AWS を使った働き方改革 : 第 3 回 - Amazon Chime を使った組織コラボレーション
Author : 松本 和久
builders.flash 読者の皆さん こんにちは !「ビジネス×クラウド」カテゴリを担当する、ソリューションアーキテクトの松本です。
本カテゴリでは "ビジネス課題をクラウドで解決する" ことをテーマに、複雑に入り組んだ現代社会に鋭いメスを入れ、さまざまな謎や疑問を究明していきます。取り上げるトピックは、働き方改革、クラウドマイグレーション、デジタルトランスフォーメーション、システム開発方法論などを予定しており、エンタープライズでよくご相談頂く内容や、これからクラウドを使いたいと思っていらっしゃる方にも役立つような情報をご紹介します。
「AWS を使った働き方改革」シリーズの第 3 回目の今回取り上げるのは、"Amazon Chime" です。Amazon Chime は、単一のアプリケーションを使用して、組織の内外で会議、チャット、および業務上の電話を行うことを可能にする通信サービスです。リモートワークにおいても離れた場所にいる同僚やお客様とインターネットや電話回線を介して簡単にコミュニケーションを取り合うことできます。それでは中身に入っていきます !
コラボレーションツールとは ?
仕事は従来よりも場所に依存せず、組織横断的になり、従業員がより多くの人とコミュニケーションを取ることを必要としています。ミーティングを行うにも、モバイル、デスクトップなど、あらゆる種類のデバイスからアクセスする必要があります。 また、ミーティングは音声とビデオだけではなく、コンテンツ共有、ワークフローに関する機能も必要です。 会議ツールは、これらすべてに対処できなければなりません。
この課題に対して、Amazon Chime を使用すると、オンライン会議、ビデオ会議、業務上の電話に必要な機能を柔軟に使えます。使用料金は従量課金制です。
Amazon Chimeの特徴
リモートワークで利用できる Amazon Chime の特徴を3点ご紹介します。
1. オンライン会議
Amazon Chime では、オンライン会議を簡単に実施することができます。あなたが会議をスケジュールするとき、すでに使われているカレンダーで簡単に設定可能です。Outlook や Google カレンダーをお使いの場合、Chime のアドインもしくは拡張機能をインストールことでカレンダー上で Chime 会議をスケジュールできます。
ご自身に割り当てられた Chime 会議に加えて、外部の方との打ち合わせのために 1 回限りの会議を作成できます。このとき、meet@chime.aws を宛先に加えることで会議に招待された人は、こちらの図の右のように Chime を介して「呼ばれる」ようになり、自分から能動的に参加しなくても済みます。
Chime では、覚えにくい複数桁のピンを入力する代わりに、会議の開始時期になると参加者に電話をかけ、ワンクリックで参加を促します。そして、参加が遅れる場合は、「遅れて参加」ボタンをタップすることで、会議の全員に自動的に通知することができます。
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そして実際に会議に参加すると、このような画面で会議が行われます。
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Chime会議には例えば以下のような機能が備わっています。
- 参加者はマイクのミュートやビデオの切り替え
- 画面の共有 (スクリーン、アプリケーション、ブラウザのタブ)
- 参加者一覧の確認
- チャット (チャットではファイル添付も行えます)
- 会議の録音、録画
- イベントモード
最近の機能アップデートで Chime 会議には最大 250 名が参加できるようになりました。先日、弊社で行われた Chime 会議では実際に 200 名弱の同僚が自宅から参加しました。この会議では毎回録画を行っているので参加できなかったメンバーが後で視聴しています。社内研修を Chime で開催して録画をしておき、任意のタイミングで学習できるようにするなど、様々な活用ができます。
ここで普段私が気をつけているエチケットとして「ミュート」についてご紹介します。自分が発言しないときはマイクをミュートにすることでキーボードのタイプ音、お子様のはしゃぎ声 (時に場を和やかにしてくれますが) などによって、参加者の気を散漫にしないようにしています。大人数の会議ではイベントモードを用いて参加者全員を強制ミュートすることが可能です。
2. チームコラボレーション
Amazon Chime には様々なチームコラボレーション機能があります。
