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Redshiftアップデート:COPYやVACUUMの機能向上、クラスターリサイズの速度向上等
Redshiftの新しいバージョン1.0.1040リリースについて、その新機能や修正一覧の説明とメンテナンスの予告が公開されています。
- Release: Amazon Redshift on 2016-03-17
- Announcement: Amazon Redshift improvements and maintenance (Mar 17 – Mar 31)
このリリースには以下の新機能が含まれています。
- ユーザが定義したしきい値よりも大きい比率でソート済の表は、VACUUMでソートをスキップするように
- COPYで条件にそったデータを挿入した場合、ソート済の領域としてマージされるように
- 接続ログに、SSLのバージョンとSSLサイファーが記録されるように
1.はVACUUMコマンドの機能改善です。VACUUMは不要領域の削除とソートという2つの機能を持っているのですが、すでに大半の領域がソート済の場合はソート処理自体をスキップすることでVACUUMに掛かる時間を短縮します。
デフォルトではその閾値は95%に設定されていますが、これはユーザが指定することが可能です。VACUUMコマンドが拡張されTO sort_threshold PERCENTという形で指定できます。この数値を100にした場合は(今までと同様)常にソートが実行されるようになりますし、逆に0にするとソートが行われなくなります。この新しいオプションはREINDEXやDELETE ONLY等とも併用可能です。
- 参考)VACUUMコマンド ※本エントリ執筆時点ではまだ日本語マニュアルが更新されていませんでした。その場合は英語に切り替えてご覧ください。
2. ですが、Redshiftの中では表のデータは「ソート済領域」と「非ソート済領域」に分けて管理されています。VACUUMを使ってソートされたデータはソート済領域に保存され、追加データは非ソート領域に保存されます。
今回の機能拡張では、条件を満たした場合にCOPYで追加したデータがソート済領域に追加されるようになります。その条件はマニュアルの以下のページに記載されています。
- Loading Your Data in Sort Key Order ※本エントリ執筆時点ではまだ日本語マニュアルが更新されていませんでした。その場合は英語に切り替えてご覧ください。
条件は以下の通りで、これらを全て満たしている必要があります。
- 表がコンパウンドソートキー(Interleaved Sort Keyではなく)を使っていて、かつソートキー列が1つのみ
- ソートキーの列がNOT NULL
- 表が100%ソート済か、もしくは空(から)
- 新しく追加されるソートキー列の値が既存データよりソート順で大きい値を持つ
これは、列に常に大きい値が挿入されるようなケース、つまり時刻がソートキーになっていて、そこに追加で新しいデータを追加し続けるような表構造(時系列でデータを入れ続ける)の場合に役に立ちます。
3.は記述のままですね。STL_ CONNECTION_LOGにsslversionとsslcipherという列が追加されています。もしこのSTL表を定期的に別表やファイルにエクスポートしている場合は、クラスターバージョンが上がった途端に列が増えるのでご注意ください。
この他に、INリスト指定時にスキャン範囲を限定することで速度を向上させる機能や、クラスターリサイズ時の転送スループット向上(リサイズに掛かる時間の短縮)、Window関数利用時にORDER BY句が必須ではなくなるといった機能向上、およびバグの修正が行われています。
この新しいバージョンはこれから約2週間にかけて各リージョンにデプロイされます。適用されるとクラスターのバージョンが1.0.1040になっているはずです。
なお、すでにオレゴンリージョン(US-WEST-2)にはデプロイされていますので、新規にオレゴンでRedshiftクラスターを立ち上げると1.0.1040で起動できます。すぐに新機能を確認したい方はオレゴンで試してみてください。
下佐粉 昭(@simosako)