は各種リソースをフル活用し、これまで数週間かかっていた新規ウェブサイトの立ち上げを 1 日で行うことができます。その結果、新製品の情報をいち早くお客様にお届けすることが可能になりました」と Wald 氏は語ります。
さらに、Thomas では重要なアプリケーションの Aurora 移行を簡単に達成できました。これをサポートしたのが、高度な専門知識を持つ Apps Associates、そして、Amazon RDS 移行ツールおよび Schema Conversion Tool です。「Apps Associates は、コードを SQL Server から Aurora に移行させる Amazon の各種ツールを使用することで、当社にとってきわめて困難なプロセスとなったであろう作業を排除しました。さもなければ、新たなソリューションに向けて社内の SQL コードをすべて書き直すという、長い時間と大きなコストを要する手作業を強いられたことでしょう」と Wald 氏は語ります。
現在、Thomas では、自社のアプリケーションを必要に応じて動的にスケールすることが可能となっています。「AWS を利用すれば、一晩中かかるバッチ処理に向けて、インスタンスサイズをスケールアップして処理能力を追加することができます。これはつまり、大きなリソースを使用した場合にのみ料金を料金を支払うということであり、サーバーの数を 2 倍にするようなコストはかかりません。クラウド内でリソースを動的にスケールする能力のおかげで、社内の柔軟性は大きく高まっています」と Wald 氏は語ります。
さらに最近になって、Thomas はウェブアクセスデータを分析するために、Amazon Redshift の利用を開始しました。「Amazon Redshift でアドホック分析を行っていますが、非常にうまく機能しているので、利用を拡大するつもりです」と Wald 氏は語ります。同社では、Oracle から AWS へのデータ移動を継続することも検討しています。「Oracle のアプリケーションとデータベースをさらに移行させることは、既に当社のロードマップに組み込まれています。Apps Associates と協力して作業に取り組んだことで、当社にできることが見えてきました。Thomas はまだ、クラウド移行の第一歩を踏み出したばかりです」と Wald 氏は語ります。
Thomas Publishing について
1898 年創業の Thomas Publishing Company は、世界中の製造業におけるバイヤーとサプライヤーを結び付ける企業です。購入者向けには、産業製品やサプライヤーに関する、タイムリーで包括的なコンテンツとデータを提供しています。
使用されている AWS のサービス
Amazon EC2
Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。デベロッパーがウェブスケールのクラウドコンピューティングを簡単に利用できるように設計されています。
AWS Database Migration Service
AWS Database Migration Service を使用すると、データベースを短期間で安全に AWS に移行できます。移行中でもソースデータベースは完全に利用可能な状態に保たれ、データベースを利用するアプリケーションのダウンタイムは最小限に抑えられます。
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Elastic Load Balancing
Elastic Load Balancing は、アプリケーションへのトラフィックを複数のターゲット (Amazon EC2 インスタンス、コンテナ、IP アドレス、Lambda 関数など) に自動的に分散します。
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Amazon RDS
Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) を使用すると、クラウド上のリレーショナルデータベースのセットアップ、オペレーション、スケールが簡単になります。
Amazon Aurora
Amazon Aurora は、MySQL および PostgreSQL と互換性のあるクラウド向けのリレーショナルデータベースであり、従来のエンタープライズデータベースのパフォーマンスと可用性に加え、オープンソースデータベースのシンプルさとコスト効率性も兼ね備えています。
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開始方法
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