チャットルームは常設でも、1 対 1 や少人数グループで一時的な会話でも作成できます。常設ルームでは @ メンションをつけることで、相手に対してチャットへの投稿を通知できます。もし Chime のデスクトップアプリケーションではなくモバイルデバイスを使っている状況であれば、Chime はそれらをプッシュ通知として Chime モバイルアプリに送信します。
また、チャット上で画像やファイルの共有、Webhook を用いることも可能です。例えば会社で使われているインシデント管理ツールでチケットが作成された際に、Chime のチャットルーム用に作成した Webhook URL に通知を送信できます。この機能を利用して AWS サービスの最新情報の RSS からチャットルームに POST することもできます。
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3. セキュリティと管理
Amazon Chime はセキュリティを最も重視する Amazon の要件を満たすよう構築されたデータセンターとネットワークアーキテクチャの恩恵を受けることができます。さらに、Chime にはサービスに直接組み込まれたセキュリティ機能が備わっています。
Chime でやり取りされるメッセージ、音声、ビデオ、コンテンツは、AES256 ビット暗号化を用いて暗号化されます。また、Microsoft Active Directory 用の AWS Directory Service または Okta SSO と統合してユーザーのシングルサインオン認証および管理ができるため、既存の認証情報を使用して Chime にログインできます。
Chime 会議をホストして外部の方と打ち合わせを行いたい場合は、ワンタイムの会議 ID を作成し、会議のモデレーターが 4〜8 桁のパスコードを入力したときのみ開始できるようにしましょう。また、必要な参加者が会議に参加してから、招待されていないユーザーが会議に参加できないよう、会議をロックすることもできます。
Chime の開始方法
Amazon Chime の使用を開始する最も簡単な方法は、30 日間無料で利用できる Amazon Chime Pro バージョンを使用することです。ステップは以下の 4 つです。
- AWS アカウントの作成
- Amazon Chime アカウントの作成
Amazon Chime コンソールで Chime アカウントを作成します。
- (オプション) アカウント設定の構成
独自の ID プロバイダーまたは Okta SSO と連携させないのであれば、まずはChime アカウントのタイプをチームアカウントで作成すると良いでしょう。連携させるときにはエンタープライズアカウントに変換できます。
- ユーザーを Chime アカウントに追加する
E メールアドレスを用いてユーザーを追加します。
詳細はドキュメントでもご参照いただけます。
なお、AWS は 2020 年 3 月 4 日から 2020 年 6 月 30 日までの期間中に AWS アカウントから初めて Amazon Chime を使用するすべてのお客様に、当該期間中のオンライン会議およびビデオ会議用のすべての Amazon Chime Pro 機能を無料で提供しています。詳細はこちらを参照ください。
まとめ
Amazon Chime を使うことで組織の内外の人と複数のチャネル、複数のデバイスで効率的なコラボレーションを行うことができます。1 対 1 からの通話から最大 250 名までの大規模会議、チーム内のチャットなど、離れていても効率的にコミュニケーションを取ることができますので、ぜひお試しください。
Amazon Chime の料金はこちらをご参照ください。
本日ご紹介した内容につきましては、下記のリンクもご参考いただければ幸いです。
この連載記事のその他の記事はこちら
第 1 回 - 仮想デスクトップで情報漏えいを防ぎ、リモートワークを推進
第 2 回 - Amazon Connect で実現する在宅勤務
第 3 回 - Amazon Chime を使った組織コラボレーション
筆者プロフィール
松本 和久 (まつもと かずひさ)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
ソリューションアーキテクト
AWS 入社前は IT アーキテクトとして、外資系の SIer でオンプレミス、クラウドでのシステム構築や移行案件で全体のアーキテクチャを設計、実装する活動を行っておりました。現在は主に流通やサービス業のお客様に対して、AWS の最適な設計をご提案する仕事をしております。
好きな AWS サービスは Amazon Connect です。趣味は山登りで、テントを担いで奥秩父主脈縦走したいと思っています。
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