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コスト配分タグを用いた効率的なコスト管理
みなさん、こんにちは。アマゾン ウェブ サービス ジャパン、プロダクトマーケティング
シニアエバンジェリストの亀田です。2020年最初の投稿は、コスト配分タグについてです。複数プロジェクトや複数チームでAWSを利用する際にとても便利な機能ですが、設定箇所が多岐にわたるため、利用に逡巡されている方もいらっいしゃるのではないでしょうか。
コスト配分タグとは
アカウントを運用している際に、予算の管理や課金の管理者として、環境、
システムや部門、プロジェクトごとに利用料を把握したいと思ったことはないでしょうか。
AWSのコスト管理の運用に役に立つツールの1つであるコスト配分タグをご紹介いたします。
また今回はタグを活用して、請求レポートやコストエクスプローラーで
それぞれにかかったコストを管理する方法についてご紹介いたします。
まず初めに、コスト配分タグは(AWS 生成コスト配分タグ / ユーザー定義のコスト配分タグ)の2種類あります。
AWS 生成コスト配分タグはAWSにより自動で設定されるため利用は簡単です。今回の記事ではお客様にて定義できる、ユーザー定義のコスト配分タグについてご案内します。
まず、コスト配分タグとは、AWS リソースに付ける名前のようなものとイメージいただければと思います。
図のように、タグはそれぞれ、1 つの “キー” と 1 つの “値” の組み合わせ構成されており、どちらもお客様が名前をつけます。
EC2インスタンスなどのリソースにタグをつけることで、コストエクスプローラーや請求レポートにおいてお客様で設定したタグ別に利用料金を出力することができます。
例えば、システム開発部で複数の開発案件があり、同じアカウントでそれぞれ複数のEC2インスタンスを使っているとします。
案件Aには「コストA」、案件Bで使用するものには「コストB」というタグをつけておきます。
そうすることで、同じEC2のコストでも案件AとBで分けて確認することができます。
案件ごと、開発環境ごとといった任意の単位に分けてコストの管理ができるので、
コスト内訳を詳しく知りたい場合は活用してみると良いかと思います。
なお、タグは現状すべてのサービスをサポートしておりません。お客様がご利用のサービスにてタグを使用可能かどうかにつきましては、対象サービスのドキュメントよりご参照ください。
また、「タグをサポートすること」と「タグによるコスト配分ができること」は別になります。 タグ付けはできますが、コスト配分タグとしては利用できないものもあります。
そのため、ご利用のサービスがコスト配分タグに対応しているかどうかについても、対象サービスのドキュメントをご参照いただき、ご不明な場合はお問い合わせをお願いいたします。
上の図は個々のインスタンスからタグを付与する方法ですが、タグは黄色で囲われている部分のように「キー(Key)」と「値(Value)」のセットで付与できます。また1つのリソースに対して複数のタグを同時に付与することも可能です。またタグの利用においては制限がありますので、詳細は表示されているリンクの公式ドキュメントを参照ください。
参考 – タグの制限
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AWSEC2/latest/UserGuide/Using_Tags.html#tag-restrictions
次にRDSですが、少々表示は異なるもののRDSもEC2と同様にコンソール画面からタグを付与することができます。
もしタグを付与したEC2と同じ請求グループとして管理されたい場合には、先ほどのEC2とまったく同じものを付与いただきます。
そうすることで同じタグが付与されたEC2とRDSリソースを、サービスをまたがってコストを確認することができます。
参考:Amazon RDS リソースのタグ付け
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AmazonRDS/latest/UserGuide/USER_Tagging.html
タグのアクティブ化
なお、先ほどEC2とRDSに設定したタグですが、このままではAWSの請求レポートやコストエクスプローラーには表示されません。
設定したタグを表示するには、お客様にてタグをアクティブ化する必要があります。
注意点としてコスト配分タグは「既に何かしらのリソースに付与されているタグキー」がここで表示され、選択することになるので、全く利用されていないキーをここで有効化することはできません。
つまり、先に「何らかのAWSリソースにタグを一度付与してから」、コスト配分タグページでアクティブ化を行って頂く必要があります。
また、アクティブ化を実施後、タグが実際に有効になるまでに最大 24 時間かかることがあります。予めご了承ください。
参考:ユーザー定義のコスト配分タグのアクティブ化
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/awsaccountbilling/latest/aboutv2/activating-tags.html
また、タグのアクティブ化の操作は請求を管理するアカウントで実施する必要があります。
つまりOrganizations、一括請求を利用している場合には、「マスターアカウント」での設定が必要となります。
Organizationsの場合、マスターアカウント、メンバーアカウント問わずコスト配分タグを「作成」したりリソースに付与いただくことが可能でございますが、
メンバーアカウントはコスト配分タグページにアクセスできないため、実際にそのタグをアクティブ化することはできません。
メンバーアカウントで作成したタグはお時間を要しますが、マスターアカウントのコスト配分タグページに表示されるようになりますので、メンバーアカウントにかわり、マスターアカウントで別途タグを有効化いただく必要がございます。
では実際に付与したタグをコストエクスプローラーや請求レポートでみてみましょう。
コストエクスプローラーのグラフでは、設定したタグを使ってグラフに表示する値を簡単に絞り込むことができます。
画面真ん中のグループ化の条件でも、画面右のフィルタからでもタグを選択しグルーピングいただけます。
なおここで注意点となりますが、タグは有効化以前に遡って表示されません。
またタグのアクティブ化後、コストエクスプローラー上に表示されるまで24時間以上かかる場合があります。
タグがサポートされている「コストと使用状況レポート」を使ってもタグ別にコストを確認することもできます。
なお、レポート上でタグを付与したリソースのコストを確認されたい場合には、タグを付与いただく前に コストと使用状況レポートを有効化いただく必要がございます。
コストエクスプローラーと同様、タグは有効化いただいた前に遡って表示させることはできません。
例として今回、タグのキーに「Test」、値に「Project1」「Project2」と設定したとします。
そのタグを付与したリソースで料金が発生していると、レポート上の表示ですが、キーがカラムである「resourceTags/user:test」といった形で表示され、
値の部分である「Project1」「Project2」はそのカラム内で確認いただけるようになります。
※ここではタグが表示されている箇所を一部抜粋しておりますので、タグが付与されていないリソースや発生料金もあわせて表示されます。ご安心ください。
このように、コストと使用状況レポートは、コストエクスプローラーよりさらに詳細にコスト管理されたい場合にとても有効かと思います。
またこちらのURLにコスト配分タグについてご紹介しているWebinar動画を公開しております。よろしければあわせてご確認くださいませ。
いかがでしたでしょうか。
このようにコスト配分タグ1つとりましても、理解すべき前提条件がいくつかございますが、
AWSの請求状況をお客様側で把握されるためには是非ご理解頂きたい機能となっております。
もしコスト配分タグについてご質問がございましたらお気軽にAWSカスタマーサービスまでお問い合わせいただければと思います。
– シニアエバンジェリスト 亀田