TNEX、AWS でベトナム初のデジタル銀行を 9 か月でローンチ

ベトナムはファイナンシャルインクルージョンの促進に懸命に取り組んでいます。2020 年、政府は 2025 年までに成人人口の 80% が銀行口座を持つという目標を達成するための戦略を導入しました。デジタルテクノロジーの発展により、モバイルバンキングアプリケーションはファイナンシャルインクルージョンの取り組みにおいて重要な役割を果たしてきました。これにより、銀行は物理的な本社や支店がない場所でも顧客にリーチできます。

TNEX は、小売消費者およびマイクロマーチャント向けのベトナム初のデジタルネイティブモバイル銀行です。2020 年 12 月に立ち上げられた同行は、バックグラウンドで動作する銀行サービスを自社のアプリケーションのライフスタイル機能に組み込んで提供することで、優れたカスタマーエクスペリエンスを生み出すことに重点を置いています。TNEX の小売顧客は、毎日気分や歩数を記録して健康的なライフスタイルを促進し、絵文字を使った個人財務管理機能を使用して簡単に資金を管理できます。また、TNEX のマーケットプレイスから適切な金融商品を選択したり、友人とチャットして送金したりすることに加えて、電話へのチャージや毎月の請求書の支払いを行うことができます。これらの操作はすべて数回のタップだけで完了します。

同社はまた、中小企業 (SME) マーチャント向けに個別のアプリケーションとバンキングシステムも提供しており、無料のウェブサイト作成を含むサービスパッケージや、請求/現金管理、製品在庫、キャンペーン管理などのシステムを含むサービスパッケージでビジネスをサポートしています。TNEX は、2021 年 12 月までに小売顧客 25 万人、登録中小企業 2 万社という初年度の目標を達成する見込みです。 

テクノロジーロードマップを設計する際、TNEX はスケーラビリティ、セキュリティ、および可用性を優先しました。同行の創業者たちが Amazon Web Services (AWS) を選んだのは、市場での優れた評判、Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) などのすぐに使える幅広いサービス、および請求書よりも顧客へのこだわりという共通の価値があったからです。同行は、AWS クラウドをフェイルファストテストモデルによるイノベーションの実現要因と捉え、人件費を低く予測可能な状態に保つ AWS の従量制料金モデルを高く評価しています。

市場投入までの時間を短縮するために、TNEX は、規制に準拠したクラウドソリューションの構築に関する現地の専門知識を持つ AWS パートナーである TechX と契約しました。TNEX は TechX と緊密に連携して、わずか 9 か月でデジタル銀行を開発しました。これは、従来動きの遅い銀行業界では目覚ましい成果でした。TNEX の共同設立者兼最高経営責任者である Bryan Carroll 氏は、「AWS を使うと、実績のあるアーキテクチャを入手できることがわかっているので、インフラストラクチャ、セキュリティ、スケーラビリティについて心配する必要はありません。AWS クラウドがなければ、9 か月で 168 のデータフローを稼働させることはできなかったでしょう」と語っています。

TNEX のアプリケーションは、同じく AWS ネイティブである Mambu の Software-as-a-Service クラウドバンキングプラットフォームを使用しています。Amazon ECS を使用したマイクロサービスとコンテナオーケストレーションは、スケーラブルで論理的に分離されたインフラストラクチャを 1 年足らずで構築するための鍵でした。 

コンテナ化には、アプリケーションを高度に分離できるという利点もあります。これにより、サイバー脅威に対する耐障害性が向上します。TNEX は、TechX および AWS ソリューションアーキテクトとともに、複数の認証レイヤーと保管中および転送中のデータの暗号化を備えた AWS Landing Zone を設計しました。このスタートアップ銀行は、指定されたセキュリティグループを備えた AWS WAF – Web Application Firewall と AWS Key Management Service (AWS KMS) を使用してアプリケーションキーを管理しています。Carroll 氏は、「AWS では、すべての機密データがセグメント化され、制御され、暗号化されます。たとえある程度侵害されたとしても、私たちのアーキテクチャは、データ漏洩を防ぐためにすべてが匿名化、トークン化、暗号化されるように設定されています」と語っています。

TNEX は、設計段階のセキュリティに加えて、データチームに頼ってシステムをリアルタイムで監視しています。データは同社のビジネスモデルの中核であり、データサイエンティストは Amazon CloudWatch と Amazon GuardDuty を使用して、不正行為を示唆する可能性のある逸脱を検出しています。コンプライアンスに関しては、ベトナムの規制当局はデータの分類と主権に関する明確な規則を定めています。AWS アジアパシフィック (シンガポール) リージョンを利用することで、TNEX はベトナムのデータ主権規制に準拠しています。TechX は、スタートアップがリスクを評価して管理し、ビジネスに合わせてスケールするコンプライアンス統制を実装するのを支援するのに尽力しました。

AWS でローンチして以来、TNEX はダウンタイムを経験していません。このスタートアップは、高可用性と耐障害性を保証する AWS のマルチ AZ アーキテクチャの恩恵を受けています。TNEX コンポーネントは、システム負荷が 200～ 300% 増加する可能性のある顧客獲得キャンペーン中のトラフィックの急増に対応して、AWS 上で自動スケールするように設定されています。AWS を選択したことで、TNEX はセキュリティ、スケーラビリティ、可用性という最優先事項に対応し、コストを抑えてそれを実現しました。

Carroll 氏は、「AWS とオンプレミスインフラストラクチャの違いは、AWS では必要なすべてのツールをすぐに利用できることです。大規模な設備投資を行うために、設置したり、承認を求めたりする必要はありません。私たちはこのようなローコードタイプの環境で業務を行っているため、大変な作業のほとんどはローンチ前に完了しており、ビジネスの迅速な拡大に集中できます」と語っています。 TNEX は今後 5 年間でベトナムで 3,000 万人の小売顧客を獲得することを目指しているため、これは非常に重要です。

このスタートアップは、AWS での立ち上げ以来、コストを安定させることにフォーカスしており、現在、顧客獲得と同じペースでコストが増加しないように、TechX とコスト最適化戦略に取り組んでいます。TNEX は、一部の固定ワークロードを Amazon EC2 リザーブドインスタンスに移行し、中長期的には Compute Savings Plan を採用しています。ターゲット顧客は月平均 1,700 USD を稼いでいるため、TNEX は常にオートメーション、高度なアーキテクチャ、データサイエンスを通じて価値を高め、品質を損なうことなく顧客に収益性の高いサービスを提供することを目指しています。

TNEX の取り組みは認められてきています。このスタートアップは最近、International Finance Magazine によってMost Innovative New Digital Bank Vietnamに選ばれました。また、アプリストアでも圧倒的に好評を博しています。TNEX は、アプリケーションに感情的な側面をもたらす「ハピネスメーター」など、お客様の生活をさらに豊かにするための機能を定期的に展開しています。

スピードは引き続き重要であり、創設者たちは、AWS、TechX、Mambu のコアバンキングプラットフォームによる合理化された 3 つの力を認めています。Carroll 氏は、「AWS は、当社のビジネスに適した統合機能を備えたトータルパッケージを提供してくれ、変化の激しい市場での迅速な対応を可能にしています」と締めくくっています。  

詳細については、aws.amazon.com/startups/FinTech にアクセスしてください。