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クラウドパーキング : SP+ レガシーシステム マイグレーション

SP+のデジタル・インフォメーション&テクノロジー担当 シニア・バイス・プレジデント Chris Ratliff のゲスト投稿(ゲスト投稿とは、自サイト以外のサイトやブログに記事を寄稿すること)です。

SP+は、人、車、所持品などの効率的な動きを促進し、消費者の体験を向上させると同時に、顧客の利益改善を目的としたサービスプロバイダ企業です。私たちは、旅行業界やホスピタリティ業界において、さまざまな形で活動しています。例えば、北米全域で、駐車場管理に関するプロフェッショナルサービスを提供しています。私たちは、駐車場の収益性を最大限に高めると同時に、”parking.com” の、プラットフォームを通じて、駐車場利用者に楽しい体験を提供することを専門としています。また、空港、自治体、政府機関、企業のオフィスビル、ホテルなどに、シャトルバスサービスを提供しています。また、旅行には荷物がつきものです。私たちは、大手航空会社、クルーズ会社、リゾートホテルなどの、手荷物管理パートナーとして、より良い体験をしていただくために活動しています。

北米の航空、商業、旅行、ホスピタリティ、機関投資家向けにテクノロジー主導のモビリティソリューションを提供するリーディングカンパニーとして、私たちが初めてAWSに足を踏み入れたのは、ハードウェアや有線での繋がりを捨て、新しく輝くクラウドベースの世界に、真っ先に飛び込むという大胆な決定をしたときでした。レガシーシステムに、“さよなら” といい、柔軟性に富んだAWSを、導入しました。CEOとChief Growth Officer から、技術コストを、動的にコントロールすることが出来るという理由で、熱烈なサポートを受けた私は、ITチームと話し合いをしました。彼らは、相当な仕事を抱えていたが、このチャレンジに関われることに、夢中になっていました。(はい。本当に夢中でした…) 真剣な話、キャリアアップやスキルアップの話、最先端のプラットフォームで働くことへの興奮が、キーボードの音よりも早く伝わってきたのです。私は、彼らの関心を集めただけでなく、彼らの思いを引きつけました。

チームとして、“リフト&シフト” の移行プロセスに没頭し、トレーニング、認証、テスト、エラー、そしてさらにテストと、夜や週末を、犠牲にする覚悟で臨みました。さらに、”今のままがいい“ ”コンピュータを、直接手元に置くこと必要“ という旧態依然とした反対派を、相手にする覚悟もできていました。

レガシーシステムのAWSへの移行が始まると、その真価が発揮されるようになりました。まず、AWSへの ”リフト&シフト“ は、オンラインで行われ、システムのダウンタイムがほとんどないため、ほとんどのエンドユーザーにとって、実質的にシームレスに行われました。まるで、みんなの目の前で秘密作戦を、しているような感覚でした。誰かが反対する頃には、仕事は終わっており、システムはロードされ、ユーザーは、知ってか知らずか、より良い、安定したプラットフォームで既に業務を行っていました。キックオフや立ち上げのような華やかさは必要なかったのです。これは、静かな満足感がありました。

私たちはすぐに、目の前にあるチャンスと、長期的なコスト削減を認識しました。けれども、完全移行に向けて80%移行が完了した時に、時間短縮の観点からも、そのメリットは、計り知れないと感じました。例を挙げると、以前は新しいサーバーを調達して構築するのに、60日近くかかっていました。それがAWSに移行してからは、わずか60分で済むようになりました。この比較に、データベースの数をかけると、サーバー調達にかかる時間を、何年分も短縮することができます。実際、サーバーによってコスト、時間、スペースの三重の節約ができたことは、スタッフを増やすことなく、業務効率を上げ、ビジネスのニーズにより合致した取り組みにシフトするためのリソースを手に入れた一例に過ぎません。その結果、さらなる効率化を実現し、サーバーの総台数を約30%削減することができました。

ハードウェアの大幅なコストダウンに加え、ライセンス料やライセンス管理にかかるコストも削減することができました。

もう、元に戻ることはできません。

まさに、私たちは夢中になっていました。特にAWSの新しい開発ライフサイクル環境は、簡単にPOCを試すことができ、とても気に入っています。また、アプリケーションプログラミングインターフェース(API) 技術のオープンな形式は、社内アプリ間の連携やパートナーアプリとの統合を簡素化してくれるので、とても助かっています。

お客様から情報提供やプランニング支援を求められるようになり、その要求に応えるために、コンピューティング環境を迅速に構築及び拡張できることが必要になってきました。その結果、最近発表した ”Sphere, Technology by SP+“ というブランド名で提供するテクノロジースイートに、AWSが採用されました。

駐車場の慣習 – 不動産オーナーは、より多くのソースからデータを求めている

空港、ホテル、レストラン、小売店、エンターテインメント施設など、当社のお客様は常にサービスの幅を広げ、お客様が消費するお金をより多くすることを求めています。どれくらいの時間とお金をここで使うことができますか?いつ、どれくらいの頻度で来客していただけるのか?目標は、ビジネスのパトロンになってくれる一人一人の顧客の時間、頻度、そして最終的には収益を最適化することです。

