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第20回情報危機管理コンテスト チームC01UMBAへのインタビュー
2025 年 5 月 23 日に開催された「第20回情報危機管理コンテスト」決勝戦にて AWS 賞を受賞したチーム C01UMBA(コルンバ)の皆様にインタビューを行いました。
今回の情報危機管理コンテストでは、AWS 上に構築されたシステムを舞台として実践的なセキュリティインシデント対応が行われました。C01UMBA は名古屋工業大学の学生 4 名で構成された新人中心のチームでありながら、Amazon S3 や Amazon Athena を駆使し、優れたチームワークと的確な対応で AWS 賞を受賞しました。
C01UMBA の皆様から情報危機管理コンテストへの参加の経緯、研究室を選択したきっかけやコンテストへの準備など、これまでの活動についてお聞きすることができました。インタビュー記事を通してコンテストで得た学び、これからのクラウドやご自身のキャリアイメージなどをお伝え出来ればと思います。

(写真左から)
C01UMBA
名古屋工業大学 情報工学科 齋藤・掛井研究室
情報工学科 学部 4 年 滝本 那奈 氏
情報工学科 学部 4 年 平山 洪 氏
情報工学科 学部 4 年 奥井 真二郎 氏
情報工学科 修士 1 年 東 政澄 氏(リーダー)
コンテストに参加したきっかけ
AWS : 今回の危機管理コンテストに参加するきっかけをお聞かせいただけますか。
滝本 : 研究室で代々参加しているコンテストだったので、その流れでというのと、自分自身もネットワークの知識が弱かったりしたので、勉強したいなという意識があったので参加しました。
平山 : 私も同じく、勉強の糧にしたかったというのと、実務経験もほとんどない状態でしたので、監視とか、ログの異常とか、どうやって見分けられるようになりたいかということも考えつつ参加しました。
奥井 : 研究室で出るっていうのもあって、それがきっかけではあるんですけど、学部 3 年の時に少しだけ就職活動したのですが「挑戦したこと」を聞かれた際、自分にはそのような経験が少ないことに気づきました。この気づきをきっかけに、技術的なことも含めていろいろ挑戦したいと考え、コンテストに参加しました。
東 : 昨年参加し、このコンテストから得られる学びとして大きいものがいろいろありました。もう一度参加する機会があったので、それなら最後に参加して、知識を深めたいなと思い参加しました。
研究室選びのきっかけ
AWS : 所属している研究室がコンテスト参加の一つのきっかけとのことですが。研究室をどのように選んだかお聞きできますでしょうか。
滝本 : 研究室配属の時期が 10 月で、色んな研究室に行ったり悩んでたんですけど、ちょうどその時期に選んだ研究室の教授がやっているセキュリティ系の授業があって、それが面白かったので、ここにしようと思いました。
平山 : 研究室としてセキュリティをメインにやっているところっていうのがここの研究室しかなくて、講義で学ぶ上でいろいろなことを実務的にやれると感じたのと、侵入検知や、ブロックチェーンを含めた様々なセキュリティのことを経験することが他の研究室にはない特徴だったので、この研究室に入ろうとしました。
奥井 : 名古屋工業大学のセキュリティやってる研究室がここしかなくて、学部時代に応用情報とか資格試験に力を入れていて、応用情報は問題が選択出来るのですが、セキュリティだけは必須だったことから、セキュリティは重要だと思う様になり、それから興味を持ちました。
東 : 中学高校とセキュリティに興味があり、大学の学部を選んだ理由も、情報工学に行けばセキュリティを学べるからでした。ずっとセキュリティがやりたくて、ここに来たという感じです。セキュリティをやっていったら、社会に携われる、貢献できると思って選びました。
コンテストへの取り組み

AWS : 研究室でのコンテストに対する取り組みを教えていただけますでしょうか。
東 : チーム編成の話からすると、去年私は同学年の他のメンバーと参加して、今回は後輩 3 人と参加という形です。このチームは、新人がどれだけの高みを目指せるかという、挑戦のチームという感じです。
平山 : もともと 4 人の学部 4 年生の人がいて、それを 2 人ずつで分けるか、それとも 3 と 1 で分けるかで考えていて。優勝を狙う為に、3 と 1 に分けて、上手いこと育成も含めて兼ねて、次に入った 学部 4 年生の育成がやりやすくなると考えて、結果的に今のチームの編成になりました。
AWS : コンテストでは「電話対応」というリーダーシップと技術的な判断をマルチタスクに求められる役割があると伺っています。今回、電話対応は東さんが担当されていましたが、役割分担は他のメンバーから見てどうでしたか。
平山 : 結構適切だったと思います。というのも二次予選で私が電話対応をしていましたが、結構パンクしてしまったので、それよりも規模が大きい決勝の状況になると、テンパっちゃって、何もできなくなってしまう可能性が高かったので、やはり、任せて正解だったと思います。
滝本 : 予選や二次予選の段階でもコマンドラインを覚えても使いきれない状況で、悩むことが多くあった。東さんに適切にポジション振り分けてもらい感謝しています。
東 : 今回のメンバーは文書作成、技術担当でそれぞれ強みがあることが分かったため、シングルタスクに持ち込めばいけると判断したため、決勝戦では僕が司令塔という立ち回りで進めました。
技術的な準備

