オーストラリアの国立科学研究所として、Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation (CSIRO) は、85 年以上にわたって最先端での可能性を推進してきました。現在、この学際的な研究団体には、オーストラリア国内および海外に 55 のセンターがあり 5,000 人を超える職員が働いています。この団体は、オーストラリア国内の革新システム内でのコラボレーションを強化する重要な役割があり、政府、産業、および科学コミュニティの信頼できるアドバイザーとしても機能しています。22 分野のうち 14 の分野において世界の研究機関の上位 1% に入っており、4 つの研究分野において、上位 0.1% に入っています。全体としての、CSIRO の革新性および優秀性が世界のトップ 10 に入る応用研究研究所としての地位を築いています。

Black Dog Institute (BDI) は、2002 年に設立されたオーストラリアの非営利研究団体で、あらゆる気分障害患者の診断、治療および予防に取り組んでいます。この団体では、精神衛生に関する問題について専門家および一般市民を教育することを目的としており、ウェブサイトを通して、ファクトシートやアンケートを含む幅広い資料を提供しています。例えば、オーストラリア全土の一般的な療法士は患者に BDI のオンライン気分診断プログラム (MAP) を紹介します。これは、性格タイプを分析し、不安障害、双極性障害、およびさまざまな臨床的うつ病の亜型を識別するのに役立ちます。9 人の取締役、12 人のコンサルタント精神科医、および多数のサポートスタッフと協同することで、BDI は引き続き成長を遂げ、精神衛生分野をリードする専門家を引き寄せ、それらの専門家と協力して新たな助成金と栄誉を獲得してまいります。2013 年、BDI の専務取締役である Helen Christensen 教授は、Australasian Society for Psychiatric Research より誉れの高い Founders Medal を受賞しました。

2014 年 5 月より、BDI は CSIRO と協力して、研究をソーシャルメディアの使用に広げ、感情の変化を大規模にモニタリングすることにしました。We Feel 研究は、大量のデータサンプルを利用するようになり、これには、毎日 Twitter に投稿される何億ものツイートも含まれます。CSIRO はこの研究を Black Dog Institute に提案し、BDI は CSIRO がこれを導入する前にコンセプトを改善しました。

ボストンのノースイースタン大学で実施された以前の研究によると、ツイートの内容と構成を分析して投稿者の感情状態を判別できるということでした。例えば、Vermont Complex Systems Center 大学の研究では、Google ブックス、ニューヨークタイムズの記事、および Twitter メッセージを含む幅広い情報源で頻繁に使用される 5,000 語をまとめました。これらの語は、1 (悲しい) から 9 (ハッピー) でランク付けされ、米国住民の幸福度とニュース速報の内容との関係をマッピングするために使用されました。

We Feel 研究の設計者は、この基本アプローチを、公開されていてアクセス可能な毎分約 19,000 のツイートに適用し、大量の感情に関係する用語に利用することを考えていました。研究者は、この研究が、天気、時間帯、および現在のニュースなどの社会的および環境的要因に感情がどれほど依存しているかを理解する助けになることを望んでいました。

この目標を達成するため、研究の設計者は 3 つの主な課題に取り組む必要がありました。1 つ目の課題として、大量にデータを受信すると、リアルタイムでツイートを収集し、結果を分析するために、大きく柔軟な容量を持つコンピューティング能力が必要になりました。2 つ目の課題は、安全にデータを取得して、長期間にわたるパターンを測定し公開できるようにする必要がありました。最後に、観察結果をわかりやすい方法で公開できるようにすることが重要でした。この目的で、ベルギーのゲント大学にある Center for Reading Research では開発された標準的感情レーティングのデータセットを利用した感情カラーコーディングシステムを使用して、リアルタイムで観察結果を視覚的に表現する方法を求めていました。

We Feel チームは、すぐにアマゾン ウェブ サービス (AWS) およびそのリアルタイムな Amazon Kinesis のデータ処理サービスに関心を示しました。CSIRO のデジタル生産性フラッグシップにおいて言語および社会コンピューティングの研究リーダーである Cécile Paris 博士は次のように語っています。「私たちは、必要としているプラットフォームと機能を AWS が提供できることを理解しており、AWS をこのプロジェクトにおける当然の選択肢としました」AWS でも、成果の多いパートナーシップの可能性を見て取り、豊富なサポートパッケージの一部としての製品を含め、このプロジェクトを支援することを決定しました。