オーナー様は、売上高や稼働率などの指標をもとに、事業計画の見通しを立てます。駐車場運営・管理会社である当社は、追加のデータを提供することで、価値あるプランニングパートナーとして高い評価を得ています。私たちは、お客様との最初、最後、そして中間の接点になることが多いので、お客様の交通慣習を、達観して見ることができます。Amazon Lightsail にインストールされたツールを使用して、お客様の駐車場利用者を理解するための、有益なデータを取得し、それぞれの場所に合わせて、パフォーマンスと機能の最適化調整を実施しています。

ビジネスを惹きつけ、維持するために、私たちの運営する施設に、車を駐車するお客様に、スムーズな体験を、提供することに努めています。ユーザーフレンドリーな検索、駐車場予約、そして “parking.com” を、通じた支払いプラットフォームが、それを可能にしました。“Parking.com” は、単なるマイグレーションではなく、AWSを使用して始まった、フラグシッププロジェクトになります。AWSのおかげで、サイトのアップタイムが、100%になり、オンデマンドのトランザクションを、滞りなく処理できるようになりました。

本音のアドバイス

私は、肩書きにとらわれず、最高、最速、最良を求める技術者でもあります。AWSが、その欲求を満たしてくれることは、認めざるを得ません。しかし、どんな素晴らしい試みにも課題があります。私たちは、いくつかのことを、上手くやりとげました。他のことは、まあ…私は違う方法でやったと思います。これが、私からのアドバイスです。

インフラストラクチャの専門家は、基本的に開発者ではありません。私たちの素晴らしいインテグレーション・チームの全員が、このプロジェクトで “自分の手と頭” を使うことを熱望し、準備していました。私たちは皆、これを望んでいたのです。私が学んだ第一の教訓は、プロジェクトを開始する前に、開発者ではない人たちに、主要な開発スキルを習得させる訓練をしていれば、時間を節約し、初期の勢いを少し伸ばすことが、出来たかもしれないということです。パブリッククラウドに移行する際には、IaaS(Infrastructure as a Service)が重要な鍵を握っています。最終的に、システムのデプロイメントを成功させる最善の方法は、チームのほとんどがコードを読み、修正する準備ができており、快適であるようにすることです。もしこれを計画しているなら、準備作業とトレーニングを早めに開始して、チームメンバー全員が同じ位置に立ち、出発点から貢献とトラブルシューティングが出来るようにしましょう。私を信じてください。そうすれば、努力する価値があるはずです。

信じられないようなリソースがたくさんあるのです。私たちは、コンサルタント、オンラインクラス、AWSサポートスタッフ、そして他のAWSユーザーを活用しました。AWSのクラウドサービスは活力があり、常に学ぶべきことがあるため、私たちは、今でもこれらのリソースに頼りにしています。AWSチームもまた、一緒に働くには素晴らしい存在です。

CEO Marc Baumann をはじめとする SP+ のエグゼクティブ・チームは、このイニシアチブの立ち上げ当初から支援してくれてきました。彼らは、私たちの取り組みに耳を傾け、理解し、価値を認め、そしてあらゆる場面で私たちの取り組みを支持してくれました。このようなトップレベルのサポートは、私たちの移行を成功させるための重要な要素となっています。

早急にモノを買うのをやめてください。私の予算と予測は、購入に応じて規模が拡大していました。サーバーも、ハードウェアも、配線も、もう必要ないです。実際、既に持っているものは、もう必要ないのです。

次のステップへ

次に、AWSの人工知能(AI) および機械学習(ML)の分野に参入するのが待ち遠しいです。SP+ は、お客様に最高のデータを提供し、お客様に最高のサービスを提供することで、この業界のレベルをさらに高めていきたいと考えています。具体的には、複数のデータソースをマイニングし、異常があれば迅速に対応することが、出来るようにです。

その他は? 6ヵ月後にまた聞いてください。私たちはまだ始まったばかりです。

AWSが、どのように旅行業界を変革しているかについては、aws.com/travelを、ご覧ください。


Chris Ratliffは、SP+ のデジタル情報・技術担当上級副社長です。Chris は2016年に SP+ に入社し、同社の技術エコシステムの戦略的な方向とサポートを担当しています。

SP Plus Corporation (SP+) について

SP+は、顧客の利益を向上させながら、消費者の体験を向上させることを目的に、人、車、持ち物の効率的な移動を促進します。当社は、北米の航空、商業、ホスピタリティ、ヘルスケアおよび政府機関の顧客に対して、専門的な駐車場管理、地上交通、遠隔手荷物チェックインおよび処理、施設メンテナンス、セキュリティ、イベント物流、その他のテクノロジー主導のモビリティ・ソリューションを提供しています。詳細については、www.spplus.com をご覧ください。

 

 

 

Judy Pitchford

Judith Pitchfordは、旅行業界で約25年の経験を持っています。事業開発、戦略的マーケティング、財務を担当し、旅客サービス、貨物、整備(MRO)、データ分析など、業界のさまざまな側面に精通しています。又、旅行業界におけるAWSのグローバルエンゲージメントを担当し、お客様のクラウド導入の旅をサポートします。AWS入社以前は、ユナイテッド航空、OAG、ルフトハンザ/ジェットテナー、エミレーツ/メルカトルで要職を歴任。スティーブンス工科大学で工学学士を、ノースウェスタン大学のケロッグ経営大学院でMBAを取得しています。この業界だけでなく、旅行そのものに情熱を持ち、これまでに世界40カ国以上を訪れています。

翻訳はソリューションアーキテクトの齋藤が担当しました。原文はこちらです。