AWS : 研究室のコンテストに対する取り組み、テクニカルな部分での対策したというエピソードはありますでしょうか。
滝本 : 研究室に代々受け継がれてるコマンドライン操作やコマンドをまとめたシートがあったり、あとは実際に攻撃して、それに対応するっていう環境が整えられてたりしていました。先輩方もその環境を使って、学部 4 年生の練習するのに結構な時間付き合ってくださっていました。
東 : 1 週間に 2 回やれればいいかもぐらいですね。合計で 4 回程度練習して本番に挑みました。
奥井 : 個人的に練習した後に課題と思ったのが、原因の特定です。絶対的な証拠を見つけることさえできれば、後は調べたりなんなりできる。チートシートに書いてあるコマンドの意味を理解することや、複数あるオプションの意味を調べたり、状況によってどんなコマンドを使うのかを調べて、勉強していました。
クラウドへの所感
AWS : 今回初参加の方は、初めてクラウドに触られたということでしたが。クラウドに感じる可能性があれば教えていただけないでしょうか。
平山 : S3 が今回題材に出されたというのもありますが、クラウドには様々なログが集積されて、データも大量に保存されているところが沢山あり、可能性という意味では、そういったログを全て確認できれば、インシデントが起きた時には楽になるとは感じました。
東 : 僕の中で S3 は倉庫のイメージがあって。S3 がログのストレージとして使われていますが、ログの中身を可視化して欲しい際に、他の AWS のサービスを利用することを考えて、これは良いと思い採用を検討したのが、Athena でした。
例えば、S3 が何でも出来るというのは良くないと思っていて。可視化をしようとした時に S3 を使った範囲内でちゃんと使いやすくしてる工夫が個人的には印象に残っていました。
奥井 : コンテストでは、(課題解決をする為に)その何かの機能を追加してくださいという問題だったんで、普通にオンプレミスでやってたら、簡単に機能を追加することは難しいのですが、クラウドでは気軽に機能を追加出来る。これはすごいと思っていました。ただ種類が多すぎて、時間内で自分たちだけで調べてというのには時間が掛かりました。
将来のキャリアイメージ

AWS : 将来のキャリアイメージとして、将来やりたいことについて、お話をお聞きしたいと思います。
滝本 : 学部 3 年生の時に、学部で卒業しようと思っていました。本格的に就活をやってきたつもりだったんですけど、いろいろな企業を見ても、自分が何をやりたいか一番大事なところが全然見えてこなかった。そのような経験から大学院に進んで、もっといろいろなことを学んだり、今回のコンテストや大会に積極的に出て、視野を広げたい。専門性を磨きたいです。
平山 : 今はキャリアイメージは明確にないが、現在の研究室に配属になり、いろんなことをやりながら、まだ自分には経験というものが足りないという風に感じた。大学院に進んで、その後も資格を受けながら、色んな経験をこなしていくことによって、キャリアプランを探しています。
奥井 : 明確な目標としては、プロフェッショナルというか一つのことに誰にも負けない、自信を持って、自分にしか出来ないことを出来る人になりたいというのが、目標ではあります。
東 : いろいろな経験の中で二つ決まっていて、一つがセキュリティに関する仕事に携われること、もう一つが、人に携われること。今回の教える立場に立った中で、楽しいと思えたのが一つ、セキュリティに携わることも面白い。近い業種でいうと CSIRT かもしれない、顧客対応ができるキャリアを歩んでいけたら良いと思っている。技術的なところは大学の研究を通して学んでいければと考えている。人に携わるところはコミュニケーションを通じて伸ばしていければと考えています。

おわりに
チーム C01UMBA の皆様、お忙しい中インタビューに快く対応いただきありがとうございました。
このブログは、2025 年 11 月時点の情報に基づいて ソリューションアーキテクト 深井 宣之 が執筆しました。