We Feel では、複数の Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスを使用して、毎分平均 19,000 ツイートを Twitter の公開 API から取得します。個別の Amazon EC2 インスタンスは、ツイートを処理し、ユーザー名を分析して性別を特定し、感情を表す内容のフレーズを識別します。この情報は、Amazon Kinesis ストリームに送信され、それらのツイートはスケーラブルな Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) に保存用にコピーされます。このストリームは、5 分ごとに結果概要を生成して、それを Amazon DynamoDB データベースに複写する別の Amazon EC2 インスタンスによってモニタリングされます。CSIRO のソフトウェアエンジニア兼研究プロジェクト担当者である Brian Jin 氏は、ネットワークに異常な動作がないかモニタリングすることができる Amazon CloudWatch を使用して定期的に各インスタンスを確認します。最後に、Amazon Route 53 を使用して、受信ウェブトラフィックを AWS でホスティングされている We Feel ウェブサイトに転送します。

CSIRO からの継続的な資金供給を受け、現在 We Feel チームでは AWS を使用して数億件のツイートを分析してから結果をウェブサイトで公開しています。その結果、大規模かつ人口統計学的に多様な集団の感情の状態についての、画期的な深い理解が得られるようになりました。ウェブサイトの閲覧者は、結果を性別、場所、および感情特性ごとに掘り下げることができます。現時点では、喜びから恐怖まで 6 つの主要な感情カテゴリ、および楽天的や神経質といったさらに細やかな感情の状態のサブカテゴリが存在しています。

Paris 博士は、次のように語っています。「これはすばらしいツールです。AWS を使用することで、わずか 2、3 か月でアプリケーションを展開し、実行することができました。現在では、リアルタイムで数百万ツイートを分析できるようになっています」

We Feel では巨視的な視点を提供して、研究者が感情の変化をその社会的な背景と関連付けられるようにしています。Paris 博士は、次のように語っています。「例えば、2014 年のオーストラリアの連邦予算発表前後での興味深い感情の変化を観察することができました。それに続く 1 週間、恐れを示すツイートが 30% 増加し、怒りを示すツイートが 27% 増加しました。この種の分析は、これまで行われたことはありませんでした」

重要なこととして、AWS のコンピューティング能力の使用によって、研究者は IT インフラストラクチャの回復力を心配することなく研究結果に注力することができます。Jin 氏は、次のように語っています。「2014 年 5 月、トラフィックのピークを経験し、1 日で We Feel ウェブサイトに 28,000 人の閲覧者が訪れ、月に 70,276 人の閲覧がありました。ただし、まったく遅延は発生しませんでした。これまでほぼ 100% の稼働率を経験しており、オフラインになった 1 日はスケジュールされたネットワーク再設計によるものでした」

Jin 氏は、特に Amazon Kinesis に熱心であり、リアルタイムで大量のツイートを収集し注釈を付けるのに必要な俊敏性を評価しています。「受信データのためにシステムが圧倒されてしまうのを心配していましたが、これらの容量の変化に起因するシステム障害はまったく発生していません」と語っています。「Amazon Kinesis を使用して 24 時間バッファを続けることにより、本質的な耐障害性が実現しました。実際、耐障害性について心配する必要はほとんどなくなりました」

We Feel チームは、この研究業務にさらに投資を行い、Twitter ロケーションデータをより適切に使用できるようにして、ロケーションと感情状態の関係を分析する道を整えていく計画をしています。最終的には、統計の母集団の感情の変化の「時間、理由、および場所」に対する理解を深めることで、BDI などの組織がより正確に精神衛生情報およびサービスに注力できるようにします。これにより、患者が最も必要としているタイミングで患者への精神衛生ケアを向上できるようになります。

Christensen 教授は、次のように語っています。「AWS プラットフォームで提供されている能力および柔軟性をなくして、このプロジェクトを簡単に実現することはできなかったでしょう。達成することができた結果は、私たちの予想をはるかに超えるものでした」

ヘルスケアプロバイダーで AWS が使用されている方法の詳細については、AWS ヘルスケアの詳細ページを参照してください。